「瞳は知っている」番外編 Time goes by〜 

オリキャラ人気投票企画第二弾


本筋は 「瞳は知っている」 10 11 12 13 14 15 16 17 を読んでください。


オリキャラ人気投票第二位 「瞳は知っている」の野島ハルくん話です。

ハルのあの時の心情、その後の話。なぜか心の声は標準語?短いです。以下からどうぞ!


































二人の瞳を知った時、俺はすべてを悟った。

大好きな彼女をあいつに会わせたことを後悔はしていない。

ただ、神様は残酷だ。どうして出会うべき二人だったとしたら、

俺に彼女を先に会わせたんだろうって。

出口のないトンネルのようにずっと考えてる。


その正直な目は真実を語る。その瞳から目を逸らすようになったのは

いつからだろう。分かっているのに見ないふりをしている。

終わりのないトンネルに明かりが見える日がくるのだろうか?

そして俺は、本当に彼女を手放せるのだろうか・・・と。


しかし、出口のないトンネルなんかなかった。

もがき苦しんだその先にちゃんと光が見えていたんだ。










「瞳は知っている」 Time goes by











★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。



「爽子、聞いてる?」

「あっう、うん・・・ごめん、夏休みの話だよねっ」

「うん・・・まだ先やけどな」


まただ。最近、彼女の様子がおかしいことに気づいていた。


あいつと俺と彼女。3人の関係が変わり始めたのは夏前の頃から。ある時、翔太が大学

に遅刻してきた。その時クラスの女の子から翔太と爽子の噂を聞いた。


”「間違いなく、ハルの彼女と風早だったよ」”


街中で見たという二人の姿。疑いが現実になっていく。俺は内心動揺していた。でも

あの時その感情に見ないフリをした。俺は狡い。翔太を信じてると言いながら本当は

心の奥底で違う感情が蠢いていた。信じてると言えば言うほど翔太を追いつめること

を知っていた。

彼女と同じ真っ直ぐの瞳。本当は会った時から気づいていたのかもしれない。この二

人が見えない糸で繋がっていることを。それを人は赤い糸と呼ぶことを。


だけど・・・絶対譲れなかった。



”「キス・・・嫌やった?」
「ちがう・・・ちがうよ」”


あの海、あの夏を楽しみにしていた。爽子と一緒にいられることが何より嬉しかった。

例え彼女の瞳が俺を見ていないとしても。


ねぇ・・・俺を見て。その綺麗な目で俺を見て。


だけど目の前の彼女は瞳いっぱいの涙を浮かべていた。あいつだけじゃない。彼女も

追いこんでいることは分かっていた。でもその想いに焦れば焦るほど、彼女の全部を

奪いたくなった。こんな俺は最低だと分かっていたけど、手放せなかった。


あれから巡る夏、春、秋、冬・・・・。あいつがいない日本で彼女と過ごす。ずっと

お互い言葉にできない想いを抱えながら。それでもつなぎとめていた。でも終わりの

ないトンネルなんかなかった。俺はこの想いが続いて欲しいようで欲しくなかった。

トンネルの出口が見つからないで欲しいと願いながらも本当はずっと光がさすことを

望んでいたのだ。



”「爽子が理性を優先すればするほど、人を傷つけることもあるんや。このままでい

 ることが本当に爽子にとっても、俺にとっても幸せか考えてみ。答えは出るやろ」”



心の中ではもがいていた。それでも側にいて・・・と。こんなに人を好きになったこ

とはなかった。運命の二人だったらずっと一緒にいられたのか?そんな問いを繰り返

しては現実に目を背けて苦しむ毎日。でもこれ以上爽子を苦しめる方がもっとつらか

った。好きだから・・・・。



「ハル!何考えてんの?」

「え・・・」


ハルは目の前の彼女の背後から見える海をぼーっと見ていたことに気づいた。彼女に

目を移すと、ぷぅっと頬を膨らませていかにも怒っていると分かる。爽子と正反対の

彼女。感情が顔に出て分かりやすいし、思ったことをばんばん言う。わがままで独占

欲が強いけど、かわいい・・・って思う。


ハルは真っ赤になって怒っている彼女を見てふっと笑った。


「やだっ何笑ってんの??ハルは私だけを見ていないとイヤ!」

「見てるって・・・寝不足やからな」

「うそっ!今元カノのこと考えてたでしょ」


(う”・・・図星)


俺はその後、関西の会社から東京に転勤になった。そこで出会った2つ年下の彼女。

恋は突然やってくる。爽子のことを一生引きずっていくかと思っていたのに。案外

人生はこんなもんなのだ。あの時のような激しさはない。想いも比べたくないけど

あの時より軽いかもしれない。でも、目の前の彼女は愛しい。


ハルは彼女の膨らんだ頬に指をさしてぷしゅーとへこませた。


「・・・会わせたい人おるねん」

「え?」


そろそろいいのかもしれない。Time goes by だ。


ハルはカバンの中から見える、白いきれいな招待状に目をやると、にっこり笑って

彼女に言った。


この春、彼女を連れて北海道にいく。大切な思い出を彼女に知って欲しいから。








<END>

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あとがき↓

オリキャラ投票2位の野島ハルくんでした。もっと先の話を書こうかと思ったけどあ
の時のハルの心情をちゃんと書いてなかったなぁと思って妄想してみました。意外に
「瞳は知っている」を好きだと言って下さる方が出てきて嬉しいな・・・と思う最近
です。パラレルは好き嫌いが分かれますからね。しかしサラッと書けたわ〜この話。
リクエストあったらまだまだ書ける(笑)ところで、もうすぐ100万アクセス企画
も終了です。よければ最後に投票お願いしま〜〜〜す♪年齢層アンケートもぜひ(笑)
それでは読んでもらってありがとうございました。