「はつこい」19

※ パラレル、オールメンバーは同じ。もちろんオリキャラ沢山出ます( ̄ー ̄)ニヤリ
※ 爽子と千鶴、あやねは同じクラス。風早は別クラスで交流がなかったという設定。
※ 爽子は高2の時に東京に転校してしまう。
※ 登場人物紹介は「17話」を見て下さい。


永遠の告白を違う意味で捉えていた爽子は・・・・?そしてアキに邪魔された翔太は?


こちらは 「はつこい」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 の続きです。


興味のある方は以下からどうぞ↓


























『付き合って』=『どこかへ行くこと』


「・・・・・」


千鶴とあやねは頭の中であやしい爽子の思考経路を辿ってみる。そして脱力したよう

に椅子に座った。


「あ・・・やねちゃん?ち・・・づちゃん?」


爽子がじ〜〜〜っと覗き込むと、二人は”わっ!!”と声を上げて後ずさりした。


「あんた、相変わらず怖いから。変わってないわね」

「ご、ごめんなさいっ」


あやねと千鶴は呆れたように爽子を見つめる。爽子は不安そうに二人を見つめ返した。


「爽子ぉ〜〜〜〜っそりゃないわ」

「え・・・?」

「・・・で?柏木とわくん?だっけ・・それからどうしたの?」

「えっと・・・・なんか変な顔したあと、大笑いして・・・」

「ひ〜っ・・・それで?」


千鶴は呆れ顔からだんだん笑いを堪えるように顔を引きつらせながら聞いた。


「それで・・・『まぁいいか』って・・・。その時はそれで終わって。あれ?結局柏木くんは

 どこに行きたかったんだろう?」


きょとんっと首を傾げる爽子を見て、あやねは険しい顔になった。そしてふぅ〜と肩

を落とすと、爽子の肩に手を置いて真剣な顔で言った。


「爽子っ!!」

「え?」

「よく聞いて。あのさ・・・・」


ごにょごにょごにょ


「・・・・・・」


爽子は耳打ちされた言葉を理解するまでにかなりの時間を要した。そしてその後・・・。


「えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」


爽子の雄叫びが店内中で響いたのであった。



* * *


「どこ行くのアキさん」

「まぁ〜ええからって。だって今日は金曜の夜やん」

「うん。だから?」


アキに連れられて、翔太と永遠は繁華街に入っていく。だんだんネオンの色が怪しく

なってきた。二人は顔を合わせると、肩を窄めた。


アキはあるビルを入っていくと、奥にあった店の戸を開ける。


から〜〜んっ


「いらっしゃいませぇ〜〜ん」

「やっほ〜〜〜ママお久しぶり」

「あらんっアキくんじゃない?それにちょっとぉ〜〜〜〜!!何ぃ?今日はイケメン

 くん二人も連れてきてくれたのぉん?」


「・・・・・・」


二人は固まる。店の看板を見た時から気づいていた。”ママ”と呼ばれたのは厚塗り

のいかにも男と分かる女装した人物だ。


「ちょっ・・・アキさん!!俺たち未成年なんだけど」


そう・・・ニューハーフの店だった。


「永遠〜〜〜!社会勉強やんっそれに金曜やろ」

「だから何だよ、さっきから」


すると、奥の方からやってきた人物に二人は目を丸くする。


「え・・・・?」

「うわっ翔太?永遠??」

「神楽さん??」

「な・・・分かったやろ?」


どうも、金曜の夜は神楽太郎がこのニューハーフの店で働いている日だったらしい。


「やだぁ〜〜アキったらついにばらしたのね」

「ええやん、どーせばれてるんやし。二人には社会勉強ってことで」

「私はいいけど・・・二人はやばいかもね」

「え・・・何で?」


とアキは振り返ると、二人はすでに何人かのニューハーフに囲まれてベタベタされていた。


「やだっかわいい。翔太くんって呼んでいい?」

「は・・・はぁ」

「永遠で”とわ”って呼ぶの?すってきぃ〜〜〜〜」

「あ・・・りがとうございます」


二人は明らかに警戒しているが、お兄(姉)さま方はかなり興奮気味である。


「翔太くぅんっ恋人とかいるの??」

「・・・いませんけど」

「良かったぁ〜〜〜〜!永遠くんは?」


思わずどくんっと胸が鳴る。すると永遠はなぜか翔太を見てにっこりして言う。


「いませんけど、好きな子ならいます」

「!」

「やっだぁ〜〜〜〜まさか女ぁぁ??」


永遠は”そうです”とはっきり答える。翔太は自分の顔が歪んでいくのを感じた。

バイトに入った頃から永遠とは気が合った。一緒に居ると楽しい。でも思ってもみな

かった。・・・まさか同じ子を好きになるなんて。


(・・・けん制かよ?)


