「Once in a blue moon」(70)


※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
  爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。

★「Half moon」は 目次 から。
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☆あれから、翔太も駆けつけたが、様態が安定したということで蓮に風早家は無理やり帰され
る。複雑な想いを抱えながらもホテルに帰った爽子たち。そこでのラブいちゃです。💛
(ちょっとRなのでご注意!)













・‥…━━━☆ Once in a blue moon 70 ‥…━━━☆




















あれから蓮は、”明日の朝麻美が来てくれることになったから”と無理やり爽子達を帰
した。二人にはそれが嘘だと分かっていたが、体調は安定しているようだし蓮の性格
が分かっていたので退散することにした。


「ぷは〜〜〜うまっ!」


翔太達はホテルに帰って結月を寝かせると、ベランダに出て夏の夜風に当たりながら
ビールを開けた。飲んできたはずの翔太だが再びおいしそうにぐびぐびと喉を鳴らせ
ている。雨上がりの夜風が心地よい。


「みなさんお元気だった?」
「うん。元気だった。懐かしい面々だったよ。もう一本飲んでいい?」
「もちろんだけど、翔太くん、今日あまり飲まなかったの?」
「いや、けっこー飲んだけど・・・飲んだ気しない」
「どうして?」


爽子が向かい合わせに座り、不思議そうに首を傾げると翔太は少し拗ねた表情で上目
遣いに爽子を見つめる。その表情に爽子は思わずドキッとする。


「え・・?///」
「爽子がいないもん。爽子と居られる大切な時間だったのに」
「あ・・///」


「蓮とこに行ってるしさ・・・」


そして翔太は爽子に聞こえないように小さな声で独り言を言った。


「え?何?」
「・・いや。べつに!それより蓮のこと、よく分かったね。電話したの?」
「それがね、本当に不思議なのだけど・・・」


爽子は今日の出来事を全部翔太に話した。結月の行動、蓮の様子等。翔太は真剣な表
情で話に聞き入ると、黙り込んだ。


「翔太くん?」
「あ・・ごめん。なんか俺って・・あ”ぁ〜〜〜!」
「え?え?」


一人悶えている翔太を爽子は目を丸くしてきょとんと見つめる。


(ちっさいヤキモチなんて言えね・・・しかも蓮に)


翔太は気を取り直してにっこりと作り笑いをした。


「なんでも・・。しっかしゆづってすごいよな。人のピンチを察するなんて。前から思
 ってたけど、ゆづには俺たちが見えないものが見えたり、感じたりするんじゃないか
 なって。だから不安になって言葉が出ないのかもしれないな」
「うん。そうだね・・でも」
「ん?」
「・・・・」


爽子はそのまま言葉を止めてしまった。なぜか言いにくく感じたからだ。結月が蓮だ
けに異様に反応しているような気がすること。そして蓮の手を握った時の不思議な感覚。
涙を流した蓮の姿、悲しそうな様子などは話せたのに、それ以上は言えなかった。


(なぜ・・言えないんだろう)


胸に手を当てたまま止まっている爽子の顔を翔太は覗き込む。


「わっ///」
「ん??」


爽子はあわあわと焦って顔を真っ赤にする。


「しょ、翔太くんのアップはドキドキしちゃうのでいきなりは禁止です!」
「え・・・」


ずる・・っ


一瞬体勢を崩した翔太は再び悶えるようにうずくまると、すくっと立ち上がりテーブル
に手をつき爽子を囲んだ形で再び顔を近づけた。


「しょっ・・///」


ドキドキしている様子の爽子を見て、翔太は嬉しそうに口角を上げる。


「じゃ、もっとドキドキして」
「ちょっと・・・待って」
「待たない。だって、いつもこっちがドキドキさせられるばっかだからさ」
「そ、んな・・私がいつも!・・んっ」


翔太は爽子が言い終わるのを待たないで唇を塞ぐ。一回だけでは物足りず何度も何度
も角度を変えてキスを繰り返した。やっと唇を解放された爽子から熱い吐息が漏れる。
その様子に満足そうな翔太はさらに熱い瞳で爽子を見つめて言った。


「今日一緒に居られなかった分、取り戻させて」
「・・うん」


爽子は恥じらいながら頷くと、そっと翔太の胸に顔をうずめた。二人はしばらくの間
幸せを噛みしめるように抱き合う。


このドキドキ・・・


これが恋愛感情。翔太くんには人間としての尊敬、家族愛、様々な感情があるけれど、
ずっと変わらないこの気持ち。翔太くんにしか感じないこのドキドキした高揚するよ
うな感覚。


ドクンッ


その時、爽子は翔太の胸に体を預けながら、さきほど蓮の手を握っていた時に感じた
感覚を思い出した。


(どうしよう・・・同じだ)


バッッー


「爽子?」


いきなり自分の身体から離れた爽子に翔太は驚いて一瞬動作が止まる。


「あっ・・・そろそろお部屋入らない?夜風が冷たくなってきたし」
「そう・・かな?」
「う、うんっ・・それにもう眠いかなって」
「え・・・」


翔太は爽子の背中を見つめてほんの少し眉を顰めた。でもすぐににっこりとして爽
子を背後から抱きしめる。爽子は首に翔太の舌の感覚を感じ、”きゃっ!”と思わず
声を上げた。


「だめだよ。寝かせないから」
「しょ、翔太くん・・今日は強引だね///」
「ん・・さっき言ってたでしょ。爽子不足だって」
「///」


翔太に首を舐められながら言われ、再び爽子の身体が熱くなる。二人は隣の部屋で
寝ている結月を気にしながらも甘い夜を過ごした。


(今日の翔太くん、大胆だったな・・っ///)


そんなことを思う自分を恥じながら爽子は横の翔太をちらっと見る。すでにスースー
と気持ち良さそうに横で寝入っている翔太を見て思わず笑みが零れた。一方爽子は
一向に眠気がやってこない。今日感じたことは錯覚だと思いたかった。一時、翔太
に愛されながら忘れていたが、ずっと爽子の脳裏に焼き付いて離れない想い・・・
言葉よりダイレクトに伝わってきたもの。


(そんなことあるわけない・・・)


爽子はぎゅっと目を瞑り、その思いを払拭させる。目が覚めるとこの想いがすべて
頭からなくなっていることを願って。
だが、そんなことは起こるはずもなくこの後爽子を苦しめていくことになる。



この夜を境に蓮と麻美、爽子・・・そして翔太の関係が大きく変わっていく。誰も
が蓮の未来を予想できなかった。苦しみを抱えきれなくなった蓮はある行動に出る
ことになる。翔太がその事実を知ったのはお盆明けに会社に戻ってから一週間が経
った日のことだった。







「Once in a blue moon」71 へ


70話まできたので、一応置いてみます。コメント欄以外で何かあれば・・・
サイト放置の間も拍手を下さった方々、ありがとうございます〜〜〜(泣)

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あとがき↓

やっと物語を動かせた。ここまできた・・・。ラブいちゃはいらないのに、入れてしまう。