「    」(4) 2周年記念企画リレー小説

サイト2周年企画 リレー小説 

こちらはサイト2周年記念として沢山の方に参加頂き、爽風の二次小説をつなげよう!
企画です。どんな話になっていくのか今から楽しみです。 

題名は最後に決めましょう!


<今まで決まっている設定>

* 風早大学生 彼女なし
* 爽子ウェートレス

読み手の皆様にはあえて今の段階で決まっている設定だけ記述しておきますね。その
方が面白いと思って( ̄ー ̄)ニヤリ 段々と明らかになっていきます。


今までのお話:カフェで働いている名前も知らない女の子に恋をしてしまった風早。
再びその子会いに行くが彼女はいなかった。気落ちしながら外を歩いていると彼女
の姿が!でも、彼女は一人ではなく・・・?


この話は2周年記念企画リレー小説 (1) (2) (3) の続きです。




第四回 書き手 苺さま


























゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。.






爽子・・・。

そっか爽子って言うんだ・・・。


名前が分かっただけだっていうのに、俺は嬉しくて飛び上がりそうな気持ちになった。

それにいつもは制服を着た彼女しか見た事なかったけど、今日は私服。

コットン生地のオフホワイトのパフスリーブのワンピースが、彼女の柔らかで清楚な

雰囲気を引き立てていて俺をいっそうドキドキさせた。

お店でのメイドのような制服ももちろん男の憧れだし可愛いけど、こういう格好の方が

より彼女らしくて可愛いって思ったんだ。

だけど名前が分かって私服が見れて喜んだのも束の間、すぐにそんな気持ちを吹き飛ば

すように現実が降りかかる。

「爽子、誰?」

先ほどの男が彼女の肩に手を置いて、俺を見て僅かに目を細めた。

そうだった。男がいっしょだった。

俺は呆然水を浴びせられたようにはっとして、その男を見つめた。

怜悧そうな整った顔立ち、均整の取れたスタイル、年の功は俺と同じか上かも知れない。

理知的で冷ややかな瞳が近寄りがたさを醸しだしてはいたけれど、それが余計に彼の美貌

を縁取り彩っていた。

「知り合い?」

もう一度彼女にそう問いかけると、彼女は彼に視線を向けてうんと頷いた。

「お、お店によく来てくれるお客様なの」

お客様・・・・。

俺はその言葉に少し切ない気持ちがした。

彼女の名前を俺は知ることが出来たけど、逆に彼女は俺の名前を知らない。

俺はただの常連客で、知人とはまた違う。

図々しいけど、自分の事も知ってほしいって思った。

せめて自分の名前を。風早翔太って自分の名前だけでも知って欲しいって。

耳になじむ心地いい彼女の声で紡がれる自分の名前は、一体どんな響きを持つのか

聞いてみたいって思ったんだ。

「・・・私が少し仕事の事で落ち込んでいたら励ましてくれたの。嬉しかった・・・

あの時はありがとうございます・・・」

彼女はその瞳に感謝の気持ちをいっぱい溢れさせ、軽くお辞儀をして頭をあげて甘く

ふわりと笑う。瞬間俺はドキッとして、急激に胸が高鳴って頬が染まっていくのを感じた。

やばいっ、可愛いっ。

何だか直視できなくて、口元を手のひらで覆いながらさらに真っ赤になりそうな気持ちを

俺はやり過ごす。

彼女の笑顔はまるで砂糖菓子を食べたみたい。

何でこんなに幸せで満ち足りた気持ちにさせてくれるんだろう。

「いや・・・その・・・俺は本当の事を言っただけだから・・それに・・・」

あまりに素直なお礼と彼女の笑顔に魅せられて上手く言葉を発せずにいると、彼女の前に

スラリとした体躯を前にだして、先ほどの男が俺の言葉を遮った。

「・・・そうなんだ。ありがとうございます。これからも爽子とお店共々御贔屓にお願いしますね」

容貌によく似合う低い声のトーンで俺にそう告げる彼の言い方が、上品で礼儀正しくは

あったけれど、何か俺に一線を引くような物言いだった。

