「永遠の片思い」(2)

 

好きな妄想投票箱 第一位 ”新婚SWEET爽風”
のテーマで書いてみたのですが。3回ぐらいになると思います。あくまで妄想なので
あしからず♪興味ある方は以下からどうぞ。


翔太が去っていく夢を見てから普通に接することができなくなった爽子。そんな日々
が続く中、夕食時に突然家を出て行った翔太は・・・?


この話は「永遠の片思い」  の続きです。




























*********


「ほい、ニコラシカ」

「・・・・・」


翔太は目の前に出されたカクテルを見て、思わず黙り込む。翔太は学生時代にバーテ

ンダーとしてこのバーでバイトをしていた。今も時々マスターに顔を見せにやって来

るのだが、結婚した後も妻を連れてこない翔太にマスターは文句を言ってからかうの

が常だった。しかし、この日は翔太の様子が違うのにマスターは気付いていた。


「俺、落ち込んで見える?」

「仕事で何かあった?」

「いや・・・別に」


なまじ、カクテルの知識がある翔太は、マスターが出したカクテルを見てふぅーっと

ため息をついた。


”ニコラシカ”


レモンと砂糖とブランデーを合わせたブランデー風のカクテル。スカッとしたいとい

う客に出していたカクテルだ。


翔太はバーカウンターでマスターがくすっと笑っているのが視界に入った。うつ伏せ

ていた翔太はバッと顔を上げる。


「な・・・何?」

「いや、何か捨てられた犬みたいでかわい〜なと思って」

「・・・・・」


真っ赤になり照れたように反論するいつもの翔太の姿を想像していたマスターは肩す

かしをくらう。マスターは初めて見た翔太の姿に内心驚いていた。


(こりゃ・・・深刻だな)


翔太は髪をくしゃっとしてまたカウンターにうつ伏せる。そしてカクテルの滴を指で

なぞりながらひとり言のように呟いた。


「・・・何でこんなことになったんだろう・・・・」


そこにはいつもの爽やかな風貌は影を潜め、すっかり大人になった翔太の悲哀に満ち

た表情があった。


* * *


風早家―


プルプルプル〜〜〜


ピッ


『さ〜〜〜わこ!今大丈夫?』

「・・・う、うんっ・・・あ、あやねちゃん?」

『爽子?』

「え?」

『・・・なんかあった?』

「・・・・・」


それからあやねちゃんはすぐに電話を切って家に来てくれることになった。声だけで

分かってくれるあやねちゃんに感謝の気持ちでいっぱいになったけれど、自分の弱さ

を見せてしまいそうで怖かった。だけど私は複雑な気持ちのままあやねちゃんの到着

を待つしかなかった。



★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。



「あんた・・・どんだけ泣いたのよ」


あやねに言われて爽子は鏡を見ると思わず”うひょ〜〜〜っ”と声を上げた。


かなり怖かった。人様に見せられる顔ではなかった。あやねはそんな爽子を見て心配

そうに言った。


「風早は?」

「飲みに出てってしまって・・・」

「今頃?」

「・・・・」

「まさか・・・風早となんかあったの?」

「あ・・・・の、そのまさかです」

「え??・・うそ?風早の浮気とか?ないないっそれは・・・・」


自分で言って自分でツッコんでいるあやねの前でどよ〜〜〜んとしている爽子を見て、

あやねは驚嘆した顔でもう一度”うそ・・・?”と小さく呟いた。


* * *


その時翔太は、客がはけた店内でマスターとまだ飲み続けていた。


「・・・本当に分からなくて・・・」


翔太はアルコールが入ったこともあり、ぽつりぽつりと話し出した。


「・・・・何?爽子ちゃんのこと?」

「うん・・・」


マスターはあまりにも落ち込んで、からかうこともできない翔太にふーっとため息を

ついて優しい目をして言った。


「・・・・分かってたけどね。それでどうしたの?」

「・・・・何かおかしいんだ」

「え?」

「俺を見てくれない・・・・嫌われること・・・したかなぁっ!?」

「!」


そう言って、がばっとまるで世界が終わったようにカウンターに伏せる翔太を、

マスターは呆気に取られて見ていた。


* * *


「え・・・・?風早が女の人といるところを見た?」

「う、うん・・・でも浮気とかそんなことは思っていなくて・・・」


爽子はある日、翔太の会社に忘れ物を届けに行った。そして昼間にも関わらず、会社

を出たところで女性と抱き合っているところを見てしまったのだ。爽子は、社会人な

らそういうこともある・・・と自分に言い聞かせた。そして・・・見ないようにした。

自分の奥底に潜むどろっとした黒い気持ちにシャッターをしたのだ。


「・・・・・」


不安に満ちた表情の爽子をあやねはじっと探るように見つめた。


「それで・・・ちゃんと風早に聞いたの?」

「う”・・・・ううん・・・聞けなくて」

「なんで?」

「・・・・怖くて」

「え・・・?」


爽子は怖かった。今までもずっと心にあった不安。”いつまでも好きでいてもらえるの

だろうか・・・?”もし”好きじゃなくなった”と言われたらどうしよう・・・。

そんな思いから何も聞けなくなった。そして不安が夢となり、爽子を悩ますことにな

ったのであった。


「自分が・・・・自分が悪いの。翔太くんを好きすぎて・・・・」


あやねは爽子の意外な言葉を、あんぐりと口を開けて聞いていた。



<つづく>




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あとがき↓

このマスターとは「I love you smile」の出てくるマスターです。オリキャラ投票で何
票か入っていたので久々に出してみました。結構好きなキャラだったりする。二人は遠
恋だったりするけど、「Half moon」とは別物の話です。な〜んて妄想なのに語ってみる。
2周年記念リレー小説ですが、何人かの方が申し出て下さって実行できそうです!!嬉
しぃ〜〜〜他の方もどんどんご参加お待ちしています。書いてみると楽しいもんですよ。
ぜひぜひ〜〜〜〜みなさまご参加ください!
※ 目次では長い妄想に入れました。