「流れ星」10 


完全パラレルです!本誌にも沿ってません。あしからず!


全てを爽子に見て欲しいと思った風早。それはマイにとっても良い機会となった。
改めて爽子の魅力を感じた風早は・・・?最終回です。


この話は「流れ星」  の続きです。
本編は目次にある「瞳は知っている」を見て下さい。

最終回はだいたい風早視点かな。























あの海で彼女が流した涙は流れ星となり消えていった。声を掛けることもその涙を拭

うことも何もできなかった。ただ瞳を合せるだけ。でも知っていたんだ。彼女の瞳が

何を語っているかを。

今はその涙を拭うことができる。手を伸ばせば彼女がいる。流れ星になり消えること

はない。いや消えさせない。それは奇跡なんかじゃなく、色々な人たちが支えてくれ

たということ・・・俺は決して忘れない。



★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・



「ちょっとコウ!」

「え?なになに?」


風早は爽子が席を外すのを待っていたかのように、爽子がトイレに行くのを見送ると

ムスッとした顔でコウを手招きした。


「さっきから爽子に近いんだけど」

「さっきっていつから?」

「俺がいない時も」

「え??何?見てたの?こえ〜〜っ!マイと話してたんじゃないのかよ」

「・・気が気じゃなかった」


ぶすっと不機嫌そうに言う風早をコウは思わずぽかん・・と見つめた。


「ショウタって、そんなキャラだったんだ?」

「それ、マイにも言われた」


コウは素直に自分を出す風早を見て内心嬉しくなったと同時にからかいたくなった。


「・・だって俺、ずっと爽子ちゃんに会いたかったし」

「なっ!爽子ちゃんとか気軽に言うなよ」

「いいじゃん、減るもんじゃないし〜〜別にお前のモンでもないしな」

「っ〜〜〜!」


(おもしれ〜〜っマジギレしてるし)


コウは必死で笑いを堪えながらもっといじくりたくなった。というかもっと風早の

本音を聞きたくなったのだ。


「なんてかな・・可愛いいよな〜〜俺の目も褒めてくれたし。ヤバイ惚れそっー」


ーばんっ


机を叩いて伏せている風早にコウは思わずびくっとする。


「あはは〜〜冗談だって!!本気になるなよ」

「−誰にも渡さない。絶対離したくないんだよ」

「・・・」


真剣な風早の目をコウはじっと見つめた。それは少し寂しさを含んだ瞳だった。

風早はさっと視線を逸らして俯くとビールを一口飲んでため息をついた。


「はぁ・・俺、自分が怖い」

「何ソレ?」

「付き合ったらもっと・・って欲張りになってく。やばいんだよ、俺いろいろ」


風早は思わず出てしまった本音にハッとして顔を上げると、コウが口角を緩めてニヤ

ニヤしていた。風早は焦ったように視線を逸らした。


「・・何も言うな」

「いーじゃん。今のショウタさ、あの頃よりずっとCoolだよ!」

「もーいいから///」

「テレんなって。そこ変わんね〜な。あはは〜〜〜」

「っせー」


コウは散々からかった後、真面目な顔になって言った。


「爽子ちゃん・・・もう自分を偽りたくないって。ハルも今は彼女いんだよな?」

「うん・・・」


何の因果か、コウとハルが繋がっていた。そう・・同じ想いを共有できるヤツがもう

一人増えたのだ。それがなんだか恥ずかしいようで嬉しかった。

その後も皆と昔話に花を咲かせて楽しい夜だった。苦しみから逃げ出すために日本を

離れたあの時。でも今、こうやってあの頃のことを楽しく話している。あの時間は俺

にとって必要な時間だったのだろう。人生に無駄はないというのは本当だ。その頃分

からなくても時が経ち、分かることってあるのだと・・。俺はそんなことを考えなが

ら爽子の横顔を見ていた。

彼女は・・・今日、どんなことを思ったのだろうか?



★゜・。。・゜゜・。。・゜★゜・。。・




会が終わり風早は爽子を送っていた。冬だけどほろ酔いの身体はぽかぽかと温かい。

風早はしばらく歩いた後、立ち止まり爽子に向き合った。爽子も自然に向き合う。


「爽子・・・今日、ありがとう」

「こちらこそ。連れてきてくれて・・・ありがとう」


爽子はそう言って白い息を舞わせながらにっこりと微笑んだ。風早は安堵の表情を浮

かべると、ぎゅっと爽子の手を握りしめ真剣な表情で言った。


「全部・・見て欲しかった。俺の我儘を受け入れてくれてありがと」

「私も会えて・・良かったと思ったよ。舞さんに」

「爽子・・」


爽子は穏やかな笑みを浮べた。そして満天の星が広がる夜空を見上げた。


「・・人には色々な気持ちがあるでしょう。舞さん、風早くんと話した後、とっても

 いい顔してたよ」

「うん。あの時とは違う気持で話せた。・・・爽子のおかげ」

「違うの。私そんなにできた人間じゃないよ。ただ・・後悔したくないと思ったの」

「後悔・・?」


爽子は少し躊躇しながらも風早の目を真っ直ぐ見つめた。


「本当はし、嫉妬しているのだけど・・・私が嫌だから」

「///え?嫌?」

「私が舞さんだったら・・・嫌だと思ったの。もし話したいことがあったのなら、

 ちゃんと話したいと思うから。勝手に判断して申し訳なかったのだけれど・・っ」


ぎゅっ


「か、風早くん?」


いきなり抱きしめられた爽子は驚いたように声を上げた。


「・・っもう、隠しておきたい」

「えっ??」


本当に離せない。彼女が側に居ると気持ちが溢れ出る。彼女は気づいているのだろう

うか。沢山の人間が救われていること。人を変える力を持っているということ。

そして俺が君を知るたびにたまらなく惹かれてしまうことを・・・。


「ー好きだよ。爽子」


風早が思わず夜空に叫ぶと、胸の中にいる爽子が恥ずかしそうに”私も”と呟いた。

そして・・・


「好きだよ・・し、翔太くんっ///」

「!!」


俺はたまらず彼女の口に自分のを重ねた。その時夜空に一筋のきらめく星が流れた。

流れ星に祈る。


どうか・・・ずっと彼女といられますように。



月夜に照らされた二つの影はもう一度重なり合い、それはいつまでも離れなかった。



<おわり>

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あとがき↓

20巻の二人っぽく終わってみた。たまらずキスですよね〜〜あれ。風早って本当
に爽子が好きなんだな〜〜って思います。もちろん爽子も。カルピンせんせの絵柄エロかわいくって好き。カレンダーどんなだろ??
次番外編です。風早が本音を暴露。好きすぎてやばいってやつを書く。だはっ♪