さらに儀礼的な笑みを浮かべて会釈するその姿は、より俺に疎外感を感じさせる。

「・・・あ。いや・・・。こちらこそ」

そつのない振る舞いに俺も思わず会釈すると、その人は彼女の肩に腕を回してスマートに促した。

「じゃ行こう爽子」

彼女に対するその手馴れた所作が、二人の親しさを暗に見せ付けられたような気がした。

「あ、はい、光貴さん」

しかも名前呼びがさらに俺に現実を突きつける。


光貴・・・・さんか・・・・。


お互いを名前で呼び合ってるなんて、きっと兄妹っておちじゃないよな。

だとしたら二人は・・・・。


それは考えるだけで胸に軋むような痛みを覚えさせた。

先ほどの男の行為が思い出される。

手馴れてて触れるのも触れられるのも、当たり前のように二人はそれを行っていて見てる

俺も自然だと感じた事を。だから思い知らされるような気持ちになった。

この二人は確かに親しい間柄で、俺はどうしたって部外者なんだって。

「それじゃ・・・あの・・、またぜひお店にいらして下さいね」

「あ・・・」

彼女はぺこりと俺にお辞儀をすると光貴という男と睦まじそうに歩き出し、しばらくして

振り返ってまた俺に会釈した。思わず引きとめようとした手は、行き場をなくして宙を虚しく

彷徨い力なく下ろされる。いっぱい問いかけたい言葉があったのに、何一つ声に出せなかった。


光貴って言う男の人は、君の一体何なの?

今日は二人で何してたの?


聞けるわけない。

だって俺はただの客で、君とはほとんど無関係だったから。




俺はその時、彼女の事を何も知らないんだって初めて気づいた。

分かってる事は爽子って名前とあのカフェで働いてるという事だけ。

もしかしたら彼氏がいるかも知れない可能性だって少し考えればすぐ分かる事なのに、

初めての気持ちに浮かれてて気づきもしなかったなんて。

そんな簡単な事にも気づけないほど、何も知らないでいたなんて。





新緑が色濃く増すこの季節。

街路に連なる木々の隙間から、木漏れ日がカーテンのように差し込んで、地面に光と

影のコントラストを織り成す。

上を向くにはやけに日差しと緑が眩しくて、俺は顔をあげる事なんて出来なかった。

風が薫って木々がゆらめき、視線を下に向けたその先で自分の心を映し出したように

さわさわと光と影が躍るように交錯する。


俺はそれを見つめながら彼女たちの姿が早く視界からいなくなる事をただ願って、

しばらくそこに立ち尽くす事しか出来なかったんだ。




゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.








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 ↑感想待ってます♪

(5)




















あとがき↓

うわわぁぁぁ〜〜〜どうですかっみなさん!!興奮。なるほど〜〜やっぱ爽子の隣に
いたのは男だったんだ!それもイケメンっぽい・・。やばい風早ピンチっ!翠さまの
お話を見事につないでくださいましたねぇ。書き手の苺さまは私が大ファンのサイト
様です。もう、私のツボすぎる爽風なんですっっ!
お話も表現も好きすぎる〜〜〜〜っというわけで、一緒にお話を作っていけるなんて
夢みたいです。しかし・・・みなさんのお話に妄想を掻きたてられます。この続きは
どうなるんだ!?そして、かわいいイラスト!このサイトはイラストがないので入る
と全然違いますね。風早め、かわいく書いてもらって羨ましい。(´ε`*)
苺さま、お忙しい中素敵なお話とイラストをありがとうございました。
なんと、次はうちのサイトによく遊びに来て下さる、COCOTANさまです〜〜〜〜。
どうぞ皆様、お楽しみに。(私が一番楽しみ♪)
そして継続して次の担い手の方を募集中です。いなければ2週目が回ってくるではあ
りませんか・・・・っ!この話に妄想を掻きたてられた方、期限は一切ありませんの
で、作成にどれだけかかってもいいんです。いつもでお待ちしていますヽ(´▽`)/