「野球少年の恋」6
野球少年の恋 1 2 3 4 5 の続きです。
偶然夏祭りで3人が会って、暗黙の了解で高瀬が爽子を好きだと
気付いた風早は・・・・。前半は風早目線、後半は高瀬目線です。
それではどうぞ↓
「翔太。」
振り向くと高瀬健太郎がいた。
「・・・・。」
そこは、今流行りの音楽が静かに流れ、なんだか違和感のある
空間に感じた。大学近くのカフェに誘われて、男二人が何も
言わず、沈黙の中、向き合っている。
何も言わずに、でもまっすぐ俺を見る高瀬さんに俺が口火をきる。
「俺・・・高瀬さんのことずっと憧れだった。大学に入って、友達みたいに
付き合ってもらってるけど、その気持ちは変わらないよ」
俺は思わず、手に力が入っていた。でもお互い目は逸らさない。
「だけど・・・これとそれとは・・・「ってる!」」
高瀬さんが口をはさんだ。
「分かってるよ。ははっ俺、ついてないな。まさか、こんなことってあるんだな」
と苦笑いした。
「お前と俺って、正反対だと思ってたのに、意外と似てたんだな。」
「大丈夫だよ」
とお金を置いて、高瀬さんは出て行った。
何も言わない。言えないという感情が痛いほど分かったから・・・。
その時の高瀬さんの目があまりにも切なすぎたから・・・。
でも、譲れないものってあるんだ。これだけは譲れないものって。
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今ならまだあきらめられる。初めての恋心・・・。
さらさらの長い髪、はにかんだ笑顔。大きな瞳。
あいつの大切な子だったなんて・・・。
あいつの想いは知っている。あまり、喋らないけど、分かるんだ。
中途半端な想いなら絶対、奪ってやるとか想うんだろうけど・・・。
あいつが友達という以上に、あいつの想いを裏切れない。
それに・・・二人はすごくお似合いだった。
それは今までの二人の月日がそうさせたものもあるだろうが、
それだけじゃない。二人の想いが深いんだろうってそう思う。
俺も出会えるだろうか・・・人生で一つだけの大切な想い。
無意識に流れていた頬につたう涙を拭って、高瀬は家路に向かった。
あとがき↓
次でラストです。風早にとって高瀬は尊敬する人だっただけに本当に複雑だった
んですね〜。よければまた見に来てください。
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