「I love you smile」クリスマス編(1)


こちらは I love you smile          10 11 の続編になります。


あの後、1年後のクリスマスのお話。急に書きたくなりました。大分前のお話です。
興味がある方は、上から読んでみてください。


*あるクリスマスの日、爽子は急なバイトを頼まれたが、そのバイトとは??
 以下からどうぞ↓















「クリスマスケーキはいがかですか〜〜??」


街はイルミネーションや装飾、クリスマスソングで彩られ、売れ残らないように

クリスマスケーキを売っている人の声が響いていた。それもそのはず、今日は

12月25日、クリスマス当日だった。


爽子は雪が舞うホワイトクリスマスの中、その街並みを感慨深く歩いていた。

今年もクリスマスが終わってしまう。そんな寂しさを感じながら。

昨日は翔太と最高のイブを過ごせた爽子。思わず顔が綻ぶ。そして、今日の夜は

高校の時の大切な仲間達とクリスマスパーティーがある。


(・・・こんな幸せでいいのかなぁ・・・)


そんなことを考えながら、今日一日だけのバイト先の戸を開ける。


カランッ


「お〜っ来たね!悪かったね、急に」

「い、いえ。大丈夫です。今日は、よろしくお願いしますっ!」


爽子は店に入ると緊張気味に思いっきり頭を下げてお辞儀をした。

そして爽子が顔を上げると、店のマスターはにっこりと笑って爽子を迎えた。


「会いたかったよ〜爽ちゃん。なかなか誰かさんが会わせてくれないからね」

「え?」


マスターはニヤニヤしながら爽子の姿を嬉しそうに見ていた。そして以前のメイド服を

渡した。


「こ・・これ着ないといけませんか?/////」

「そうだね〜これが制服だからね。今日は頑張ってくれるんでしょ?」

「は、はいっ。頑張ります!」


そう、一日だけのバイトとは、以前、友達の代役で3日間だけ内緒でバイトしたバーの

店員だった。今朝、人手が足りないので今日だけのバイトを爽子に依頼したのだ。また、

今日のクリスマスパーティーの会場がここになっていたので、借りる身の爽子としては、

少しでも何か役に立ちたいというのが性分だ。


爽子が更衣室に着替えに行くと、マスターは我慢していたかのようにお腹を抱えて笑い出した。


「・・・マスターって、っとに悪趣味だよね」

「何〜?健人も見たかったでしょ?爽ちゃんのメイド姿」

「そりゃ見たいけどさ、どう考えても人手足りてるでしょ」


カウンターの奥で隠れて聞いていた健人が苦笑いして椅子に腰を下ろした。


「爽ちゃんに会いたかったからね。またそれを素直に受けてくれる爽ちゃんがかわいい。

 そ〜言えば。健人も久々だよね?爽ちゃんと会うの」

「そうなんだよね〜。アイツには嫌ってほど会ってるけど」

「健人、うちに最近よく来るもんな」

「風早知らないんでしょ?爽子ちゃんが今日バイトすること」

「ハハ〜〜ッ当たり前でしょ。だって昨日休むんだよ!いくらイブだからってうちも稼ぎ

 時だったんだから、俺一人で参ったよ」


マスターはそう言いながらも笑っている。


「そんなこと言いながら優し〜んだよな。マスター。結局、ちゃんと休ませてやるんだから。

 風早目当てでこの店くる女の子も多いんでしょ?」

「まぁ〜ね。だから言ったろ?俺の見る目には間違いないんだよ」


あはは〜〜〜っ


爽子が3日間のバイトをした後、翔太に会ったマスターはちゃっかり翔太に目をつけていた。

そしてその後、マスターの粘り強いバイトの勧誘にあうことになる。そのオファーに

根負けした翔太はこの店でバーテンダーとして働くことになって1年たった。


