「Oh My Angel」(6)

翔太は自分の気持ちにはっきり気づき、爽子は自分の中で生まれた初めての
感情に戸惑っていく。段々と近づいていく二人。
これは「Oh My Angel」      の続きです。
以下からどうぞ↓














きゃはは〜〜〜っ


ある日、病院に似つかわしくない女子高生の高い声が院内にこだまする。


(あっ・・・・・)


廊下を歩いていた爽子は、その存在に気がついた。


(風早さんの・・・)


「ねぇ、くるみ!風早とはどうなのよ??」

「えっ?」

「入院中になんとかなるんじゃないの?」

「え〜〜〜そんなんじゃないよ!」

「知ってるよ!仲いいくせに!」

「同じ中学だからだけだよ〜」



爽子は思わず、耳を傾けてしまった。



(やだっ爽子ったら。人様のプライバシーを!!)



くるみさん・・・いつもお見舞いに来るけど、彼女さんじゃない

んだ。でっきりお付き合いしているのかと思っていた。

何だろう・・・?私、ほっとしてる?

爽子は心の中に浮かんだ感情にまだ気づいてなかった。


******************



松葉づえをつきながら動き回れるようになった翔太は彼女の花壇に

毎日のように行った。今まで、窓からしか眺められなかった分、

嬉しくて仕方がなかった。

一つ一つ薬草を丁寧に説明してくれる彼女。その横顔に

見とれてしまう。


「だけど・・・すごいですね!風早さん」

「えっ?」

「回復が早くって!」


そう言ってふんわり彼女は笑う。


最初に入院期間は2、3か月って言われていたのだが、若くて

身体機能も優れている翔太の退院は早まると担当医から先日、

言われていたのだ。まだはっきりは分からないが、早まると

言うことは、彼女と一緒にいる時間が短くなるということ・・・。


あんなに嫌だった入院だったのに今は少しでも長くここに居たい

って思ってしまう。そう・・・・。


「きゃっ」


その時突風が吹いた。

彼女の束ねていたゴムが取れたのか、長い髪が俺の肌に触れる。

その瞬間、シャンプーのいい匂いが俺の鼻孔をかすった。


「あっごめんなさい!」


そして、長い髪の彼女。髪を下ろした彼女を初めて見た。

煩い俺の心臓の音・・・・。どきん、どきん


好きだ――― 


いや・・・会った時から、彼女を見つけた時からずっと好きだった。

こんな感情、初めてだった。


「―黒沼さん!」


その時、向こうの方から男の人の声がした。


「あっ市東先生?」

「今、いい?」 「あっはい」


「それじゃ風早さん、風も強くなってきたので、病室に・・・」


そう言って、彼女は男と去って行った。

市東先生。あ・・・あの人だ。いつの日か廊下ですれ違った。



「はぁ〜〜〜〜〜っ」



二人の後姿をしばらく見ていた翔太は側のベンチにどかっと座って

ため息をついた。

社会に出ていない自分の年にもどかしさを感じたのは初めてだった。












あとがき↓

このお話どこまで続きますかね〜〜長編が段々長くなってしまう。だらだら
とたいして内容がないのにね。それではまた次回!良ければ見に来てください。

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