「Half moon」(75)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。

爽子に気持ちを伝えたものの複雑な思いを抱えている光平。たまらず電話した先は?
そして、その後の沙穂は?今回は短いです。

こちらはHalf moon          10 11 12 13 14 15 16 17  18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29  30 31  32 33 34 35 36 37  38 39   40 41  42 43  44 45 46 47 48 49  50 51  52 53  54 55 56 57 58 59  60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 の続きです。
それではどうぞ↓

























光平は得意先を回った後、一息をつくために近くにあったファーストフードに入った。

店内は学生で賑わっていた。どうもテスト週間らしい。


そして、テーブルに置いてある会社携帯を見つめていた。一息つくと、ずっと頭から離れ

ない思考が顔を出す。光平は周りの喧騒が全く耳に入らなかった。


「・・・・・・」


意を決したようにカバンに手を突っ込むと、自分の携帯を取り出して、パパッとボタンを

押した。



プップップップルルルル〜〜〜


ピッ


『・・・光平』


光平は気づいたら蓮に電話していた。持て余している感情をどうすれば良いのか分からな

かった。蓮は逆風の感情を持っているのに、なぜか蓮に電話していた。


『・・・どうした?』

「ごめん・・・出ると思わなかった」

『ああ・・今、休憩中』


光平は目を瞑って蓮の声を聞いていた。


何も変わらない、蓮の優しい声。そう、蓮はいつも無条件で受け入れてくれた。困った時

はさりげなく助けてくれる。だから蓮だけは絶対裏切れないと思っていた。まさかこんな

形で裏切ることになるなんて夢にも思わなかった。


「俺・・・彼女に言った。俺の気持ち」

『・・・・・』


電話口の蓮にしばらくの沈黙が走った。思わずごくっと唾を飲み込む。


『・・・・で?』

「俺・・・・告ったことは後悔してない。でも・・・」


光平はその時の彼女の顔が脳裏に浮かぶと言葉に詰まった。


「でも・・・なんだろう・・・俺、自分で自分が分からない・・・」


しばらくの間の後、蓮が言った。


『光平・・・お前と翔太の違い分かるか?』

「・・・え?」

『恋愛って言葉にさ・・・「恋」と「愛」があるだろ?』

「・・・・・」

『自分が中心なのが「恋」相手が中心なのが「愛」』


光平はあの時の風早の言葉を思い出した。


”「俺に・・・・止める権利はないよ。決めるのは爽子だから。」”


正直不思議だった。そんなことどうして言えるのかって。それは自信があるのではなく、

突き放してるわけでもなく、それが・・・”愛”?俺は奪うことしか、彼女を自分のものに

したいということしか考えてなかったのか?


『・・・昔の歌にあったじゃん、『恋とは奪い合い続け、愛とは与え続けていくこと』ってさ』


電話口に優しい蓮の声が響いた。


「・・・・・」

『・・・待ってるよ。光平が仙台に来るのを』

「・・・・・」



ピッ



光平は携帯を切ると、そのままじっとしていた。


ずっと心の中に引っかかっていたもの。それは彼女の気持ちだった。ずっと自分の気持ち

ばかり加速していて、彼女を自分のものにしたい思いだけで突っ走っていたような気がする。


沢渡に言われてはっきり分かった。彼女の好きな人は”風早”だ。その二人を引き離すこと、

俺が彼女を振り向かそうとすることは、彼女を苦しめることになることなのだと・・・。

彼女の笑顔を奪うことなのだと・・・・。


やっと分かった。それが・・・つらかったんだと。



光平は目を閉じて、ぎゅっと携帯を握りしめた。



**************


木曜日――


「こちらが有名な札幌の時計台でございます〜」


沙穂は職場の人たちと札幌の町を観光していた。初めての北海道なのに、気分は晴れ

ない。できれば来たくなかった。この土地に。10月に入ると北海道はすっかり冬準備を

始めるように季節は移り変わっていた。

ここは風早が生まれ育った町。そして彼女と出会った土地・・・・。

沙穂は切ない目で足元を見つめた。


「きゃ〜〜このガラス細工かわいくない??」

「い〜ねぇ〜お土産にしよ〜」


職場の同僚達は嬉しそうにお土産を選んでいる。沙穂は冴えない顔でその姿を見ていた。

誰もが幸せそうに見える。


(みんな楽しそうでいいよね・・・)


沙穂は買い物する気分ではなく、店の外で同僚の買い物を待っていた。その時、買い物を

終えたであろう女性二人が店から出てきた。勝手にその会話が耳に入ってくる。


「”運命の恋に出会える”ガラス細工買っちゃったよ〜〜っ」

「やだ〜彼氏どうすんだよっ!」

「あいつなんて運命じゃないって。運命ってもっとピピッて感じする。」

「なにそれ〜〜っ」


あはは〜〜〜っ



”運命の恋”


そんなの・・・誰だって出会いたい。そしてこの恋が運命だと思いたい。


沙穂は胸の奥に冷たい風が吹き抜けるのを感じた。風早にあれだけはっきり言われてもまだ

諦めきれない私。この想いは風化していくのだろうか・・・?しなければならないのだろうか?


虚ろな目で、沙穂が店の壁にもたれていた時だった。ポケットに入っていた携帯が鳴った。

沙穂はびくっとそれに反応してすぐに携帯を取り出すと、表示された文字を不思議そうに

見つめた。


そこには登録のない、携帯番号が表示されていた。














あとがき↓

アニメ見ました!?ううう〜〜ぅ(泣)もう最高!!よく頑張ったアニメスタッフの皆さま!
私的にはとっても良かったと思います。もう・・・あの場面が動いている。本当に、私の大好き
サイト様が語っていましたが、アニメは原作の世界を忠実に描いてくれているから好きです。
もう、何回も何回も見そうです。そして、これからラブラブアニメがいっぱい見れますね!
別マももうすぐだし楽しみです♪
このお話もやっと上向きになってきました。(やっとか!!)ここで一回区切りますので、よけ
れば感想・疑問などいただけたらと思います。また時間ができたらすぐに続きを書きますね。
いつもありがとうございます。

Half moon 76 


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