「1年になるのに、爽ちゃんと滅多に会えないんだよ?信じられないだろ?」

「アハハ〜っあいつにとってマスター危険人物なんじゃないの。女扱い上手いし、なにせ

 彼女を知ってるしさ。風早が見てないところでのね」

「そうそう。いまだに嫉妬してるんじゃないかな。あのヤキモチくんは。今日のパーティー

 も友達とかに言われてここでやることになったんじゃないの?それじゃなきゃ、爽ちゃん

 呼ばないもん」

「あ〜多分ね。ちづとかに言われたかもね。パーティーにちょうどいいもんね。この店」

「健人も参加なんだっけ?」

「もちろ〜ん。今日はクラス会も兼ねてるからね」


その時、着替え終わった爽子が恥ずかしそうにおずおずと現れた。


「お・・・お待たせしました。よろしくお願いします」

「おっ〜爽ちゃん!かわいいね。久々にその姿見れて嬉しいなぁ〜」

「そ・・・そんなっ恥ずかしいです。」


爽子はあまりの恥ずかしさにぎゅっと瞑っていた目をぱっと見開いた。


「あ・・・!!」

「やっと気づいてくれたの〜爽子ちゃん!お久しぶりっ」


健人がカウンターで頬杖突きながらにっこり笑って手を振っていた。


「み、三浦くん??どうしたの」

「爽子ちゃんの久々のバイト姿見に来たに決まってんじゃん」

「え??」


爽子は健人の言葉に視線が固まった。


「あはは〜〜っ相変わらずだな。爽子ちゃん。ジョーダンだから。ちょっかい出すと

 アイツがうるせーもん」

「・・・・・」


健人が爽子に告白したのは1年前のこと。真剣に気持ちを伝えてくれた健人に爽子は

嬉しさと言葉にできない寂しさを感じた。

まるでそんな爽子の気持ちを見透かすように健人がポツリと言った。


「爽子ちゃん、俺すっかり元気だよ。もう1年だもんな」


爽子はぱっと顔を上げる。二人は懐かしむような表情で微笑みあった。久々に会った二人

だが不思議なほどわだかまりも距離感もなかった。

それを感じた爽子はなんだか嬉しかった。こうやって会える日が来ることが。


「そ〜いえば、今日の夜は結構人数集まるそうだよ。ジョーとか元気かな」

「本当?楽しみだなぁ〜」


爽子は嬉しそうに微笑むと店をぐるっと見渡した。そして夜に想いを馳せる。そんな爽子

を見つめて健人は言った。


「俺・・・爽子ちゃんを好きになってよかったって。マジ思う。」

「え?え?」


いきなりの健人の発言に爽子は目を丸くした。


「爽子ちゃんと会わなかったら気づかなかったこといっぱいあったからさ。」

「・・・・・」


言葉で気持ちを伝えてくれる健人に爽子は胸が熱くなった。


「そ・・・そんな。私もだよ。三浦くんに会っていろいろ教わったよ。ありがとう」

「うん・・・師匠だからね!・・・悔しいけど・・・」

「?」


健人はそこまで言うと、ふっと優しい顔で笑った。


「アイツにもね」

「え?」

「なんでもない」


そう言って、穏やかな顔をしている健人を嬉しそうに爽子は眺めていた。




<つづく>



クリスマス編 (2) UPしました。



あとがき↓

瀕死の状態から復活してきたです。前回のクリスマスの話は書いていてあまり楽しめな
かった。やはり、余裕がないと書いていても楽しくないし、内容もイマイチになるもんなん
ですねぇ〜。(他のもそうなのかもしれないけど)今回は楽しんでます。
ずっと前の話だけどこのお話は自分でも好きなんです。多分3回ぐらいかな?
前の妄想の続きを書くとかオリキャラを出すとか、そんなの好きです(笑)そんな私に
お付き合いできる方は遊びに来てください。

※ 拍手、コメントありがとうございます。すごく嬉しいです。必ずお返事書きますので。
いつもありがとうございます!!