「流れ星」5 


完全パラレルです!本誌にも沿ってません。あしからず!


風早の海外生活の時に付き合っていた川崎舞。今カノの爽子を見つけて二人で話すが・・・
前話からさかのぼり爽子と舞の二人の会話です。

この話は「流れ星」 の続きです。
本編は目次にある「瞳は知っている」を見て下さい。

一話一話、視点を変えてみます。五回目はオリキャラ川崎舞目線でどうぞ!





















ショウタ・・・・

さきほどからちらちら私たちの様子を見ている。そりゃ気になるだろう。元カノと今

カノが話しているのだから。でもそうなるのが分かっていてなぜ彼は彼女をここに連

れて来たのだろう?私はそのワケを知りたかった。

でもこの時の私は何も知らなかった。彼女がどれだけショウタにとって特別なのかを。

だから心のどこかで彼女を試していたように思う。


あなたは私と同類?それとも違うの?


・・・と。


「風早くんはイギリスでどんな感じだったんですか?」


彼女と上手く二人きりになれた。私がショウタの元カノだということに勘付いている

のだろうか?そんなことを思いながら彼女の顔をじっと見つめる。


「そうだなぁ〜」


私はカクテルを口に含みながら何気なく話している風に見せる。でも心の中は様々な

感情が入り混じっている。例えば、きれいな黒髪だな・・とか、この髪にショウタは

惹かれたのかな?とか、雰囲気は暗く見えるけどよく見たら美人で目が綺麗だなとか。


「ショウタはさ・・」


そして私は”ショウタ”と呼べることに心のどこかで誇らしい気持ちを持っていたよう

に思う。だってあなたが知らない彼を私は知っている。あなたがまだ呼べない名前で

呼んでいる。

もし、今ショウタに「もう一度付き合おう」と考えてしまうかもしれない。終わった

恋だと分かっていても嫌いになったわけじゃない。むしろ気持ちを残したまま勝手に

終わらされた恋だ。でも二人の仲をどうこうしようとは思ってない。

ただ知りたいだけ。


「明るくて爽やかで外国人にもモテモテだったよ」

「うわぁぁ・・っ」


私がそう言うと彼女は嬉しそうに目を輝かせて話を聞いていた。そりゃ自慢の彼だろう。


「同じ印象?」

「はいっ・・・あ、うん。私は同じ大学とかでもなかったのでよくは知らないのだけ

 れど、一緒に海に行った時、皆を引っ張っていてクラスの人気者でした!」

「へぇ〜変わらないね。爽子さんだっけ?ショウタとどうやって出会ったの?」

「あ・・友達の友達でして・・」


私は彼女の一瞬の躊躇を見逃さなかった。何かあったのだと思った。そこでもう一歩

踏み入ってみる。


「ショウタは明るくていつも爽やかだったけど、私は気づいてたんだ・・・彼の笑顔

 が本物ではないこと」

「本物?」

「うん。何か笑顔に寂しさを感じてた」

「・・・・」


彼女は神妙な顔になった。

今日はアルコールが回るのが速い。身体が熱くなっていく。ショウタとのことは自分

思っていたより深い傷になっているのかもしれない。全て吐き出さずにいられなくな

っていた。彼女と不思議なつながりを感じたからかもしれない。

ねぇ?私と同じでしょ?決して彼の中まで入ることは出来ない。

私達同じだよ・・・って。


「私、ショウタの元カノなの」


私はカウンターに伏せて目線だけ彼女の方を向けて言った。彼女は驚いたように私を

見つめた。どんな風な答えが返って来るのだろう?


「・・そうですか」

「内心フクザツ?」


ちょっと皮肉っぽく笑って言う私に彼女は視線を逸らさずゆっくりと頷いた。”はい”と。


「だよね〜私たちの付き合い気にならない?」


すると彼女はしばらくの間視線を下に落とした後、真っ直ぐ私を見つめて言った。


「ならない・・って言ったら嘘になります。でもそれは風早くんの人生なので」

「え?」

「風早くんが出会った人たちはきっと風早くんの宝物だと思うから」

「・・ふ〜ん。物わかりいい彼女なんだね。私なんかヤキモチやきそうだよ」

「や、やきますよ〜〜。舞さんとてもきれいでキャリアウーマンで羨ましくてっ!」


またまたきらきらの目で訴える彼女。本当にそう思ってくれているのだろう。だけど

私はショウタのことが知りたくてココに来たんだよ。


「物わかりいい彼女なんかじゃありません。でも・・今、ある現実を大切にしたいと

 思うんです」

「今の彼を大切にするってこと?」

「全部・・・です。今こうしていられることは奇跡だと思ってしまうのだけれど・・・

 奇跡とかじゃなくて沢山の気持ちの上にあるんだって」

「・・・・」


私はその言葉の意味が分からなかった。でもその横顔があまりにもきれいに感じて、
なぜか言葉を失ってしまった。


「そして・・寂しい笑顔も全部風早くんだと思うから全部・・・欲しいって思うんです」

「欲しい?」

「はい」


彼女は”私、欲張りですから”とそう言って微笑んだ。

揺らがない気持ちを感じた。生半可な気持ちではないということを私に言いたいのだ
ろう。だから邪魔しないでってことか。

そして彼女は予想外のことを口にした。


「風早くんと話した方がいいと思います」

「え?」

「風早くんと舞さんの過ごした時間に私はいる必要はないので」


彼の気持ちもまた揺らがないという自信があるのか。この時はまだそう思っていた。

でもこの後、ショウタと話して気づくことになる。彼女は自信があるんじゃないんだと。

そんな浅はかなものではないんだと。


彼と彼女はもっと深いところで結ばれているのだということを・・・。



<「流れ星」  へつづく>

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あとがき↓

またまた久々になっちゃいました〜〜〜(-_-X) 一週間に一回ぐらい更新したいんで
すけどね。難しい。そのうち別マも発売するしコミックスも。楽しみ♪
この話はいつまで続くのでしょう。10話ぐらいか。気まぐれブログすみません。
秋になってきました。皆さま秋バテお気をつけください。食欲の秋も心配だけど。
太りそうで・・・。