「I love you smile」10

ここでの場面は健人目線です。爽子が好きなことを自覚した健人は・・・?
こちらは I love you smile          の続きです。




























そして、俺達はあのバーに向かった。



ガランッ



「まいど!」

「!あれ?珍しいね。今日はイケメンくん連れじゃん?健人」

「へへ!実は・・・・。貞子ちゃんの彼氏!」


「「えっ!」」


「おっ〜はじめまして!ここのマスターです。」

「えっ何で・・・爽子のこと御存じですか?」

「まぁ〜そのつもりで健人が連れてきたんだろうし。意外とコイツ真面目だから。

 フェアーじゃないもんね。爽ちゃん、ここで3日間働いてくれてたんです。」


「△▲#%○☆★〜〜!!」


(うへ〜なんて思った通りの反応!)


「え〜〜〜〜〜〜〜!!」

「だから言いにくかったんだよ。貞子ちゃん。まぁ水商売だしな」

「それもかわいい格好してくれてさ、お客さんに大人気だったよ」


と追い打ちを掛けるようにニヤニヤして言うマスター。


「〜〜〜〜〜〜!!!」

「うわっ変わってね〜風早。アハッハ〜」

「へぇ〜爽ちゃんの彼氏、会いたかったから嬉しいよ」

「えっ?」

「あんなかわいい子を一人占めする男は幸せだなって思ってね!」

「えっ・・・・・・」

「ぷっ風早、顔にモロ出てるから!マジ変わってね〜!がはは〜」

「やっぱ変わってねーじゃん、お前も!」


そう言って、風早はイラついてるような表情をしている。


「んじゃ、ごゆっくり。−らっしゃい。」


マスターは気を利かせて客の方に行った。



「マスター・・・・大丈夫なの?」

「ああ、あの人大人だからさ。絶対ルール違反の恋はしないからさ」

「それと、貞子ちゃんが風早しか見てないの。誰でも分かるっつーの」

「・・・・///////」

「それで!///なんなの?今日は」

「−ん。まぁとりあえず飲もうよ。」


そう言って、先を急ごうとする風早に俺は間をとった。

だって、ちょっと一息入れないと重いんだわ。


「ところで、あの写真の誤解は解けたんだ?」

「・・・・許せねーけど。爽子は全く何も疑ってないし」


ああ・・・やっぱりね。そうだと思ったけど。


「くっくっ。お前ってほんと、爽やかくんじゃないんだよな。貞子ちゃん
 に関しては。貞子ちゃんが絡んでなかったら、爽やかくんなのに。くっ」

「//// うるさいなっ」


そう言うと、風早は手元のカクテルをぐっと一口飲んだ。


「正直に告白するわ。実はあの時、俺下心あった」

「えっ・・・!」


俺がそう言うと、びっくりしたような目で風早がこちらを見ていた。

本当に分かりやすい奴。高校の時から全く変わってないんだ。貞子ちゃんへの気持ち。

俺は一回視線を外してから、もう一回風早の目を見て言った。


「俺・・・・貞子ちゃん 好きだよ」

「!」



「何で・・・今更」

「高校ん時、好きだったのに、そのことを認めないようにしてた。だってさ、

 100%可能性がない恋を追いかけるなんて俺の辞書にはなかったし」


「・・・・・」


「認めたくなかったんだ。認めると、自分が自分でなくなりそうでさ。

 でも・・・ここで再会して、今も、その想いを引きづっていることが
 分かった。ごめん。俺・・・まだ貞子ちゃんのこと好きだわ」


「・・・・・」



風早は目を逸らさずに俺を見ていた。



「んで・・・?」

「告っていい?」

「なんで、俺に了解とるの? 俺が知らなかったその3日間に告白しようと

 思ったらできたんじゃね?」


「ん・・・これでも意外と律儀なんだよね。フェアーじゃないじゃん?」



風早はしばらく黙ったままグラスを見つめていたが、目の前の酒を一気に

飲み干したと思うと、立ち上がって戸のところまで歩いて行った。



「・・・100%可能性がないことなんてないんじゃない?俺・・・

 今も、爽子に対して余裕なんてないよ。いつも不安だよ。俺の前から
 いつかいなくなるんじゃないかって。他の男にさらわれるんじゃないかって
 いつまでたっても俺のものだって思える時が来ないと思う。」


「・・・・・」

「俺に了解を取ることなんてないよ」


ガランッ


そう言って、風早は出て行った。



あいつからこんな言葉が出ると思わなかったから俺は茫然とした。

独占欲の塊のくせして・・・。

爽子ちゃんに愛されている幸せな奴のくせして・・・。



「ははっ健人の負けだな」


そう言って、こちらの方にマスターは戻ってきた。俺がどうして

ここに風早を連れて来たかったか。マスターに最後まで見守って

欲しかったのかもしれない。俺って意外とかわいい奴。

思わず、ふっと笑う。


「―最初から勝とうなんて思ってないよ。あれだけ、女に惚れれば、

 本望だよな。さすが爽やかくん」


「・・・・・・」

「でも・・・意外とホッともしている。アイツの本音って聞いたことなかったから。

 貞子ちゃんの気持ちを100%独占しているアイツも、俺と一緒なんだって」


「二人ともカッコイイよ。ガンバレ、健人」 とマスターは軽くウィンクした。

「男にされても嬉しくないんですけど!それにそれ俺のキャラだから!」


アハハハ〜!!!


俺、やっと熱い想いに決着がつけられそうだ。



「さんきゅ・・・・マスター」


俺はひとり言のように言った。



















あとがき↓
やっと次回で終わりです。私の中では君届に出てくるキャラはみんな
繊細だと思います。みんな人のことを思いやれる人達。健人もそうです
よね。ちょっとせつないですが、よければ続きを見に来て下さい。

「I love you smile」  11