「流れ星」9 


完全パラレルです!本誌にも沿ってません。あしからず!


風早と話ができたマイはあの頃抱えていた不完全燃焼な想いが消化されていった。
そしてその機会を作ってくれた爽子に伝えたいことがあった。


この話は「流れ星」  の続きです。
本編は目次にある「瞳は知っている」を見て下さい。

一話一話、視点を変えてみます。九回目はオリキャラマイ目線でどうぞ!




















ショウタがちゃんと笑えているのか知りたかった。でも本当は自分の気持ちにキリを

つけたかったのだと分かった。あの時のことを心のどこかで後悔していた。本気で好

きだったのに素直に出せなかったこと。失いたくなくて必死で取り繕っていたのだ。

あの時素直になっていたとしても結果は同じだっただろう。


でも・・・


もしあの時・・・ショウタの過去を知っていたなら何かが変わっていたのだろうか?

と、そんなことを咄嗟に思った自分が何だか妙に愛しくなった。



★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・


「爽子さん」

「あ・・・」


私がバーから出てくると爽子さんが気づいて駆け寄ってくれた。やっぱり心配だった

のかな?と思った。でもその心配は違った意味だった。


「・・風早くんは?」

「トイレ。ねぇ今のうちにちょっといい?」

「え?」


私は周りをぐるっと見渡し、二人きりになれるところを探す。そして爽子さんの手を

引っ張ろうとすると彼女の横に居たコウがすかさず止める。


「マイ、ちょっと大丈夫?」

「コウ。何?爽子さんに手、出してないでしょーね?」

「ははっ、さすがにそれはできないって・・どこ行くの?」

「心配しなくてもだいじょーぶよ。女の戦いとかじゃないし」


マイが余裕たっぷりに微笑んで言うと、コウは顔を歪めてヤレヤレと肩を窄めた。

二人のやり取りにぽかんとしている爽子の手を取りマイは部屋の隅に移動した。


「ごめん、強引に。・・・伝えたかったの」

「あの・・・?」

「ありがとうって」


彼の瞳を見ていると全部分かった。彼を変えたのは爽子さんだと。優しい人ではあっ

たけど恋愛にはどこか冷めているような気がしていた。恋愛だけじゃなく人に対して

本気になる人じゃないと勝手に思っていた。


「私が好きになった人に・・間違いはなかったって思ったの」

「舞さん・・・」

「爽子さんのおかげでちゃんと話せた。私、こんなこと言って怒られるかもしれない

 けど本当は心のどこかで期待していた。ショウタと会えること」


彼女の目が大きく見開いた。部屋の隅は少し暗くて周りの喧噪が不思議と耳に入らな

かった。もう会うことはないだろう。だからちゃんと目に焼き付けておきたい。

ショウタを変えた人を。あの人を幸せにできる人を・・・


「・・怒った?」

「いえっ・・そんな、怒るなんて・・」

「余裕なんだぁ〜〜?」


私が思わずからかい気味に言うと、彼女の顔が固まる。そして複雑そうに瞳を揺ら

した。


「本当は・・・とっても気になってます。し、嫉妬しちゃいそうで。わわっ〜〜言っ

 ちゃった!」


顔を手で覆い慌てる彼女。頭をぶんぶんと振って妙な動きも面白かった。


(確かに可愛いかも・・)


「ふふ、大丈夫。ショウタは爽子さんにベタボレだから」

「えっ?///」

「だから、早く名前で呼んじゃいなよ」

「あ・・・////」


彼女が顔を真っ赤にして”舞さんエスパーですか?”なんて聞くから思わず吹き出し

た。彼の心を捉えて離さない。そんな彼女が羨ましかった。

彼女のおかげで私は恋の終わりがきっちりとできたのだ。あの頃ずっと知りたかった

ことを彼の口から聞けたのだ。


「ココに来て良かった」


思わず漏らした私のひとり言に彼女も頷いた。”私も・・・”と。私達は自然に微笑み

合った。


「あ、ショウタくる。じゃね〜〜〜!他の皆とも久々だから飲んでくるね」

「あっは、はい・・あの!」

「え?」


私が振り返ると爽子さんが目を細めて微笑んで言った。


「ありがとう・・」

「・・・・」


彼女から”ありがとう”を言われる筋合いはないのだが胸の中がものすごく温かくなっ

た。その言葉で彼女が心配してくれていたのはショウタだけではなく私のこともなん

じゃないだろうか・・と、彼女のことをよく知らないけどそう思った。

私は背中越しに手だけを振った。そしてちらっと後ろを振り返る。嬉しそうな顔をし

て彼が走ってくる。爽子さんだけを見て。傍から見ていても分かる。

どれだけショウタにとって爽子さんが大事なのか。


(ったく・・・とろけそうな顔して)


その笑顔が見たかった。再会する前の自分とは違う自分が確かにいた。そして幸せそ

うな二人を見て、心から自分も幸せになりたいと思った。


”『出会えるかな?』”

”『もちろん』”



私はそっと目を瞑り、幸せいっぱいの彼の笑顔を瞼に焼き付けた。



<「流れ星」 10 へつづく>

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あとがき↓

間違えた、10話で終わりたいと言いたかったのでした!!(前回あとがき)
次終わります。単行本20巻良かったですねぇ〜〜キス二回もある(❤)何より
翔太の顔が大人っぽくてドキドキ♡個人的には親父に殴られた翔太が爽子の家に
来て「びっくりした?」という顔がスキーたまらん。やっぱラブラブ書きたい♪
ハロウィンまで壁紙ハロウィン仕様で