「かなわない恋」2

こちらは「かなわない恋」  の続きです。風早は社会人という設定です。オリキャラ
主人公ですが、よければどうぞ↓
























今日も私は学校が終わった後、男の人が降りた駅周辺をぶらぶらしている。




「あー今日も収穫なしか・・・。」



最近の私の習慣になってしまった。あの出来事から3週間が過ぎていた。時間を変えてみたけど、会えなくて。

その日も諦めて帰ろうとしたその時、後ろから賑やかな声が聞こえた。




「風早せんせい!こっちこっち」




思わず、私も振り返る。

小学生低学年の子どもたちが何人か、下校帰りという感じで歩いてきた。

そして、子どもたちが手を引っ張るその先に視線を移すと・・・。




「あっ・・・・。」




見つけた!

私は、この機会を逃すともう二度と会えないと思い、考えるより先に身体が動いた。




「あ、あの!」




男の人と子どもたちが振り向く。




「あ、あの、私・・・私!あなたに会いたくて・・・!」

「えっ?」




彼の目を見れずに俯いてやっとの思いで言った。





「うわぁ〜せんせい!告られてる〜!」

「モテる〜!」  子ども達が騒ぎ出す。

「お、おまえら3年生のくせに告っ〜〜!」



「あっちがっ/////」


(違うこともないんだけど・・・・!)



「もしかして、先月・・・・電車の?」



(うそ〜〜〜〜!覚えていてくれた?)


私を覚えていてくれたことが嬉しくて嬉しくて・・・

泣きそうになる。




「えっとそれで?」

「あっあの、あの時何もお礼が出来なかったので・・・」

「そんなのいいのに!」

「こ、これっ!」




私は彼の顔も見れずに、2日ごとに作り直した手作りクッキーを差し出す。

やっと彼の手に渡ることになった幸せなクッキー。






「うわ〜〜〜先生いいなぁ!」

「あの・・・よければ皆さんで・・・!」

「ほんと?やった〜〜〜!」



本当は嫌だったけど、仕方ないよね。この雰囲気じゃ。




「お名前なんだっけ?」

「えっ?山崎若菜です。」

「山崎さん、クッキーありがたく頂くね。俺が全部食べるから!」

「えっ?」




そう言って、爽やかに笑った。

えーっと騒ぐ子供たち。何ていい人だろう。何だろう。この気持ち。

こんなの初めてだ。そうか・・・学校の先生だったんだ。この日はスーツ姿じゃなくて、普通の私服だった。スーツ姿よりぐっと身近に感じる。



(か、かっこいい・・・)




「お、お名前聞いていいですか?」

「風早翔太です。」



うわっ名前まで爽やかだ!




「それじゃね。もうお礼もらったからこれで終わりだよ」

「!」




それはどういう意味?もう受け付けないということ?それとももう気を使わないでって意味?

今、このまま別れたら、もう会うきっかけがない!






「あ、あの・・・・また会ってもらえませんか?」





風早さんは周りの子ども達の目を気にしながら、子供たちに待っててと合図して、私を少し先に誘導した。



今まで奥手な私からは想像できないほど大胆な行動に自分自身で驚く。

恋って、人を変えるってほんとなんだな。

でも、その後の言葉を聞いて、私は頭が真っ白になった。





「どういうつもりで言ってる?あんまりそういうことは軽々しく言わない 方がいいよ。誤解されちゃうからね。」

「ちがっ・・・・!」




私はその言葉に思わず涙が溢れた。だって、やっとやっと会えたのに・・・。






「うわぁ〜先生、女の子泣かせてる!!」

「いつも先生女の子泣かせたら怒んのに〜!」

「えっ!ちがっえっと〜〜」





「ごめんなさい!!」

「あっ!山崎さん―?」






私はたまらなくなって一礼した後、その場を逃げ出した。

・・・そうだよね。社会人の風早さんからしたら私なんてまだ子供だ。

恋の対象にもならないなんて!


だけど・・・だけど・・・あきらめられないよ。
















あとがき↓
爽子、風早は24,5歳の設定。風早はあの爽やかさからやっぱり学校の先生かと。きっとかっこいいだろうな〜って。電車でそんなことされたら惚れるわ・・・。
それでは次で終わりです。よければまた見に来てください。

「かなわない恋」   へ