After Glow 8

オリキャラ主人公、爽風CP揺らぎなし。爽子は新任の高校の保健の先生、風早は大学を
卒業して家業を継ぐという設定。原作高校卒業後のパラレルです。そしてただいま、風早
アメリカ在住中。


☆ 放課後、爽子を訪ねた人物がいた。それが”K”ということを知った爽子は・・・?


この話は ★ After Glow 1 2 3 4 5 6 7 の続きです。














After glow 8







”『”K”は僕です』”



岸部はそう言ってにっこりと笑った。爽子はやっと探し求めていた”K”に会うことが
出来て、ぱぁぁと顔を輝かせる。ずっと探していた。自分に何が出来るか分からない。
でも話が聞きたかった。


「・・岸部くんが”K”さんだったんだね。訪ねてくれてありがとう・・やっと会えて嬉
 しい。あ、入って。この時間は誰も来ないので安心してください」


爽子は外をきょろきょろっと見渡すとドアを閉めて岸部を中に入れると、椅子を差し出
した。二人は向き合う形で座る。爽子はふーっと深呼吸すると岸部を真っ直ぐ見つめた。


「至らないかもしれないけれど、精一杯相談に乗らせてください。勇気を持ってBOX
 に入れてくれてありがとう。だから・・私は養護教員としてではなく、黒沼爽子自身
 として向き合いたいと思います。もちろん他言無用です」


お助けBOXを設置した時に爽子は決めていた。真剣な悩みを打ち明けてくれる時は”先生”
という立場は全て捨てて、人間として向き合うことに。


「つまり・・”先生”ではないと?」


爽子は真剣な顔で頷いた。岸部は爽子をじっと見つめると、微かに口角を上げた。



* *




「一息つかないか?」
「ありがとうございます」


放課後の物理準備室、九条はパソコンに向かって作業をしていた。山野井はコーヒーを
差し出す。飲みながらも作業を止めない九条に山野井はため息を漏らした。


「少しぐらい手を休ませたらどうだ?」
「後、プリントアウトするだけですから」
「いつも悪りぃな」
「いえ、面白いですよ。問題を解くことはあっても作ることはなかったですからね」
 それにタダ働きってわけじゃないので」
「行きつけの定食屋でいいか?」
「十分です」
「はは、内緒な」


実は山野井は秀才の九条にテストの問題作りをいつも手伝ってもらっていた。そのバイト
料が食事だ。山野井はコーヒーを飲みながら作られたテスト用紙に目を通した。


「・・ところで最近真面目に授業に出ているそうじゃないか」
「まぁ・・自分のしてきたことが馬鹿らしくなったんです」
「なんだ??妥協することを覚えたのか?よせよせ、お前が反骨精神なくしたらただの
 インテリ坊ちゃんじゃないか」
「・・・先生」


九条は呆れ気味に白い目をして山野井を見る。山野井は生徒に人気はあるが職員の間で
は浮いてるというのがよく分かる。


「はは、俺は主席の不良学生と言うお前が気に入ってんだ」
「僕、不良学生なんですか?」
「優等生じゃないことは確かだな・・・養護教員に手ぇ出す奴は」


ぶはっっ


九条は口に含んだコーヒーを吐き出した。


「・・どこでそんなデマを」
「デマなのか?女子達が噂してたぞ。”黒沼先生とお前がいい感じ”だと」


山野井はそう言ってニカッといかにもからかい気味に笑っていた。九条はコホンっと咳
払いをすると照れ気味に視線を逸らした。


「・・別に。ちょっと嫌な予感がするだけです」
「嫌な予感?」
「ま、いーじゃないですか。はい、出来ました。じゃ、メシ行きましょうよ」
「おーサンキュ。うん。完璧だな。よし、その話はメシ食いながら聞かせてもらおうか」
「先生・・・」


九条は鬱陶しい表情を浮かべながら仕方なしにウキウキとしている山野井の後をついて
いく。九条は知らなかった。この時、すでに予感していた爽子への危機が迫っているこ
とに・・・



After glow 9 
















あとがき↓
お盆・・ですな。戦争のTVはつらいけど受け止めないといけないといつも思っていま
す。過去がなければ現在も未来もないですからねぇ。本当に今では信じられない世の中
ですが。”平和”の大切さを日々噛みしめたいと思います。