「naturally」 10

この話は「君までもうすぐ」のその先を書いた話です。あの夜、未遂に終わった二人
が最後の関係までいくのがテーマです。(いくのか!?)ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ

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こちらは「naturally」           の続きです。


※ 「君までもうすぐ」を読まなくても全然大丈夫です。


☆ 翔太と先の関係を考えるようになった爽子は独占欲からそんな風に考えるようにな

  ったのでは??と嫉妬も絡み、訳の分からないループに入り込むが・・・?
  
























「すき」という感情は時々とても苦しい。

全部欲しくなるから。

少しだけでは満足できない。

そんなあふれそうな下心を

あなたは受け止めてくれますか・・・?







「naturally」(10)














二人の間に風が吹き抜けた。音でいうとぴゅ〜〜っという感じだろうか。

しばらくの沈黙の後、翔太は勢いよく伏せるとお腹を抱えて大笑いした。


「わははっ〜〜〜〜っ」

「???」


爽子は目をぱちぱちさせて目の前の翔太を困惑した顔で見ていた。翔太はしばらく

笑い続けた後、ぱっと顔を上げて、涙目で爽子を見つめた。


「・・・ほんと、爽子にはずっとかなわない」

「か、かなわない??・・・」

「なんで、そんなかわい〜んだろっ」

「へっ??」


(か・・・かわいい??)


爽子はあまりにも予想外の翔太の言葉に目をまん丸くさせる。翔太はそんな爽子を愛

おしそうに見つめてにこにこしている。そして・・・


ぎゅっ


もう一度ぎゅっと爽子を抱きしめた。突然の感覚に爽子は大きな目を見開いたまま固

まった。翔太は全ての想いを込めるように強く抱きしめる。


「なんでそうなるか分かんないけど・・・そんな風に考える爽子がたまらなく・・・好きっ」

「!」


翔太はそう言うと、またぎゅっと腕に力を込める。


「・・・っく・・ひっく」


不思議なんだけど、嬉しいといつも涙が出る。そして大きな体に包まれると、温かく

てすべてを忘れそうになる。溶けそうになるの。


「・・・爽子は俺の彼女じゃないの?どうして特別になりたいなんて思うの?」


耳元で翔太くんの低くて甘い声が響く。それだけで身体がじんじんする。初めて感じ

た欲張りな下心とか、一人占めしたいわがままな気持ちとか、どうでもいいや。


「初めて・・・桜の木の下で会った時からずっと・・・俺にとって爽子は特別だよ」


翔太くんは私の好きなお日様のような笑顔で笑った。涙でぼやけているけれど、その

笑顔を見るだけで、胸の奥のもやもやがすべてきれいに消えるような気がした。


”爽子は特別だよ”


その言葉は魔法のように私の心を満たしてく。私の名前を呼んでくれた時から、翔太

くんは私にとって特別だった。翔太くんも同じように想っていてくれる。


”わかんなくなったらまたちゃんと言うから!”


高校の時、そう言ってくれた。だんだんと翔太くんの気持ちをしっかりと受け止めら

れるようになっていたのに、いつからだろう・・・。私はとても不安になっていたんだ。

私の知らない人と喋っている翔太くんを見るたび、知らない人になったみたいだった。


そっか・・・”特別”でいいんだ。


そして翔太は口元に手を持ってきて、照れた仕草で言った。


「つなぎとめたいとか思ったんなら・・・大歓迎だな」

「え?」

「だって・・・好きだからでしょ?」


翔太はそう言うと、愛おしそうに爽子を見つめた。


どきんっ


その表情に爽子の胸は飛び跳ねる。


「俺のこと・・・・好き?」


翔太に熱い目で見つめられ、爽子はコクンッと恥ずかしそうに頷いた。翔太はその姿を

ぼーっと見た後、真剣な顔で爽子に言った。


「だから、その先に行っても・・・いいってコト?」


どきんっ


爽子はぎゅっと目を瞑ってスカートを握りしめると、しばらくの間の後、もう一度頷いた。

翔太は頬を赤くして茫然と佇むと、あ”〜〜〜っと叫んで脱力するようにしゃがみこんだ。


「し、翔太くん・・・?」


そして指の隙間から爽子をちらっと見ると、くぐもった声で言った。


「・・・俺ん家・・・行こっか///」

「・・・あっ///」


そう言うと、翔太は爽子の返事を待たずに手を取り、くるっと背中を向けて歩き出した。

後ろから見える翔太の表情は少し照れたように見える。爽子は自分で言ったことが段々

と恥ずかしくなってきた。そしてあやねの言葉を思い出す。


”・・・今日は私の家にお泊りということにしとくよ”


(わわっ・・・・////)


自分の手から心臓のどきどきが伝わりそうに思った。どきどきするのにこの夜道がどこ

までも続けばいいと思った。


満月が明るく二人の道を照らしていた。









「naturally」 11 へ













あとがき↓

やばい・・・どんどん長くなってしまった。終われなかった。次で終われるのか?書いていたら
どんどん書きたい場面が。あぁ〜〜〜っ素人なんでお許しを!二人の会話とかはどんどん長
くなる傾向があることが分かった。すみません・・・・。