「瞳は知っている」8 

※ 前書きから読んでください。こちら⇒前書き
※ 風早×爽子カップルではありません。オリキャラ登場します。


このお話は 「瞳は知っている」       の続きです。

あらすじ*ハルの彼女の爽子に惹かれていく風早。風早が合コンに参加すると
分かった時、彼女は哀しい瞳をしていた。その瞳が離れない風早は!?
それでは以下からどうぞ↓











「瞳は知っている」 episode 8







「爽子?何か元気ない?」

「え??そ、そんなことないよ!!」


食事をしながら、夕日が落ちる海を眺める爽子を見てハルは言った。


「すごく夕日がきれいだから・・・」

「うん。そーやな。爽子の方がきれいけどな」

「///////」


ハルは赤くなる爽子を見てイシシと笑った。ハルは照れるようなセリフを冗談

まがいに言うことが多かった。


「そー言えば、最初は全く俺のギャグ通じへんかったよな。爽子。キョトンとしとった

 もんなぁ。まぁ〜今も変わってないと言ったらそうやけど」


今は少しは気づいて笑えるようになったか・・・・とハルはまた思いっきり笑った。


「爽子はギャグとマジの区別がつかへんからなぁ〜」

「そっそんなことないよ!ちゃんと分かるよ」


拳を固めて言う爽子にハルは顔を近づけて言った。


「じゃっさ〜今のはマジ?ギャグ?」

「え?今の?」

「うん、爽子が夕日よりきれいって言ったの」

「あ・・・/////ギ、ギャグ??」


ハルはピンっと爽子のおでこを優しくでこぴんするとブ〜〜〜〜〜ッ!と手でバツ

作って、”ハイ、アウト!”と言った。


「あかんなぁ〜爽子は、関西人にはなれへんわ」

「ご、ごめんなさい・・・」


おでこを触りながら恥ずかしそうに言う爽子に、ハルは真剣な目を向けて言った。


「将来、関西人になるかもしれへんのに・・・・」

「え・・・?」


きょとんとしている爽子をハルは愛おしそうに見つめて”何もない”と言った。

爽子は夕日に照らされたハルの嬉しそうな横顔を見ながら、さっきまで頭から離れない

感情を心の奥に閉じ込めた。



************



「ああ〜〜〜かったるい!まだ二つも講義あるやん」


風早とハルはキャンパスを歩きながら、次の講義室に向かっていた。ハルが大きく

伸びをして叫んだ。


「そーや、翔太、どうやったん?この間の合コン」

「ああ・・・やっぱ向いてないわ。俺」

「やっぱりなぁ。また女泣かせやな」

「そんな、泣かせるようなことしてないよ!」


あの時、勢いにまかせて行った合コン。距離感を保てない女の子や自分を売り込もうと

貪欲な女の子に魅力を感じられなかった。というか、元々自分の心の中に誰かがいる以上、

無理だと分かっていたんだけど・・・。


抗議する翔太にハルは冷たい視線を送って言った。


「あのな自分、存在自体で女泣かせやねん。」

「はぁ〜〜〜??それを言うならハルじゃん。モテるくせに」


ははは〜〜〜とハルはわざとらしく笑った。


「あほか、俺は女泣かせちゃうねん。彼女がいるやろ。お前は特定の彼女を作れへん

 存在自体が悪いっちゅーねん」

「そんなの仕方ないだろ〜〜〜!!」

「わははは〜〜〜まぁな。ところでどんな娘がいいねん?」

「どんな娘って・・・・。素直でかわいい子だったら・・・」

「それだけやったら周りにいっぱいおるやろ」

「う・・・ん」


ハルは神妙な顔の風早を横目に見ながら言った。


「分かってるって。一途タイプやから翔太は。好きな娘ができたらめちゃのめり込み

 タイプやな」

「お前もじゃん」


”まぁな”と言って、ハルは照れたように笑った後、ぼそっと言った。


「こないださ、車の助手席に彼女乗せてん・・・」


ハルの口癖は”早く車買って、彼女乗せたい”だったから。


「そっか・・・よかったな!」

「うん。めっさ嬉し〜〜〜わ!!」

「・・・・・・」


”恋”というものが今ならよく分かる。その人がいるだけで幸せだ。側にいるだけで。

でも、好きな人が自分を好きでいてくれるというのはどういう気持ちになるのだろう。


その時、風早は最後に会った時の彼女の目が脳裏に浮かんだ。

あの日から、自分の脳裏に浮かんでは消える。



「もう夏やなぁ!!」


風早はハルの声に青い空を見上げた。

眩しい日差しに手を翳しながら、二人はこれから来る夏に想いを馳せた。








あとがき↓

次は夏休みに入って旅行に出かけます。ここからラストに向かって進みます〜〜〜♪

関西で「自分」と相手に言う時、相手のことを指します。「お前、あんた」などの意味。

それではラストまで見てもらえると嬉しいです。

 「瞳は知っている」  UPしました