「二文字のコトバ」番外編

以前は言葉に出来ていた『好き』と言う言葉。今は気持ちが大きくなりすぎてお互い

言葉にできない。それぞれ大人になりぶつかった新たな壁を乗り越えた二人。

この番外編は11話の後からの話です。ちょっとギャグ風の二人をお楽しみ下さい♪

ギャグにしやすい風早目線です。


やっと二文字の言葉を言えた二人はどうなっているのか・・?


本編は→ 『二文字のコトバ』 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11からどうぞ



























今日は爽子とデート。あれから沢山語り合った。こんなに簡単なことだったのになぜ

俺は同じところで足踏みをしていたのだろう・・・思い出しては自己嫌悪の毎日。

でもそれと同時に思い出すのは・・・


かぁぁっ〜〜


(やばっ・・・また思い出した///)


”『ばかばか・・・翔太くんのばかっ』”


風早は赤い顔を咄嗟に手で覆う。

今回、こんなことがあって、新たな彼女を見てしまった。

まじかわいかった。あんな風にまた想いをぶつけて欲しい・・・甘えて欲しいなんて

ずっと思ってる。素直な爽子の想いが本当に・・・嬉しかった。



「−たくん・・・翔太くん?」

「うわぁっ///爽子?は、早いね!」

「翔太くんも・・・どうかした?顔が赤いけど、熱でもあるのかな?」

「い、いや、大丈夫っ」


待ち合わせ場所で心配そうに覗きこむ爽子。やばい、その上目遣いもやばいんですけど。

この日のデートは海沿いの街を散策してお気に入りのレストランに入る。あの夜のこと

を反省してるんだけど、やっぱもう一回あんな爽子を見たいとか思ってしまうんだ。

今日の俺はちょっと変だったのかも。というか、爽子と気持ちが通じて浮かれていた

ようだ。思わず言っちゃった。


「爽子・・・アレ、もっかいやって」

「え??あれ?」


きょとんと可愛い目をくりっとさせる爽子。おかしいよ、俺!おかしいって。でもなん

か止められない。顔の筋肉も緩んでいる。


「あの・・・”ばか、ばか”ってやつ・・


俺がぼそっと口籠りながら言うと、しばらく目を丸くしてた爽子がやっと俺の言ってい

ることを理解したようで、ぼんっと真っ赤になった。


「え??な・・なぜ?」

「だって、かわいいから////」

「え!?///」


俺も爽子に負けないぐらいきっと真っ赤になってる。


「俺に甘えてくれたのかなって・・・だってあんなこと滅多にないじゃん」

「え、あれは・・・っその、ごめんなさいっ・・・思わず心のまま///」

「ごめんなさいじゃなくて・・俺はもっと甘えて欲しいの。あんな爽子見れてやばい

 ぐらい、嬉しんだけど」


ちょっと余裕をかましてニッと笑って言うと、茫然となる爽子。そしてかぁぁっとさ

らに真っ赤になると恥ずかしそうに言った。相変わらず真剣に受けてくれる。


「でも・・・あれは咄嗟に出たもので今やれと言われましても・・・っ」

「じゃ、俺の部屋でやって」

「え??」


”え〜〜〜〜〜っ!!”と爽子の雄叫びも聞かずに強引に部屋まで連れて行った風早でした。


* * *


数日後ー風早会社


またニヤニヤ顔が緩みっぱなしの風早にさすがに同僚も気づいた。


「ちょっと風早さ、何かあった?」

「え・・別に」


やばいと思って必死に顔を引き締める。あれから前のように3回に1回は皆の誘いを

断っている。でも”彼女と会うから”としっかり公言してからは周りも遠慮してくれる

ようになった。最初からこうすれば良かったんだ。


「また、彼女かよ。いいよなぁラブラブな奴は!」

「はは・・・悪りーな」

「くそっ女に現抜かして仕事に失敗しろ〜〜〜!」


あはは〜〜〜っ


こんな会話もできるようになった。さらっと流せばいいのになぜ今まで出来なかった

のだろう。それが大人になるということか。そして俺は思い出してまたニヤニヤする。

まじで俺はスケベだと思う。あの日、俺の部屋に行ってから夜の甘い時間にどうして

もあの爽子が見たくて、おねだりした。まさにそう、おねだりだ。ベッドに寝転がり

ながら爽子の長い髪を俺の指に巻きつけながら言う。


『爽子は俺が他の女の子とキスしたらやだよね?』

『・・もちろん・・・嫌だよ』

『うん、もう絶対しない。だけど、もう一度怒って欲しいな。あの時みたいに』

『う”・・・っ///』


会った時から言われている俺のおねだりに爽子は観念したように真っ赤な顔を俺に向

けると、手に力を込めて言った。


『も、もうあんなことしちゃ嫌』

『う〜〜ん、なんか固いなぁ。あの時と違うような』

『・・・・』


するとぎょっとした顔の爽子が今度は真剣な顔をした。からかい気味に言っていた俺

だが、今度は逆に言ったことを後悔することになる。

俯いて無言の爽子に声を掛けると・・・


『爽子・・・?』

『も・・・もぉ絶対あんなことしちゃ・・・嫌だぁ・・っ』


悲しそうに涙をぽろっぽろっと流していた。俺は思わず身体を起こしておろおろと焦

ってしまった。


『ご・・ごめんっ、そんなつもりじゃー』

『・・思い出したら本当に泣けてきたのっ・・翔太くんのばかぁ・・っ』

『!!////』


潤んだ目で上目遣いに訴える爽子。


(ひゃ〜〜〜〜〜っ////)


ひゅ〜〜〜ん、ぷしゅっ


今絶対、心臓を矢でぶち抜かれた。

そう言って俺の身体をぎゅ〜〜っと抱きしめる爽子にきゅん死。やっぱ爽子にはかな

わない。爽子は知ることはないだろう。俺がどれだけ爽子が好きで、どんな爽子にも

萌え死にしてしまうことなど。


『もぉ・・・ほんといつか心臓止まりそっ』

『え?』


俺は勢いよく顔を上げた爽子を見て苦笑いすると、強くぎゅっと抱きしめ返した。

びっくりして恥ずかしそうな顔もほんとツボ。どんだけ好きなんだよって思う。


『ごめんね、変なこと言わせて。でも、時々こんな風に甘えて欲しい。だって、俺だ

 からでしょ?』


そう言うと、爽子は紅潮した顔でこくんっと頷いた。俺だけが知ってる爽子。

ずっと見ていたいから、これからは思った気持ちをちゃんと言葉にしよう。

お互い見失わないように・・・。


『好きだよ』

『・・・はいっ』


大切な二文字の言葉で・・・。






<おわり>

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あとがき↓

その後、風早のおねだりはエスカレートしたとかしなかったとか?( ̄ー ̄)ニヤリ
爽子の「はい」入れちゃったよ。かわいすぎて。しかし、爽子のおねだりの方が絶対か
わいいので、そっちもいつか書きたいもんです。
あ・・・以下ネタバレなっちゃった。コミック派はここまで!!やばい、やばい。
番外編、読んでもらってありがとうございました!









さて本誌萌えが収まらない中、昇天したキミトドファンも多いはず。あれから何回も見
てるけど、風早の”ぎゅっ”と抱きしめるところがものすごく愛情感じる。本当に好きで
たまらないんだなぁと。爽子だけには本当の自分が見せられるんですね。というか見せ
てしまうというか。やっぱり二人のラブラブにはきゅん死ですね!
待て次号なんだけど、早くやってくるのももったいないので、じっくりねっとり・・・
まぁその間、二次でも書きますか!