「Half moon」(46)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
爽子と連絡が取れなくなって焦る風早、一方爽子は??
こちらはHalf moon         10 11 12 13 14 15 16 17  18  19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29  30 31  32 33 34 35 36 37  38 39 40 41  42 43  44 45 の続きです。
それではどうぞ↓




















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「・・・・・・」


風早は家に帰って、正座して携帯と向き合っていた。

あれから爽子の携帯に何度連絡しても、通じなくなった。


「・・・何があったんだ」


あの時、後ろの方で爽子が誰かの名前を呼んでいたように思う。一人じゃない?


「いったい、どこに居たんだろう・・・。もしかして・・・誰かに襲われたんじゃ・・・」


真っ青になった風早はすくっと立ち上がった。


バンッドン


風早はその考えが頭の中を支配し、もういてもたっても居られなくなった。そして同時

に体が動いていた。爽子が行きそうな辺りに向かって走り出した。



**************



その時、爽子は―――


携帯がない今、誰とも連絡を取ることができない。とにかく自分の責任とばかりに

そこら中を捜しまわった。


―はぁ、はぁ、はぁ


「・・・・いない」


最後の頼みの綱だった爽子と美穂が初めて会った場所に行ったが、やはりいなかった。

爽子は、茫然と立ち尽くした。


”『−爽子が何でも自分でやろうとするから・・・俺、必要ないみたいじゃん!』”


そう言って、ぷぅ〜〜っと膨れる風早の顔を思い浮かべる。


風早くん・・・・頼ることはできないんだ。


爽子は改めて風早に秘密を持っていることがこんなに苦しいことなのかと実感した。

でも、自分よりも苦しい人がいるのだ。爽子はぎゅっと唇を噛みしめて、また辺りを

探しだそうと立ち上がった時・・・・。


「・・・黒沼・・さん?」


爽子の背後から、聞き覚えのある声がした。


「・・・・!」


爽子が声に気付いて振り向くと、そこには光平が立っていた。


「やっぱり!!どうしたの??」


光平が慌てて走り寄ると、運動後のように汗ぐっしょりになって、紅潮している爽子の姿

があった。


「あ・・・・田口くん。あっ・・・そっかここ会社の・・・」


美穂と初めて会った場所は光平の会社の近くだった。あの時も、光平の仕事が終わるのを

待っている間、近くで買い物をしていたのだった。

爽子は光平を見て、今まで我慢していた涙が一気に溢れ出た。


「・・・!黒沼さん」


光平はただならぬ様子の爽子の手を引いて、とりあえず道路脇の路地に入った。

時刻は夕方の6時半を指していた。日が落ちかけて空は茜色に染まっていく。


爽子は普段から光平には心を許していた。恋愛に関して鈍感な爽子は光平の行動は

すべて「いい人」であり、好意として受け取っていた。そこが風早の最も頭を悩ませる

ところだとは知らずに・・・・。


「・・・どうしたの?落ち着いて言って」

「あ・・・の、ごめんなさい。突然。美穂さんが・・・美穂さんがいなくなって・・・」

「え!?」


爽子の話を聞いて、沙穂が爽子を呼び出したことが分かった。そう言えば、メアドを聞いて

きたことを思い出した。美穂が爽子に執着しているのは知っていたが、まさかそこまでとは

光平も思っていなかった。


光平は爽子の話を聞いていて、少し怒ったように言った。


「なんで・・・なんで俺を呼んでくれなかったの??一人で探しても見つからないよ!」


光平の真剣なまなざしにはっとしたように爽子は目を見開いた。


「俺・・・黒沼さんの助けになりたいんだ」


爽子は光平の言葉に、また涙が溢れた。


「でも・・くっ・・・だから、私・・・私のせきに・・んなの・で・・っく」


涙を必死で堪えながら言う爽子にこんな一大事に不謹慎だと思いながら、光平はすごく愛しく

なった。華奢な体を震わせて、純粋に美穂のことを想っている爽子がたまらなくなり、自然に

手を伸ばして自分の胸に引き寄せた。


「黒沼さんは悪くないよ。・・・だから、泣かないで」

「・・・・!!」


爽子はいきなりのことに一瞬何が起こったか分からなかった。



*************



「−爽子!!爽子!!」


風早は街中を走り回り、爽子を捜していた。爽子に地図を渡したところは全部捜した。

思わず、路上で立ちすくむ。


ドクン、ドクン、ドクン


風早は先ほどから冷や汗と動悸が止まらなかった。”もし、爽子がいなくなったら・・・・”

いつもは前向きな風早も爽子の事に関しては何も見えなくなるのはいつもの事。しかし、今回

に限ってはいつもの不安とは違う、恐怖感。


(・・・とりあえず冷静になろう。)


風早は自分だけでは限界があるので、まずは蓮に助けを求めることにした。


ピッ


「−翔太?どうした」

「蓮!!」


風早が事情を話すと、蓮はすぐに緊急事態だということを理解して、自分の情報網を使って捜す

と言って電話を切った。こういう時、友人がいて良かったと思う。


同時に警察にも連絡しようと、風早は警察署に向かった。









あとがき↓

偶然会うわけないってね(笑)それでないと話が続かないのですんません。
それではまた遊びに来てください。

Half moon 47