「Once in a blue moon」(49)
※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。
★「Half moon」は 目次 から。
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47 48 の続きです。
☆ 麻美と和解した蓮。でも何だかまだわだかまりを感じていて・・・?
・‥…━━━☆ Once in a blue moon 49 ‥…━━━☆
あれから蓮と麻美は何もなかったように関係が続いている。麻美を好きな蓮の後輩に
は蓮がはっきりと麻美と付き合っていることを告げた。初めはぎこちなかった後輩も
今は普通に働いている。結局、恋愛相談をされながら、ある意味こちらが動くきっか
けをもらったことになる。
あのままだったらどうなってたんだろう?麻美と別れていたんだろうか?
そんなことを考える。でも正直な麻美のことだから自分から言っていたのかもしれない。
なぜ、あそこまで一生懸命になれるんだろう。俺の過去を知りたい一心で動ける麻美
が羨ましかった。それはまるで翔太のようだ。翔太は過去を探ったりはしないだろう
けど、時々翔太と麻美がかぶる時がある。その真っ直ぐ向かってくる瞳に・・・。
”その想いに応えたい・・・”そう思った時、俺は過去の失敗を繰り返していることに
気付く。応えるんじゃない・・・愛するんだと。
気持の重さは図れない。だけどそんな俺を麻美は見抜いているんだろう。
以前と同じように笑い合いじゃれ合いながらふとした時、いつもと違う麻美がいるよ
うな気がした。
蓮は、少しずつだが確実に麻美との間に今までと違う変化を感じていた。
* * *
「良かったじゃん」
「ま、色々悪ぃな」
「はは、俺ら何もやってないし」
麻美はあれから蓮と一緒に風早家に一回顔を出した。最初はぎこちなかった麻美だが、
すぐに以前のように戻り爽子も風早も安心した。この日は退社時間が珍しく同じぐら
いになりそうだということで二人で飲みに行くことになった。
翔太はおかずをつまみながらそれとなく聞いた。
「結局、何だったの?瀬戸さん」
「あぁ・・何か俺との関係に悩ませてたみたい」
「なるほど・・・蓮、分りにくいもんな」
「そっか・・・そうだよな」
考え込むように言う蓮に翔太はぽんっと背中を叩いてにっこりと笑った。
「女の人は言葉がいるんだって。大学の先輩が言ってた。ガンバレ!!」
「ーったく人ゴトだと思って」
あはは〜〜っ
冗談を言い合って緩んでいた蓮の顔が段々と曇る。蓮はグラスを見つめながら言いに
くそうに言葉を発した。
「でもさ、麻美・・変じゃなかった?」
「何が?」
「あの夜」
翔太は言葉の意味を探るように蓮を見つめる。蓮は風早家に麻美が久々に行った夜の
ことを思い出していた。最初のぎこちなさはなくなって次第にいつもの麻美に戻って
いた。嬉しそうに爽子の料理を食べる麻美。結月と遊んでいる麻美。見た感じは何も
変わっていなかった。しかし蓮は何か引っかかる。
本当にいつもの麻美なのだろうか?・・・と。
蓮と結月がじゃれ合う横で爽子と麻美が会話していた風景を思い浮かべる。
* *
きゃはは〜〜っ
『蓮とゆづっちって最初会った時からこんななの?』
『気づいたらこんな感じかな・・・でも以前は仙台と北海道であまり会ってなかった
のだけれど』
『ふぅ・・ん。あまり会わなくてもゆづっちは蓮に懐いてたんだ?』
『うん・・。不思議なのだけど最初からそうだったの。相性がいいみたい』
その時ふと見た麻美の目がいつもと違う気がした。何が違うと言ったら形容できない。
ただ、妙に冷めているような気がした。
* *
「う〜〜ん、どうだろ?俺には分かんなかったけど・・・」
翔太が眉を顰めて言うと、蓮はニッと意地悪そうな笑みを浮かべた。
