「瞳は知っている」9 

※ 前書きから読んでください。こちら⇒前書き
※ 風早×爽子カップルではありません。オリキャラ登場します。


このお話は 「瞳は知っている」        の続きです。

あらすじ*ついに計画していた夏休みの旅行に出かける風早とハルと爽子。
3人の恋模様はどうなっていくのか!?乞うご期待(しないでね)
それでは以下からどうぞ↓











「瞳は知っている」 episode 9









あれから彼女は野球を見に来なくなった。たまたま用事があるのかもしれない。

ほっとしたような、寂しいような気持ちが複雑に自分の中で入り混じる。


「・・・最近、来ないな」

「え?」


休憩時間、お茶を飲みながら龍は言った。


「彼女」

「・・・ああ、そうだな」


龍は時々、気持ちを見透かすように言うから焦る。今もずっと考えていたこと。


「あのクッキー・・・また食べたい」


それだけ言うと、龍は立ち上がって少年達の方に行った。風早は思わずぼーっと龍を

目で追った。


「・・・俺だって食べたいって」


なんだか、言葉に出すとものすごく虚しくなってきた。彼女が来ないだけでこんな気持ち

になるなんて。自分が思っていたより、ずっと彼女に来て欲しかったのだと分かった。


「俺って・・・・女々しいや・・・」


でも来週は夏休みに入って、それからすぐに皆で企画していた海への旅行がある。

一緒にいればいるほど、つらくなるのが分かっているのに会いたくて仕方ないなんて。


* * * *


そして、時は巡って夏休み―――

海への2泊3日の旅行の日がやってきた。

風早やハルと同じ学部の男女、ゼミ仲間、爽子の友達何名かと総勢15人の賑やかな

グループ旅行となった。幹事の風早とハルは大忙しだ。でもお祭り好きなハルはテンション

高く、皆を盛り上げていた。


この旅行は風早にとって”忘れられない夏”となる。

そして、ハルとの最後の夏になることを・・・・。この時はまだ知らない―――


「かっぜはや〜〜〜〜!!ど〜〜っん」

「おっなんだよ〜〜〜重いよ!!」


ジョーがテンション高く風早にとび乗り、大はしゃぎをしていた。男女ともお互いを

意識しながら、興奮した様子で楽しそうに電車に乗っていた。


風早はちらっと向かい合わせの座席に座る爽子を見た。それほど長く会わなかったわけ

ではなかったのに、嬉しくて・・・自然に顔が綻ぶ。こんなに会いたかったんだって実感した。

ハルの隣で恥ずかしそうに笑っている彼女。


(・・・きんちょーしてんだ。顔が固い。)


そんな彼女に風早はふっとまた笑みがこぼれた。

そして窓の外の風景に視線を移す。


(・・・・・・・)


気が付いたら考えてる。

頭から離れないあの時の彼女の瞳。

何であんな目をしたんだろうって・・・・そればっかり頭に浮かんでは消える。

そして、一つの可能性に辿りつく。


(もし、そうだとしたら・・・・)


風早はぶんぶんと頭を振った。


「何してんの?翔太!頭痛いんか??」

「あ・・・・っ」


ハルが向こう側からからかうように声を掛けてきた。また、俺トリップしてた!?


(やばっ・・・・何考えてんだ!)


ずっと俺の頭の中は彼女のことばかり・・・。こんなで大丈夫か!?俺。

想えば想うほどつらくなるというのに。


「いやっ・・・まぁ〜俺が倒れたらハル頑張って」

「いや、無理、ジョーに後まかせる」

「え〜〜〜〜〜〜〜っ!!俺も無理無理ぃ!」


がははは〜〜〜っ


風早達ご一行は、電車で2時間揺られて北海道の有名なビーチに辿りついた。


*************


「きゃ〜〜〜〜っ!」

「うっほほ〜〜い!海だ!太陽だ!そしてビキニだ〜〜!」

「やっらしぃ〜〜〜〜!!」


きゃははっ〜〜〜〜っ


早速、ホテルに荷物を置き、ビーチに繰り出すことになった。男女それぞれ更衣室に向かった。



「女の子達おっっそいなぁ〜〜〜〜」


水着を楽しみにしているジョーがホテルの前で待ち切れず声を上げた。そこに・・・・・


「お待たせしました・・・」

「おっ・・・・!」


それぞれかわいい水着に身を包んで恥ずかしそうに部屋から出てくる女の子達を

男達はきらきらした目で見つめた。



(うわっ・・・肌が・・・/////)


風早はパーカーからちらっと見える、白い肌に茶色い大きなリボンのビキニを着て

いる爽子に目が釘付けになった。


「翔太も性少年やなぁ〜赤くなってんで。かわいいやっちゃ」

「ちょっ/////」


言うな〜〜〜〜っと照れ隠しにハルの頭をぐしゃぐしゃにして二人は子どものように

はしゃいでいた。


(自分だったら・・・・あんな姿の彼女、誰にも見せたくないかも)


”自分だったら・・・・”なんてないのに。風早は思わず苦笑いをした。







あとがき↓

正直、ジョーは使いやすい♪このお話、一気に最後まで書けたのでこのまま最後までUP

しますね〜〜〜。episode 15ぐらいで終わるかな??興味ない方はスル―してくださいませ。

それではいつも訪問して下さる方、ありがとうございます。

 「瞳は知っている」 10 UPしました