新婚ウブコントシリーズ(5)「紹介できないワケ」お宅訪問編


このお話はずっと前に書いた「紹介できないワケ」 前編 中編 後編 のおまけ編です。


* 会社のパーティーで爽子に会った翔太の同僚達は家に招待しろと迫っていた。
  そしてついに・・・!



それではどうぞ↓
















「はぁ〜〜」


翔太はカレンダーを見て、何度目かの大きなため息をついた。

そこには爽子の字で○が書かれている。

この日のために、いろいろ準備をして頑張っている爽子の姿を見ると何も言えない。

それも俺のために頑張っているのが分かるから。


「あ"〜〜〜〜〜〜っ」


かちゃ


「翔太くん?」


カレンダーの前で座り込んでいる俺を変に思ったのか、洗濯を終えた爽子が不思議そうに

ドアを開けて立っていた。

白いエプロンに一つに結んだ長くて黒い髪。何度となく、あのきれいな髪に触れただろう。

何度となく、あの白くて柔らかい肌に触れただろう。

でも、何度触れてもまたすぐに触れたくなって、飽きることなんてないんだ。それどころか、

もっともっと・・・と欲求が高まって、爽子を困らせる。だから必死でその想いを抑えてる。

この留まることのない独占欲。爽子を困らせないようにって・・・。


結婚して、1年半・・・・ついにやってきたこの日。



* * * * *




「こんばんわぁ〜〜〜」

「おっじゃましま〜〜〜す!!」

「おっ奥さん!相変わらず美しいね」

「どもっ〜〜〜覚えてます??パーティーで会った近藤です!」

「い、いらっしゃいませっ!!」

「・・・・・」



ある日曜の夕方、会社の部署の連中が家にやってきた。

先日、会社の創立100周年パーティーがあった。その時、うちに来ると言う話になり、

それを忘れずにしつこく言われた。それでも上手く交わしていた俺だったが、ついには

会社の用事で家に電話がかかってきた時に爽子が取ってしまい、ついでに約束を取り

付けた奴がいた・・・・・。さすがにこれは断りきれなかった。

うん、かわいい奥さんを褒められるのは嬉しい、爽子のマジ美味しすぎる料理を喜んで

もらえるのも嬉しい。でもなんだろ・・・この胸の奥がムカムカする感覚。


「うわぁ〜〜〜奥さん上手いね!!ほんと美味しい」

「肉じゃがなんて最高だねっ!!酒も旨くなる」

「風早幸せだなぁ〜〜〜。」

「ほんともったいぶっちゃって〜〜〜」

「そ・・・そんな//////」

「・・・・・・」


恥ずかしそうに真っ赤になった頬を両手で隠すかわいい奥さん。

なんてかな・・・こんなことに嫉妬心燃やすのはありえない。分かってんだけど・・・

いらいらするっつーか・・・・。


「−ちょっと」

「ん?何だ?風早」

「・・・・・いや別に」


今、触れたっつーの。爽子の手に触れたっつーの!俺の大事な奥さんに気軽に触るなと

か言いたい・・・・・けど、それはあまりにも小さい奴すぎる。それに何より爽子が頑張って

いるのが分かるから。

俺の奥さんだからっていつも頑張ってくれている。そのままでいいのに。

だから我慢するんだ。俺だけが知ってた爽子の料理を知られたからって、ムカムカしたり

しないんだ。俺以外の奴に笑顔を振りまいても・・・・。


「ありがとうございました〜〜!」

「本当に美味しかった。奥さん、また来ていい??」

「すごく楽しかった〜〜〜!」

「風早〜〜〜ちょっとこっち」

「?」


最後に玄関で皆を見送っている時、一人の同僚が俺を手招きする。そしてそいつは俺の

耳元に顔を持っていき、こそっと言った。


『お前、めちゃ独占欲強いだろ〜〜〜っ?やっと分かった。紹介しなかったワケ』

「〜〜〜〜△×○★!!」

「まっ帰るからさ!男前の顔台無しだから戻しときなっ」


同僚はにやっと笑って、去っていった。


「―翔太くん?」


隣でぷるぷる震えている翔太をきょとんとした目で見ている爽子をぐいっと引き寄せ、

抱きしめる。


「し、翔太くんっ??////」

「今日・・・・ありがとな」


ぎゅっと抱きしめられ、耳元で優しく言われた言葉に爽子はほっとしたような表情を浮か

べて嬉しそう微笑んだ。


「翔太くんの・・・奥さん、ちゃんとできたかな?」


翔太は、そっと身体を離すと、爽子を愛しそうに見つめた。


「・・・どうして爽子はそんなに俺のこと思ってくれるの?」


俺なんて独占欲の塊で・・・。こんな小さいことでも嫉妬する小さい男なのに。


「だって・・・翔太くんが・・・・・」


彼女はそこまで言うと、顔を真っ赤にした。そして・・・・

恥ずかしそうに耳元で言われた言葉に、俺も顔面が熱くなったのが分かった。


”大好きだから・・・”


そう、やっぱり無理なんだ。だって、いつでも、どんな時にも、どんなものにも、どんな

奴にも、嫉妬せずにいられない。


それは君が・・・・何よりも大事で、世界で一番


「大好きだよ!爽子」


なのだから。



そして、次の日から会社での翔太のイメージがすっかり変わったのでした。




<END>








あとがき↓

いや〜恐ろしや師走!!さすがにPCの前に座れない。それが何よりのストレスだ。
そして、時々ぼーっと妄想へと逃避するのです。やっぱりこうやって日記のように
二次小説書くことが、何よりのストレス解消なのだと実感します。それなのに昨日
は聖子ちゃんのディナーショーなんて、行ってました。毎年の1年頑張ったご褒美
にしています。な〜んて関係ないこと書いてすみません。クリスマスまで満足にUP
できないかもしれないけど、何か短編を載せれたらと思ってます。よければ遊びに
来てください♪

web拍手 by FC2