「naturally」 6

この話は「君までもうすぐ」のその先を書いた話です。あの夜、未遂に終わった二人
が最後の関係までいくのがテーマです。(いくのか!?)ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ

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こちらは「naturally」       の続きです。


※ 「君までもうすぐ」を読まなくても全然大丈夫です。


☆ 自分の下心が膨れ上がることに戸惑う爽子は、翔太と女友達が楽しそうに話している

  のを直視できずにその場を去ってしまった。そんな自分を責めてしまう爽子だが・・・。
  
















自分の中にこんな感情があっただなんて。

全部欲しくて、苦しくなるなんて。

会うたびに足りなくなっていった。

もっともっとと心が叫んでいる。

そんな私は恥ずかしいぐらい貪欲だ。


爆発してしまった。

私の下心・・・。

なんて勝手な心なんだろう・・・。






「naturally」 (6)











********


「え?爽子?」


あやねはバイトからの帰り道、暗がりの中で自宅近くに佇む人影にびくっとして、目

を細めて慎重に近づくと、そこに立っていたのは爽子だった。


「どうしたの??」


あやねは驚いたように走り寄った。すると、今まで俯いていた爽子はあやねの顔を見

てぽろっと泣き出した。あやねはその姿を見て焦ったように身構えた。


「わわっ・・・爽子?」

「っく・・・ひっく」


俯いて身体を震わせて泣いている爽子をあやねは心配そうに見つめると、ふーっと

息を吐いて、爽子の肩をぽんっと叩いた。


「・・・とりあえず入んなよ」


9月といっても夜は冷え込む。爽子の手からひやっとした感覚を感じたあやねは爽子

が長い間、家の前で待っていたのが分かった。その冷たくなった手を包み込むように、

一人暮らしの家に招き入れる。爽子は申し訳なさそうにあやねに謝った。


「ご・・・ごめんねっあやねちゃん・・・」

「いーから。ほら」


あやねはそう言って机の前に座らせると、暖かいお茶を爽子の前に差し出した。

こんな風に爽子が頼ってくることは初めてだった。いつも聞き出すと悩みなどを言っ

てくるが、自分から言ってくることはなかった。


(・・・余程のことがあったのね)


「あったかい・・・」

「ん」


爽子は暖かいお茶を飲みながらあふれ出した涙が乾いていくのを感じた。あやねは

頬杖突きながら、優しい目をして爽子を見つめる。その目に安心したように、爽子は

ぽつりぽつりと話し出した。


「あ、あのね・・今日、荒井先生のところに行って・・・」

「あっそうだった。サンキュね。あいつマジで迷惑な奴だよね。もしかしてデート中だった?」

「あ・・う、うん。それは大丈夫なんだけど・・・。先生少しは元気になったみたい」

「も〜〜〜いいのに。悪かったね。これからは聞かないでいいよ。あいつの言うことっ!

 邪魔したいだけなんだから」


あやねは眉を顰めながら面倒くさそうに呟く。その姿に爽子はふっと笑みを浮かべた。


「・・・先生がね、いつか高校の時言ってくれたの。”下心も心だ”って・・・」

「え?下心?」


いきなりの内容についていけずにあやねは困惑した表情を浮かべると、爽子は恥ずか

しそうに戸惑いながら言葉を発した。


「あ・・あのねっ私・・・・翔太くんに下心がいっぱいでっ////」

「・・・・!」

「膨れ上がっちゃって・・・どんどん欲張りになって、本当に私って・・・恥ずかしいっ」


再び号泣しながら言う爽子をあやねはきょとんとして見つめた。


「・・・・ん?よく分からないんだけど。それがどうしたの?」

「え・・っと、それで翔太くんと一緒にいるのがつらくなって・・・それで」

「なんで?」

「そ・・それは、翔太くんの全部が欲しくなって・・周りの女の子よりも特別になりたく

 なって・・・っ」

「・・・・はぁ?・・なんで?」

「あ・・のっ・・んっと・・・翔太くんに気持ちを知られると、嫌われるんじゃないかって・・・」



しぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん



爽子はし〜〜んとして何も言わないあやねを恐々見上げると、腕組をして呆れたように

口元をひくひくさせているあやねの姿があった。


「あ・・・やねちゃん?」

「・・・アホッ!!」

「え・・・・」


びくっとして目を見開き、身体をを強張らせる爽子に、あやねは顔を近づけて言った。


「何言ってんの?当たり前でしょ。”彼女”なんだから。特別で何が悪いのよ」

「・・・・・」


爽子の瞳が大きく揺れる。


”彼女だから・・・?特別・・・??”


爽子はあやねの言葉に目からウロコが落ちたようにきょとんっっ・・・とした顔になった。

そしてその言葉を理解しようと、頭の中で反芻した。


「・・・で、今日は何があったの?」

「えっと・・・そのっ走って逃げてしまって・・・」

「え?」


あやねは今日の爽子の行動を聞いて、再び目が点となった。まさか2年も付き合って

いて今更すぎる行動に驚く。


「なんで・・・今更?今までもいっぱいそんな場面あったでしょ?ピンと違って風早なら」

「うん・・・」


暗くなった爽子を見つめながらあやねは思った。


(・・・嫉妬?)


いや、違う。なんだろう・・・?この子の中で何かが変化している。単純に嫉妬とかではない??


複雑そうに目を泳がせる爽子をあやねは鋭い目で見つめる。


(・・・もしかして?)


「爽子・・・?」


呼ばれた爽子はそっと顔を上げると、驚いた表情で自分を見つめるあやねの姿があった。









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あとがき↓

困ったときのあやねーさまです。相変わらず登場!!この後、多分、2,3回で終了です。
パスワード設定がこのブログにはないので性的描写はできないけど、最後までいきたいと
思います!