「I love you smile」3

こちらはI love you smile    の続きです。
爽子のバイトも2日目に入り、複雑な思いを抱えながら頑張っています。
そこに健人がやって来て・・・。最初は爽子目線、後半は健人目線と
いろいろ目線が入れ替わってややこしいかもしれません。
それでは以下からどうぞ↓

























「健人〜!」

「おっあゆみと香じゃん!」

「講義終わった?今日、飲みに行こっ♪」

「あ〜行きたい!けど・・・ごめん先約があってさ〜今度ね」



相変わらず大学内でチャッとした笑顔を振りまく健人だが・・・・。



「めっずらし・・・・。どーしたの?アレ?」

「なんか、最近楽しそうだね。また彼女でもできたかね〜」

「やだぁ〜健人は博愛主義のままでいて欲しいのにぃ」




態度にしっかり出ているかわいい奴であった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「爽子ちゃん・・・暗いけど、やっぱ無理してるよね?」

「あ・・・すみません。マスター大丈夫です!」



小さなバーと言っても、週末はかなり込み合っていた。立地条件が

いいということと、イケメンマスターを目当てに来ている客もいた。



(いけない!今はお仕事に集中しないと!)



「悪かったね〜。小さなバーなんだけど、週末は俺一人じゃ店開けられなく

 てさ。本当に助かったよ」


「あまりお役に立ててませんが!!」

「そんなことないよ。すごく助かってる。」

 

マスターはそう言って、カクテルを作りながら私にもそれとなく気遣って

くれる。いい人〜〜〜!




「爽ちゃん・・・彼氏いるんだってね?沙紀から聞いたよ」

「えっあっ・・・は、はい」

「かなり嫉妬深いって聞いたけど?」

「そ、そんな!・・・・それは私もですから」




ガランッ



「よっ〜マスターに貞子ちゃん!」


バーに人がまばらになった頃、健人がやってきた。



「ホントに健人、3日間通うつもり?」

「こ、こんばんわ〜三浦くん」 「ども♪」

「もっちろん♪ なんてったって、こんな貞子ちゃんもう見れねーもん」

「何?健人、爽ちゃんファンなの?」

「そうだよ!ずっと高校の頃からのね。」



健人は久々にチャっとあの時のウィンクをした。



「そ、そんなわけないです!高校の時の私はすごく暗くて固くて、あっ今も

 そんなに変わってないんですけど!!」



そうだ・・・私は風早くんに会わなかったら、人との触れ合いがこんなに楽しくて

温かいものだと知らなかった。私の人生はあの時から動き出したんだ・・・。







「そろそろ、店閉めようかな」

「す、すみません・・・マスター。上手く出来なくて」



自分なりに頑張っているのだけれどやはり人と接するのは難しく・・・。



「何が?ここの仕事?」

「あ、はい」

「そんな、当然だよ。助っ人なのに。どこまでも真面目だねぇ〜爽ちゃんは。はは」

「そうだよ!マスターにまかせておけばいいんだよ!」

「って、健人よ、まだ居たの?閉店なんだけど?」

「え―!いいじゃん、俺、貞子ちゃん送りたいんだもん」


「えっえっ!!大丈夫だよ!沙紀ちゃんの家はほんと近いんだよ。」




とんでもない!!と爽子はぶんぶんと手を胸の前で振った。




「あはは〜面白いね。爽ちゃん。まぁ、いいんじゃない?送ってもらいな。

 俺も気になってたんだよ。こんな遅くに外に出すの。でも俺は後片付けあるしさ」

「ね?マスターもそう言ってるし♪」

「う・・・それじゃお言葉に甘えて・・・・。お先に失礼します。」

「お疲れ〜!健人、送り狼にならないように!」

「・・・・。」

「?」

「なりたくてもね〜・・・んじゃね!マスター。行こっ貞子ちゃん」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「あ、ありがとう・・・三浦くん」


バーの帰り道、二人の白い息が空に舞う。

こうやって二人でいる現実に疑いそうになる。というか

こういう展開をやっぱ狙って店に行った自分がいる。



「こちらこそだよ!こんなチャンスあるなんて思ってなかったからさ」

「えっ?」

「いんや、こっちの話!しかし、風早に見られたら絶対やばいよな〜」

「えっ?どうして?」

「どうしてって・・・・さぁ」


思わず、貞子ちゃんを呆れて見つめてしまう。



「三浦くんは風早くんも知ってるから大丈夫だよ」



うわ〜この子なんも分かってない。相変わらずの貞子ちゃんに思わず固まる。



「三浦くんに会ったこと言いたいのだけど、バイトのことが内緒なので・・・。

 卒業以来だもんね!!」



残念そうに拳を上げる貞子ちゃん。

そんな無防備でいいの?あのさ俺、男なんだけどな。



「ぷっ」

「え?何?」

「いや〜風早苦労すんなと思って!ははは」

「えっ何が何?風早くん?」



自分のことになると本当に鈍感できょときょとしている。

でも人の気持ちには敏感な貞子ちゃん。

横目で見る、彼女の髪が風でなびく。その髪を手で押さえる

仕草に思わずドキッとしてしまう。



(やっぱきれいになったな・・・。)




「ねぇ、お願いがあるんだ。聞いてくれる?」

「うん!私にできることなら!」


とやはり拳を握りしめる貞子ちゃん。


「明日、バイト最後でしょ?明日も送らせてくんない?」

「そ、そんな恐れ多い!!三浦くん、毎日来て大丈夫なの?」

「来たいから来てるんだけど?ね!お願い」

「あ・・・ありがとう」



俺は、今までにない気持の高揚を抑えるのに必死だった。

明日も君に会える・・・!















あとがき↓
というわけで、風早がいないところで健人は爽子に近づきます。
でもちゃんと健人の中ではいつも風早がいて、それに苦悩していくの
です・・・。次回はちょっと暴走する健人です。よけれ見に来てください。

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