「Squall」 前編


爽×風×ケントの話です。ちょっとキャラ違うかも。高二設定です。前編後編に分けます。

* ピンの用事で呼び出された風早を教室で待っていた爽子だが・・・!?

以下からどうぞ↓
















「squall」(スコール)1




「か、風早くん!!どうしたの??」


爽子は自分でもびっくりするくらいの大声を出した。


「いや・・・・待たせてごめんね」


風早は唇を切って、顔のあちこに傷をつけた顔で教室に入ってきた。


「た、大変!!」


爽子は急いでハンカチを濡らしてきて、傷口に当てた。


「いたっっ!」

「あわわわ〜〜ごめんなさい!」

「大丈夫!ありがと」


風早は痛そうにそれでも必死で微笑んだ。


どうしたんだろう・・・?何があったんだろう?

爽子はそう思いながらも、それ以上聞かずにただ夢中で手当てした。

風早の表情があまりにも険しかったから・・・それ以上何も聞けなかった。

とにかく、痛そうな傷跡がたまらなくて・・・・。


「え・・・・?」


真剣な顔で手当てをしている爽子の手が掴まれる。それは大きな男らしい手。


「か・・・ぜはやくん?」

「・・・・・」


風早はしばらく爽子を見つめた後、ぐっと爽子の身体を自分の胸に引き寄せた。


「!」


夕日が教室に差し込み、重なった二人の長い影を映す。


爽子はいきなり抱きしめられ、胸がとび跳ねた。


いつも風早くんに抱きしめられるとドキドキが止まらなくなる。でも、今日は

風早くんの背中が寂しい。どうして・・・・?

いつもと違う風早の様子に、爽子は戸惑った。


でも素直に頭に浮かんだのは不思議な感情。


”守ってあげたい”


爽子は風早の後ろにそっと手を回して抱きしめた。こんな感情になったのは初めてだ。

お互いの体温を感じる。


とくん、とくん、とくん


しばらくの沈黙の後、風早はぼそっと呟いた。


「・・・だから」

「え?」

「俺のだから」

「風早・・・くん?」


風早はさらにぎゅっと強く、爽子を抱きしめた。目を瞑ったまま、このまま離さないと

いう風に、長く・・・強く。



* * * * *



今から30分前―――


やっとピンから解放された風早は、教室に待たせている爽子のもとに走ってやってきた。


(はぁはぁ・・・かなり待たせちゃったな。ピンの野郎!)


がらっ


「ごめんっ・・・まっ!」


なんとか呼吸を整えて、教室の戸を開けると・・・・信じられない光景が、風早の目に

飛び込んできた。

すぐに声を出せなかった。ただ無意識に感情のまま、動いていた。

風早は、すごい形相でずかずかと爽子の方に向かうと、前にいる人物の腕を勢いよく掴んで、

ぐいっと引っ張った。その時自分の顔がどうなってたかなんて分からない。

ただ、こんな感情初めてだった。


「!」

「―こいよ」


二人は教室を出た。俺はその時完全に我を失っていたと思う。とにかく遠くへ、遠くへと

アイツを彼女から離したかった。そして・・・・こんな自分を彼女に見せたくないという気持

ちを本能的に持っていたからかもしれない。でも・・・これも自分なんだ。

嫉妬にまみれて、めちゃくちゃな感情に振り回される。


俺は無言でそいつを引っ張って歩いた。


はぁはぁはぁ――っ


二人は肩で息をして、校舎の裏庭にいた。


「風早・・・ごめん」

「・・・・・・」


そこには頭を下げる健人の姿があった。




<つづく>


 「Squall」 中編 




あとがき↓

かっこいい風早を書くはずが、前に書いたのを載せたくなりました。嫉妬どろどろ
黒風くんです。さて、教室で何があったのでしょう??後半へと続きます。
よろしければまた見に来てください。テンプレートを冬用に変えようと思ったら、
いい感じのがなくて、結局これに。字が小さくなったりして見にくいところもある
と思いますが、慣れるまで我慢してくださいな〜〜〜!それでは!!

※ コメレスしているのですが、小さくて見にくくてすみません。