「笑顔の練習」

めちゃめちゃ短い小ネタです。透太のちょっとした話。


よければこちらからどうぞ↓


















「あ・・・・」

「あ・・・・」


透太は母親におつかいを頼まれてスーパーに来ていた。いつものスーパーは定休日だった

ため、今日はもう一つ遠いところのスーパーに行った。


「と・・・とたっくん・・こんにちわ」

「おばけ・・・さわこ?」


そこには翔太の女、”さわこ”がいた。

俺の”おばけ”という言葉にもにこにこと嬉しそうにしている。一体ど〜いう奴なんだか。


「と、とたくんも買い物?何買うのかな?」

「これ」


俺は手に握っていた母ちゃんが書いた買い物リストをさわこに見せる。覗き込んだ爽子の

匂いがふわりと香る。真剣に紙を見ている爽子の眉間にしわがよっている。やっぱ不思議

な奴だ。


「うん、うん・・・これはあっちだね」


そう言ってさわこは自分の買い物をせず、俺の買い物に付き合う。さわこは必死で高い棚

にあった俺の買い物の調味料を取ろうとしていた。こんな時、翔太だったらすぐに届いちゃ

うんだろうな・・・なんて思った。でも俺は何もできない。なんだろう・・・?変な感じ。


「はい、どうぞ」

「あ・・・すみません」


その時、店の男がさっとさわこが手を伸ばしている調味料を簡単に取ると、さわこに渡した。

よく見ると、結構イケメン。俺はなぜか胸がチクッとなった。


「いつも、ありがとうございます」

「あ・・こちらこそお世話になっています」


店の男はさわこに優しく話しかけると、さわこも恥ずかしそうにぺこぺこと頭を下げた。

これって・・・もしかして浮気というやつじゃねーか?

俺は思わず、さわこの髪をくいくいっと引っ張る。


「あ・・とたくん・・・これでいいんだよね?」

「うん。それより・・・翔太にチクっていい?」

「え・・・ちくる?」

「さわこが浮気してたって」

「えっ・・・う、浮気!?」


さわこが石のように固まる。ちょっと意地悪してみた。なんでだろう。さわこがその男

と話すのはなんかむしゃくしゃした。翔太の女だからか。


「えっと・・・次は・・・」

「・・・・・」


俺は思わずさわこの長い髪を見ていた。長いな〜〜〜おしっこする時大変なのかなぁ〜。

でもきれいなぁ〜さらさらだなぁ・・・。そんなことを思っていると自然にまた髪に手が伸びた。


「と・・・とたくん??」


そして髪を掴んだまま、じ〜〜〜〜〜〜〜〜っとさわこの顔を見ていた。


「翔太はこの髪・・・好き?」

「えっ//////」


さわこの顔は段々と真っ赤になってくる。


「き、聞いたことないけれど・・・・。好きだといいなぁ」


さわこは夢見るみたいな顔で言った。


「さわこは?」

「え?」

「さわこは翔太の何が好き?顔??」

「えっ/////」


またまたさわこの顔は真っ赤になった。おばけみたいな白い肌が赤くなるのはなんだか

面白かった。


「ねぇ、顔でしょ??」

「えっ・・・顔も好きだけど・・・・やっぱり笑顔かな」

「ふぅ〜〜〜ん」


俺は前に翔太の中学校の文集を見たことがある。そこに書いてあった翔太への寄せ書きに

”笑顔が素敵な風早へ”と書かれてあった。やっぱ笑顔は武器なのかと思う。

顔はそっくりなんだ。後は笑顔だと。透太は爽子に、にっこりと笑ってさよならをした。



そしてそれからというもの風早家では、時間があったら鏡を見て微笑んでいる透太の

奇妙な姿があったとさ。


(おわり)









あとがき↓

ほんと小ネタですんません。透太がかわいくてね〜〜!また是非登場して欲しいもん
ですっ!修学旅行の帰りとかにどう?なんてね。
それでは、次回からは「Half moon」再開します。ラストまで行こうかと思ってはいます。
が・・・・どうなるか分からない。なにせまだ長い・・・(まとめられないの)暗い展開続く
話ですが、よければ見に来てください。

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