「Half moon」(47)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
美穂を探して仙台の街を駆け回っていた爽子は光平と会う。健気に美穂を思う
爽子がたまらなくなって抱きしめた光平だが・・・。
こちらはHalf moon         10 11 12 13 14 15 16 17  18  19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29  30 31  32 33 34 35 36 37  38 39 40 41  42 43  44 45 46 の続きです。
それではどうぞ↓


















ピロピロ〜〜ン♪


路地裏で光平に抱きしめられた爽子は携帯音によって、やっと現実に戻った。


(えっえっ!?何してたんだっけ・・・・!!)


「・・・・・・」


光平の携帯音だった。しかし、まるで聞こえないかのように爽子を抱きしめている光平。


「−た、田口くん、あの・・・・電話が・・・」

「あっ・・・ごめん」


光平は熱い目で爽子を見つめた。そしてゆっくり体を離す。爽子は訳が分からず、戸惑った

ように瞳が揺らいでいた。前にいるのはいつもの光平ではない。


(田口くん・・・どうしたんだろ??・・・)


ピッ


電話は蓮からだった。


「うん、蓮?・・・・・えっ」


蓮の電話に頷いていた光平が驚いたように爽子を見た。爽子は不思議そうに、きょとんと

した目で光平の様子を伺った。


ピッ


電話を切った光平が考え込むように一点を見つめていた。


「た・・ぐちくん?」


光平は、深刻な目で次の言葉を待っている爽子をしばらく見つめた後、曇った表情で言った。


「・・・風早が探してるって」

「あっ!!」


(そうだった!!あれから風早くんに連絡してなかった・・・!!)


爽子はハッとした表情をして、見る見る青ざめていった。


「とりあえず連絡した方がいいよ。俺の携帯でしなよ」

「い、いいの??」

「携帯ないんだよね?」

「う、うんっありがとう!!」


爽子は光平から携帯を借りると、急いで風早の番号を打ち出した。すると、光平が

”待って”とストップをかけた。


「でも、どうするの?何してたって言うの?」

「あ・・・・」


爽子はどうすれば良いのか分からず、大きな瞳がゆらゆらと定まらなくなった。


「・・・俺と会ったことにしてたらいいよ。会社の書類を渡し忘れたとかで・・・」

「あ・・・そっか!」


爽子はおぉ・・・!グットアイデアという顔をしてぱっと明るい顔になった。


光平は少し胸が痛んだ。でも深く考えたくなかった。ただ、心のどこかで彼女は約束を破ら

ないという確信があった。光平は自分の内面を知られないように言葉を補った。


「ほらっ風早が心配してるから早く電話したほうがいいよ!」

「う、うん!ありがとう・・・」


光平は電話している爽子を見つめながら、自分の中で罪悪感と同時に真逆の感情が交差して

いることに気づいた。そしてそれに興奮している自分も。

光平の胸の鼓動は次第に早くなっていった。


プルプルプル―――


「あ・・・風早くん?」



* * * * * *



ドンッ――


「気をつけろっ!!」

「・・・・・」


サラリーマン風な男はきっと風早を睨むと、唾をペッと吐き歩いて行った。

風早は、廃人のように街をうろついていた。


田口の携帯からと知ったとき、胸の奥に鈍い痛みを感じた。そして繕うような爽子の言い訳

を聞いていると、先ほどまでの感情とは違い、爽子が無事だった安堵感より心は暗い影で覆

われていった。


君は嘘をつけない人だよね・・・。


この後も、まだ帰れないという。田口との用事があるからと。

どうして田口といたの?・・・・何してたの・・・?自分がいない間。

今日もとにかく一緒に居たくて・・・居たくて、走って帰ってきた。二人で過ごせる時間が

少ししかないのは分かっているはずだ。


風早は何も聞かずに携帯を切った。


この時、風早は本来の爽子の性格を考えられないでいた。ただ嫉妬心にかられて、周りが

見えなくなっていたのだ。


”『あ・・・風早?田口だけど、そんなわけで黒沼さん、携帯落としちゃったみたいで・・・』”


風早は頭に残る光平の声をかき消そうとした。熱い目で爽子を見るアイツ・・・・。

マイナスな考えばかりが風早の頭の中を支配していった。



チャラチャラ〜〜〜♪


その時、風早の携帯が鳴った。かなり長い携帯音の後、風早はカバンから携帯を取り出した。

そして、携帯の着信表示に精気が戻ったように目を見開いた。


ピッ


「―爽子!?」


電話は爽子の携帯からだった。しかし向こう側からの返答がなく、ハッとした。


(そうだ・・携帯を落としていたんだった)


「・・・・・・」

「あの・・・すみません?」

「・・・・・・」


拾ってくれた誰かだと思ったが、相手からの声はない。

しかし、しばらくして電話口から発せられた自分の名前に風早は驚いた。


「・・・・風早・・・?」

「!!」









あとがき↓

これまたベタな展開ですみません。ツッコみどころ満載ですが見逃してやってください(汗)
やっぱ長すぎますかね〜このお話。上手くまとめらなくて・・・(汗)つまんない方はスルー
してくださいね!!それではまた遊びに来てください。

Half moon 48