「流れ星」6 


完全パラレルです!本誌にも沿ってません。あしからず!


マイが風早の元カノと分かった爽子は二人を残してその場を去って行った。
その理由は・・・?


この話は「流れ星」  の続きです。
本編は目次にある「瞳は知っている」を見て下さい。

一話一話、視点を変えてみます。六回目は爽子目線でどうぞ!























すりガラスから見える二人の後姿。バーの高い椅子に座る二人はとてもお似合いだ。

二人が付き合っていたのが納得できる。その時ちくんっと胸が痛んだ。


(あ"ぁ・・っ私ったら!)


パンパンッ


爽子は先ほどからぐるぐる回っている思考に恥ずかしくなり自分の頬を叩いた。


「爽子ちゃん?」

「え?」

「ーだったよね?名前」


爽子が皆が騒いでいる会場の方の端で座っていると横に居た男性が話しかけてきた。

その男性がいつの間に自分の横に居たのか気づかないほど隣のバーに居る二人が気に

なっていたのだ。”二人で話した方がいい”と勧めたのは自分なのに。


「あの・・・」

「あぁ俺?コウ。字ははずかしーんだけど”香”って書くんだよな。男なのに」


そう言ってその男性はサラサラの少し長い髪をかき分けて照れ気味に言った。ものす

ごく整った顔をしていて外国の人みたいだった。そしてよく見ると・・・


(うわぁ〜目が・・ビードロみたい)


「ん?」

「きれい・・・あっ!」


私は思わず心の声が漏れていたことに気付いて焦った。


「ん〜〜男として褒め言葉に聞こえないけどね」

「あぁ”ごめんなさい・・・そうですよねっ男の方に・・っ」

「はは、気にしないで。よく言われるから。俺ハーフなんだ。けっこー子供の頃は女

 装とかさせられたり悲惨だったし。両親が女の子欲しかったみたいでさ〜名前で分

 かると思うけど」

「・・・スゴく素敵な名前だと思います」


コウは一瞬唖然とすると腹を抱えてケラケラと笑い始めた。爽子は訳が分からずきょ

とんとその姿を見ていた。


「あぁごめんね。なんか、ショウタの言っていた通りだったから」

「え?風早くん?」


そう言ってコウさんは優しく微笑んだ。私は風早くんの友達は殆ど知らない。そう、

ハルくん以外は。


「ショウタって親しみやすく見えてそーでもなくて、どっかでガード堅いって気がし

 てた。あの二人・・・」


コウさんはそう言うとちらっとすりガラスの向こうに目をやった。爽子はその目線を

察して静かに頷いた。


「さっき聞きました。二人がお付き合いをしていたこと」

「そっか。二人にしていいの?」

「あ・・・舞さんが何となく風早くんと話したいような気がしたので」

「ふーん、怖くないの?」

「え?」


”怖くないの?”


私はその言葉の意味を理解していながらも聞き返していた。まるで心の中を見透かさ

れているような気がしてドキッとしてしまったから。さきほどから同じ思考を繰り返

えしている。でも私はそうしたかった。なぜなら私ならそうして欲しいから。


爽子はゆっくりと視線を下に向けて言った。


「不安・・・がないと言ったら嘘になります。先ほどから気になって仕方がないし。

 でもっ・・・でも向き合って欲しいって思ったんです」

「向き合って欲しい?」

「はい。舞さんの目が・・・風早くんを見る目がとても寂しそうだったから」

「・・・・」


そして私は数日前の風早くんの真剣な眼差しを思い浮かべた。


* *


 『明後日、イギリスにいたときの仲間が集まるんだ。爽子一緒に来てくれないかな?』

 『え・・いいの?』

 『いいっていうか来て欲しいんだ』


普段あまり風早くんの友達に会ったり沢山の人の集まりに行くことのなかった私は少

し驚いた。すると風早くんが言った。


 『そこで何を知っても、絶対間違えないでほしい』

 『・・間違え・・る?』


それはとても真剣で真摯な眼差しだった。


”俺が好きなのは爽子だってこと”


真っ直ぐな風早くんの気持ちが注ぎ込まれるような気がした。舞さんとのことを知っ

てその言葉の意味が分かった。”全部見て欲しい”の意味も。

いつも誠実に私に接してくれる風早くん。そしてちゃんと気持ちを届けてくれる。

間違えたくない。大切な風早くんの気持ちを絶対に・・・。


* *


「・・・風早くんを信じてますから」


爽子は穏やかな顔で言った。

コウは興味深そうにじっと爽子を見つめた後、ふっと笑みを漏らした。


「ふ〜ん。なんでショウタが君を好きになったか分かるな。あぁ”〜なんかその真っ

 直ぐな目を見てると全部ぶちまけたくなった」

「??」

「俺、こー見えても結構人を見る目あるんだよな」


きょとんとしている爽子にコウは顔を少し近づけるとにっこりと笑った。


「その正直な目に勝てる子はなかなかいない気がするから」


そう言ってウィンクする香さんに私は上手く応えられずコワイ顔になっていたかもし

れない。でも私には分かった。それが嘘ではないこと。なぜならその目は風早くんの

真っ直ぐな目と同じだったから。



だけどその瞳はほんの少し寂しさを含んでいるような気がした。




<「流れ星」 へつづく >

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あとがき↓

もうすぐ別マだ〜〜!楽しみだ。
この話、次回はオリキャラ香目線でいってみます。