「I love you smile」10
ここでの場面は健人目線です。爽子が好きなことを自覚した健人は・・・?
こちらは I love you smile 1 2 3 4 5 6 7 8 9 の続きです。
そして、俺達はあのバーに向かった。
ガランッ
「まいど!」
「!あれ?珍しいね。今日はイケメンくん連れじゃん?健人」
「へへ!実は・・・・。貞子ちゃんの彼氏!」
「「えっ!」」
「おっ〜はじめまして!ここのマスターです。」
「えっ何で・・・爽子のこと御存じですか?」
「まぁ〜そのつもりで健人が連れてきたんだろうし。意外とコイツ真面目だから。
フェアーじゃないもんね。爽ちゃん、ここで3日間働いてくれてたんです。」
「△▲#%○☆★〜〜!!」
(うへ〜なんて思った通りの反応!)
「え〜〜〜〜〜〜〜!!」
「だから言いにくかったんだよ。貞子ちゃん。まぁ水商売だしな」
「それもかわいい格好してくれてさ、お客さんに大人気だったよ」
と追い打ちを掛けるようにニヤニヤして言うマスター。
「〜〜〜〜〜〜!!!」
「うわっ変わってね〜風早。アハッハ〜」
「へぇ〜爽ちゃんの彼氏、会いたかったから嬉しいよ」
「えっ?」
「あんなかわいい子を一人占めする男は幸せだなって思ってね!」
「えっ・・・・・・」
「ぷっ風早、顔にモロ出てるから!マジ変わってね〜!がはは〜」
「やっぱ変わってねーじゃん、お前も!」
そう言って、風早はイラついてるような表情をしている。
「んじゃ、ごゆっくり。−らっしゃい。」
マスターは気を利かせて客の方に行った。
「マスター・・・・大丈夫なの?」
「ああ、あの人大人だからさ。絶対ルール違反の恋はしないからさ」
「それと、貞子ちゃんが風早しか見てないの。誰でも分かるっつーの」
「・・・・///////」
「それで!///なんなの?今日は」
「−ん。まぁとりあえず飲もうよ。」
そう言って、先を急ごうとする風早に俺は間をとった。
だって、ちょっと一息入れないと重いんだわ。
「ところで、あの写真の誤解は解けたんだ?」
「・・・・許せねーけど。爽子は全く何も疑ってないし」
ああ・・・やっぱりね。そうだと思ったけど。
「くっくっ。お前ってほんと、爽やかくんじゃないんだよな。貞子ちゃん
に関しては。貞子ちゃんが絡んでなかったら、爽やかくんなのに。くっ」
「//// うるさいなっ」
そう言うと、風早は手元のカクテルをぐっと一口飲んだ。
「正直に告白するわ。実はあの時、俺下心あった」
「えっ・・・!」
俺がそう言うと、びっくりしたような目で風早がこちらを見ていた。
本当に分かりやすい奴。高校の時から全く変わってないんだ。貞子ちゃんへの気持ち。
俺は一回視線を外してから、もう一回風早の目を見て言った。
「俺・・・・貞子ちゃん 好きだよ」
「!」
「何で・・・今更」
「高校ん時、好きだったのに、そのことを認めないようにしてた。だってさ、
100%可能性がない恋を追いかけるなんて俺の辞書にはなかったし」
「・・・・・」
「認めたくなかったんだ。認めると、自分が自分でなくなりそうでさ。
でも・・・ここで再会して、今も、その想いを引きづっていることが
分かった。ごめん。俺・・・まだ貞子ちゃんのこと好きだわ」
「・・・・・」
風早は目を逸らさずに俺を見ていた。
「んで・・・?」
「告っていい?」
「なんで、俺に了解とるの? 俺が知らなかったその3日間に告白しようと
思ったらできたんじゃね?」
「ん・・・これでも意外と律儀なんだよね。フェアーじゃないじゃん?」
風早はしばらく黙ったままグラスを見つめていたが、目の前の酒を一気に
飲み干したと思うと、立ち上がって戸のところまで歩いて行った。
「・・・100%可能性がないことなんてないんじゃない?俺・・・
今も、爽子に対して余裕なんてないよ。いつも不安だよ。俺の前から
いつかいなくなるんじゃないかって。他の男にさらわれるんじゃないかって
いつまでたっても俺のものだって思える時が来ないと思う。」
「・・・・・」
「俺に了解を取ることなんてないよ」
ガランッ
そう言って、風早は出て行った。
あいつからこんな言葉が出ると思わなかったから俺は茫然とした。
独占欲の塊のくせして・・・。
爽子ちゃんに愛されている幸せな奴のくせして・・・。
「ははっ健人の負けだな」
そう言って、こちらの方にマスターは戻ってきた。俺がどうして
ここに風早を連れて来たかったか。マスターに最後まで見守って
欲しかったのかもしれない。俺って意外とかわいい奴。
思わず、ふっと笑う。
「―最初から勝とうなんて思ってないよ。あれだけ、女に惚れれば、
本望だよな。さすが爽やかくん」
「・・・・・・」
「でも・・・意外とホッともしている。アイツの本音って聞いたことなかったから。
貞子ちゃんの気持ちを100%独占しているアイツも、俺と一緒なんだって」
「二人ともカッコイイよ。ガンバレ、健人」 とマスターは軽くウィンクした。
「男にされても嬉しくないんですけど!それにそれ俺のキャラだから!」
アハハハ〜!!!
俺、やっと熱い想いに決着がつけられそうだ。
「さんきゅ・・・・マスター」
俺はひとり言のように言った。
あとがき↓
やっと次回で終わりです。私の中では君届に出てくるキャラはみんな
繊細だと思います。みんな人のことを思いやれる人達。健人もそうです
よね。ちょっとせつないですが、よければ続きを見に来て下さい。
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