翔太は永遠にジリっとした感情を覚えた。


「わはは〜〜〜翔太なんてめっちゃ暗いやん」


アキは違うテーブルで二人を眺めながら笑っている。


「怖いほど寄ってたかってるもんなぁ。爽やかくん達がこれで曲がった道に目覚めたら

 俺のせいかも」

「何よぉ、アキ。ニューハーフが曲がった道だって言うの?」

「・・・・いや」


大きな体格でいくら厚塗りして女装しても男だと分かる神楽を見て、アキは引きつり

ながら返事をした。


「しっかしお前、相変わらず派手やな」

「似合うでしょん。あ〜〜〜こうしてるときは幸せ。そろそろこの仕事一本にしよう

 かしらん」


くねくねして言う神楽をアキは少し呆れ気味に見ると、視線を遠くに向ける。


「あれ・・・あの子誰?まさかニューハーフ??違うやんな」


アキは奥のテーブルにいる人物を見て目を輝かせる。


「あ〜〜〜やっぱあの子?」

「かっわいいんやけど〜〜〜〜〜!?」


アキは興奮気味に言った。そこにはサラサラヘアーで華奢なアイドルみたいな子が客

を相手していた。


「やだわっあの子にみんな客を持ってかれちゃうんだから」

「え・・・ということはニューハーフ?」

「当たり前でしょ、この店で働いてんだから。店長が最近スカウトしてきたのよ」

「うそやろっ・・・・・ショックっ!!」

「もうぉ〜〜アキは全くのストレートだから面白くないわ。まっ本城様が振り向いて

 くれたらいいんだけどっ」

「一生ないやろ・・・・げっ」


怒った男の顔に戻ってる神楽を見て、危機感を感じたアキは ”ちょっとあの子指名し

て来よっと”とひとり言のように言い、そろ〜〜っと翔太の方のテーブルに移動した。


「ちょっ・・・アキさんっ助けてくださいっよ」

「わわ・・・翔太すごいキスマーク。永遠も・・・」


翔太はニューハーフたちの強烈な香水の匂いに酔いそうになってきていた。


(うっぷ・・・・気持ちわりぃ)


「あらんっ・・・翔太くん、こんなお酒で酔っちゃったの?か・わ・い。ふふっ」

「・・・・・・」


つんつんっとされ、ぞ〜〜〜〜っとなった翔太であった。


(俺って完全なストレートなんだな・・・)


と妙なことを実感する。そんな翔太と永遠の姿を見て、アキがやれやれとした表情

で言った。


「安心しーや。もうすぐ本物に近い女の子指名したから・・・・あっ来た!!」

「え・・・・?」


翔太と永遠が振り向くと、そこには色白で人形のように可愛い、見てくれはいかに

も ”女性”が立っていた。


「おまたせしました」

「おぉ〜〜〜待ってたでっ。さっここ座って。あんたらどきや」

「ちょっとぉ〜〜〜〜ひどくない??そりゃオリオンちゃんはかわいいけど」

「オリオンちゃんって言うんや〜〜〜〜ん?オリオンちゃん?」


すると、”オリオン”と呼ばれた子は驚いた表情でそこに立ち竦んでいる。翔太は

はじっとその子を見つめた。


(・・・・ん?確かに女の子みたい)


という印象は受けたが何かが引っかかった。翔太が首を傾げていると、オリオンは

ぱーっと走ってその場から消えてしまった。


「え・・・・オリオンちゃん??」


3人は呆気に取られてその様子を見ていた。



* * *


がたがたがたっ


「え・・・・なんで??」


その時更衣室では・・・オリオンが真っ青な顔で身体を震わせてうずくまっていた。

その上のロッカーには ”大和武”の文字があった。







「はつこい」 20 へ









あとがき↓

やばい・・・私の趣味に走りすぎてる。本当に特に面白みもなくてごめんなさいっ。暇つぶし
に見てね。さて、映画「君に届け」やっぱ見ちゃいました。最後がもう少し何とかなれば
良かったのかなぁ〜なんて思いました。ちょっともったいないね。