「Once in a blue moon」(55)


※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
  爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。

★「Half moon」は 目次 から。
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47 48 49 50 51 52 53 54 の続きです。
 


☆ 過去を探るのを止めて今目の前にいる蓮を受け入れていこうと誓った麻美。時は過ぎ
てその半年後・・・



















・‥…━━━☆ Once in a blue moon 55 ‥…━━━☆





















半年後ー


あれから蓮と麻美は順調に付き合いを続けていた。風早家とも今まで通り付き合い、
変わらない日常があった。麻美はどんなことがあっても蓮を見守り続けることを心に
決め、蓮はそんな麻美に少しずつ自分を出せるようになっていた。

そして風早家は・・・・



* * *


「京香ちゃんのとこ行くの?」


コクンと頷いた結月を爽子は嬉しそうに見送った。もうすぐ5歳になる結月は満面の

笑顔で飛び跳ねて出て行った。最近、隣に引っ越ししてきた二つ上の女の子と仲良く

なった。今まで家が大好きな結月のちょっとした変化だ。幼稚園も考えたが、地域的

に良い幼稚園がなかったのと、この先一緒に居られる時間がなくなっていくのが分か

っているので無理に行かなくてもいいのでは?と夫婦で話し合った。言葉が出ないこ

とは気にはなっているが、最近は少しずつ世界が広がって自分の中の殻を抜け出して

いるように感じていた。


「ゆづ行ったの?」

「翔太くん・・・うん」


玄関で見送る爽子の肩を翔太はそっと抱いた。どこか不安そうな爽子の顔を覗き込む。


「どした?寂しい?」

「ううん・・・やっぱり幼稚園に行った方がいいのかなって」

「どうだろ、いいんじゃない?いい友達も出来たし。いやおうなしに社会に出ていく

 わけだしさ」

「そうだね」


二人はにっこりと微笑み合った。


「最近ゆづ落ち着いてるよな。何だったんだろ?あの時・・・」

「・・・・」


半年前、結月は突然泣き出したり、発熱したり、ふらっと一人になったりと爽子達が

理解できない姿が多々見られたが、今はそれもなく落ち着いている。3ヶ月の限定の

仕事も終わり普段の生活に戻ったことも大きかったのだろうか?と爽子は思った。


「やっぱりもう少しゆづちゃんと居たいな・・・翔太くんばかりお仕事してもらって

 申し訳ないのだけれど・・・」

「え?何?・・・そんなこと考えてたの?」


翔太が驚いた様子で言うと、爽子は翔太の勢いに目をぱちくりとさせる。翔太はふ〜っ

と小さくため息をつくと、爽子の肩を抱いて言った。


「外で仕事をすることだけが仕事じゃないじゃん。爽子は家の仕事してくれてるでしょ?

 爽子と結月の温もりがあるだけで俺、仕事の疲れなんかすぐ吹っ飛んじゃうんだよ」

「翔太くん・・・」

「あ”〜〜〜〜っそんなで爽子を縛っちゃだめだな・・」

「?」


手で顔を覆い俯く翔太を爽子はきょとっと見ている。

翔太は自分の中のある感情に気付き、恥ずかしくなった。

仕事を頑張りたいのは自分自身の向上のため、生活が豊かになったら家族を安心して

守れるという気持。これは本当だ。でも・・・心の奥底にあるのは爽子を一人占めし

たいというただの独占欲。


翔太は透き通った爽子の目を見つめた。その瞳は出会った頃から変わっていない。

この純粋な瞳が汚されることはないだろう。


「会社はずっと爽子に来て欲しかったんだろ?」

「あ・・・どうかな。でもお世辞でもそう言ってもらえて嬉しかったよ」


(いや、お世辞じゃないし。子どもが出来た時、上司の人恨めしい顔してたもんな・・・)


分ってるんだ。爽子は能力も高く、何でも一生懸命だから会社にとって重要な存在だ

って。でもそれ以上に俺にとって大切な存在。そして、結月にとってかけがえのない

存在。だからほんのひと時でも束縛させて欲しんだ。それぐらい許されるよな・・・。


「今はゆづの側に居てやってよ。俺からもお願い」

「翔太くんっ・・・ありがとう」

「いや、こっちこそありがとうだし。いつも家事ありがとな。俺も出来る限り手伝

 いたいけど爽子みたいに上手くできないし・・・」

「翔太くんいっぱい手伝ってくれてるよ〜〜!とても素敵なだ、旦那さまですっ///」

「はは、爽子も俺にはもったいないぐらいの完璧な奥様です」

「え〜〜〜??////」


真っ赤になった爽子にぎゅっと抱きつく翔太。傍から見るといつまでもバカップルの

二人であった。そこに呆れ気味の二つの視線。


「あのさ・・・玄関開けっ放しって知ってた?」

「えっ??////」


蓮が柱に手を付きながら冷ややかな目をして言った。横で麻美はくすくすっと笑って

いる。二人は焦ったようにパッと離れると大きく目を見開く。


「れ、蓮〜〜〜??瀬戸さん!どうしたの突然!?」

「悪りぃ。近く通りかかったもんだから、旅行行った土産届けようと思って。ラブシ

 −ンはせめて閉めてしろよな」

「くすくすっ・・・こんにちわ!爽子さん」

「「/////」」


二人の突然の来訪に驚きながらも爽子と翔太は嬉しそうに部屋へ招き入れた。


「ゆづちゃん呼んでくるね。絶対喜ぶから」

「へぇ〜〜ゆづっちもお友達が出来たんだね」

「うん!とっても嬉しそうなの」


・・と何より母親自身が嬉しそうだな、と麻美は爽子を見て微笑んだ。結月に同年代

の友達がいないことは爽子が気になっていたことの一つだと知っていたからだ。


「どこ行ってたの?」

「小樽。一泊だけ」

「へぇ〜〜〜いいな」


すっかり落ち着いた二人を見て翔太は穏やかな顔で言った。爽子が紅茶と茶菓子運ん

で来て二人に差し出す。


「やった〜〜〜爽子さんのお菓子。うれしっ」

「どうぞ、スコーンだけど。ちょうど焼いていたので」

「いっただきま〜〜す♪」


元気な麻美の様子を見て爽子はにっこりと微笑んだ。こんな風に突然二人が今まで来

ることもなかったし、二人の空気感が以前より自然になっているような気がした。

爽子も翔太も最近の二人は安心して見ていられた。何事も上手く進んでいるように思

っていた。今の二人を見ていると結婚も有り得ると思える。

蓮が幸せになれる・・・


でも二人は知らなかった。本当の蓮の幸せを。

そしてこれから起こる嵐のような出来事を・・・。





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あとがき↓

やっと本題に入れそう・・・長すぎってね(汗)ところで明日は別マ??いつの間に
〜〜〜!!最近時の流れが早すぎて怖いです。年の瀬もすぐ側ですねぇ。そしてこの
サイトも3周年になりそう。リレー小説続き書いて下さる方、いませんか?( ̄○ ̄;)