「翔太は奥さんしか見てないからな」
「えっなっ!////もぉ〜〜〜蓮っ!」
あはは〜〜っ
笑っていた翔太の顔が次第に真面目になり、蓮をじっと見つめた。蓮も見つめ返す。
「でもさ・・・大切なモノ見失わないようにな。あの時の俺のようにさ・・・」
「・・・翔太」
そのせつなさを帯びた真っ直ぐな瞳は麻美を彷彿させた。
”大切なもの”
形にできない想いを抱えながらも時が過ぎていく。季節は冬、もうすぐ今年も終わろ
うとしていた。
* * *
風早家ー
「蓮さんはお正月はやっぱり帰るんだね」
「うん、そーみたい」
週末、3人でぽっかぽかの鍋を囲みながら温かい夕食を食べていた。爽子が結月に具
を取って渡しながら言った。言った後少し表情を曇らせた爽子の気持ちを察するよう
に翔太が続ける。
「瀬戸さんは一緒に行かないんだろ?」
「うん・・・多分。一緒に行けたらいいのだけど・・・」
「瀬戸さんは結婚したいの?・・・あっゆづ、熱いからな」
ふぅ〜〜っと息を吹きかけながら結月は食べるのに必死だ。必要以上過保護にしない
風早家はなるべく結月自身に挑戦させることが多い。でも二人は必ず結月から目を逸
らさないで見守っていた。
「分からない・・・ただ、麻美ちゃんが寂しくなるなって思ったの」
「お正月?」
爽子がコクンッとゆっくり頷いてせつなそうな顔をすると、翔太はにっこりと爽子に
笑って言った。
「じゃ、またウチ遊びに来てもらったらいーじゃん。爽子が遊んでやりなよ。仕事も
正月休み長いんだよな?」
「そ、そんなっ遊ぶなんて・・・私が遊んでもらってますっ」
思った通りの返答に翔太はふっと笑うといきなり照れた表情になった。爽子はきょと
んと翔太を見つめる。
「?」
「俺も遊んでほし〜〜けど」
「え?」
「だって爽子仕事始めたから前より一緒に過ごせてない・・・」
ぷぅっと頬を膨らませながらも語尾が小さくなっていく翔太を唖然と見ていた爽子は
思わず笑みがこぼれた。
「あっ!子どもっぽいって思ったろ??」
「そ、そんなことないよ・・・かわいいなぁって思ったけどっ///」
「/////」
今度はお互い真っ赤になる。そして翔太はおねだりするように上目遣いで爽子を見上げる。
「瀬戸さんが来る日以外は・・・正月、ずっと爽子一人占めしていい?」
「えぇ??////で、でも両方の両親の家にも行かないと・・・っ」
「〜〜〜うぅぅ”〜〜っ」
くしゃっと髪をかき乱し机に項垂れる翔太。
”じゃ、それ以外ね?”とエセ爽やかな笑顔で翔太に迫られ、爽子は真っ赤な顔をして
頷くと、翔太の耳元でこっそりと”私も・・・”と囁いた。
実は翔太は実家に行く時間ももどかしく思っていた。一年、365日一時も離さず
爽子と過ごしたいと思っている翔太にとって・・・・。
(もちろん両家の親んとこ行くのは嬉しいけど、どちらの家も爽子を取られる。はぁ・・・)
思わずため息をついた翔太だった。すると結月がなでなでと翔太の頭を撫でてくれた。
「ゆづ〜〜!?・・・かわいすぎるっ!大好きっ」
ぎゅっ
「しょ、翔太くんっ!!ゆづちゃんのお皿が傾いてる〜〜っ」
「うわぁぁ〜〜ごめんっ」
わゎゎ〜〜〜ばたばたっ
ぎゅう〜〜っと抱きしめられながら結月はけらけら笑っている。
このウブコント夫婦の雰囲気を心地良く感じている結月。それが当たり前でこの場に
は幸せの気しか流れていなかった。ここでは自分の世界を犯されるものは何もない。
そんな結月の中で小さな変化が生まれていることに二人はまだ気づいていなかった。
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あとがき↓
ウブコント入れなきゃやってらんないよ・・・(笑)そして大好きな男同士の飲み会ね。
二人の飲み会大好きなんです。Half moonの時から書きすぎって??
だから話が伸びるのね。すみません・・・