「流れ星」7 


完全パラレルです!本誌にも沿ってません。あしからず!


風早とマイを二人にした後、爽子の元にコウという男が現れた。コウと風早の関係は?
コウの想いとは・・・?


この話は「流れ星」  の続きです。
本編は目次にある「瞳は知っている」を見て下さい。

一話一話、視点を変えてみます。七回目はオリキャラコウ目線でどうぞ!

























向こうでアイツと会った時、親しみのある笑顔ですぐに友達になれると思った。クラ

スは違うけどよく家にも遊びに行って実際すぐに仲良くなった。とにかく気持ちの良

い奴でそれでもって信念のようなものをちゃんと持っていて信じられる奴だと思った。

俺はハーフということもあり目が緑色をしている。それを日本に居る時はよくからか

われたが外国だからじゃなくってもしかしてコイツはどこに居ても普通に接してくれ

たんじゃないか?って思わせてくれた。


「でも、ちょっと違ったんだな」

「違・・った?」


コウはビールを一口飲むとあの頃を思い出すように遠い目をした。


「ダチだと思っていたのは俺の方だけだったってこと」


彼女の目が少し潤んだ。何かこんなことを言うのは恥ずかしいとか思ったけど、なぜ

か全部気持ちを吐き出してもいいような気がしたんだ。俺の目を”きれい”と言ってく

れた彼女だから。


「人のことに一生懸命になってくれる。困ったときは力になってくれる。でも俺が特

 別ってわけじゃなくて皆にそうで・・・あぁ”なんか駄々っ子みたいじゃん俺!」

「そ、そんなっ・・」


少し和ませるつもりで冗談を言ったことも真に受ける彼女が妙におかしかった。そう、

俺はこの会に来て二人が並んでいるところを見たかった。あの頃と違うショウタを見

たかったんだ。


「でもアイツが計算でもなく、性格的にそれほど自分をさらけ出せる奴じゃないんだ

 ってこと離れてから気付いた。ガードが固いってのも性格なんだよな」

「・・・・」

「俺は東京に戻って就職した。ショウタは北海道に戻って教師をしている。なかなか

 会う機会もなかった。そのうちもっとショウタから遠い関西に俺は転勤したんだ」


彼女の瞳が微かに揺れる。”関西”に何があるのか分かっている。


「そしてある男に出会った。ほんっとに何の縁だろうな。俺とショウタは知らない所

 で繋がっていたんだよ」

「??」


俺は彼女の目をじっと見ると、少し前かがみになり言った。


「転勤先の職場で”ハル”って男に会った」


彼女の大きな瞳が見開いた。驚きのあまりしばらく固まっている。そりゃそーだろ。


俺はショウタの心の内まで入ることができなかった。親しみやすく見えても、何だ

かんだ言って自分をどこかでガードしている卑怯な奴だと思っていたことをハルに

会って全部覆された。


「・・・恥ずかしかった。俺がショウタに思っていたことや思った以上にショウタ

 に執着していた自分自身に」

「・・・」

「俺は何も知らなかったんだ。アイツの傷がどれほど深くて重いものだったか・・。

 誠実なアイツは苦しみ続けてたんだな。あの頃」

「・・・・」

「それからショウタに会ったよ。すると素のアイツと出会えた。爽子ちゃんの話をす

 る時、本当に幸せそうに笑うんだよ」

「えっ///」


それはあの頃に見たことのない心からの笑顔だった。苦しみ抜いたからこそ友情も恋

愛も失わずに済んだのだ。


「っとに不器用だよな。アイツも爽子ちゃんも」


すると彼女は穏やかな表情をして小さく微笑んだ。


「−はい。もう二度と自分を偽りたくないです。そして大切にしたい・・今の現実を」

「・・・・」


彼女はとてもきれいな瞳をしている。アイツが言っていた通りだった。


”彼女のやることは全て本当なんだ。そんな正直な彼女が好きなんだ”


それなのに彼女はずっと気持ちを偽っていた。それほどハルは大切な存在だったのだ

ろう。ショウタにとっても。

ショウタは大切なものはちゃんと守る男だ。ちゃんと向き合う奴。


「・・・だからちょっとうらやましかったな。ハルのことも爽子ちゃんのことも」

「うらやましい?」


俺は返答せず笑みを浮べた。俺はそこまでショウタの友人にはなれなかった。でも思

ったんだ。やっぱりショウタのことが好きだと。好きだからこそ悔しかったりしたの

だろう。だからショウタが幸せになったことがこんなに嬉しいんだ。


「でも、マイは気の毒だったな。ある意味犠牲だ」

「え・・?」

「あの頃もショウタは爽子ちゃんしかなかったんだよ。忘れようと思ってたんじゃな

 いかな?マイは本気だったと思うよ」

「・・・・」

「それにマイは何も知らない。ショウタどんな想いであの頃過ごしていたかを・・・」


彼女はしばらく考え込んだ後、バーの方に目を向けて言った。


「・・・それは違うと思います」

「?」

「舞さんは決して犠牲なんかじゃないと思うんです」


彼女は凛とした姿でしっかりと俺を見据えて言った。


「風早くんはいいかげんな気持ちで人に向き合う人ではないと思います。きっと二人

 しか分からない大切な想いがあったはず・・」

「・・・・」


俺は思わず言葉が出なかった。
そんなことを想うことは彼女にとってつらいことじゃないのだろうか?
だけどそれ以上彼女は語らなかった。ショウタを信じたいのだろう。だから二人きり
にしたのだ。


「ちゃんと・・二人が話せるといいな」

「−はい」


彼女はとても嬉しそうに笑った。堅かった表情が自然になっていく。ショウタの話を
している彼女はとってもかわいく感じた。まるでショウタが彼女の話をする時のよう
に・・・。


「あのっ・・」

「ん?」

「そのっ・・・私が言うのもおこがましいですが、風早くんにとって香さんは・・・

 大事な友達だと思います」


拳を握りしめて必死に言う彼女に一瞬ぽかんとしてしまった。そして思い出した。

アイツが彼女についてもう一つ言っていた事。


”自分のことように人のことを想う。俺の憧れなんだ”


うん。分かるよ。ずっと会いたかったんだ。


「・・会えて良かった」

「え?」

「いや、何も。ありがとう」


そう言って俺は穏やかな顔でバーの方に目を向けた。本気で人を好きになるほど簡単

に気持ちが消えるものではない。でも消化しなければ次の恋に行けないんだ。だから

こそマイはこの会に参加したのだろう。そしてショウタがここに来たワケも。

例え終わった恋でもあの頃の想いは決して消えるものではないのだから。


「ちゃんと終わらせろよ・・・マイ」


俺は第三者の立場であの二人を見続けたあの頃を思い出し、タイムスリップしたかの
ように後姿を見ていた。





<「流れ星」  へつづく>

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あとがき↓

勝手にオリキャラ妄想が広がった。好きだなぁ〜私も(笑)
さて、別マ今月号、ほのぼのでしたね〜〜次に動き出しそう。次の別マはキミトド
カレンダー付き!!これは買いますよ。トイレに必要♪それに巻頭カラーわーい♪
20巻も出ますね。20巻か・・ここまで続いてくれて感謝ですね。もう終わりそ
うだけど。やっぱ寂しいな。