「Half moon」(6)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
同期会での光平の話。
こちらはHalf moon     の続きです。
それではどうぞ↓



















「田口くん〜〜はい!お酒」

「あっありがとう。」


隣は違う部署の女の子だった。同期会にかなりの人数が集まったようで居酒屋の中は

俺たちの会社の輩で埋め尽くされていた。この人数じゃ近くの者としか話せないだろう。


「田口くんって彼女いるの?」

「え??っと・・・いないけど?」

「へぇ〜〜〜〜っ」


それからというもの、隣の女の子の密着度が気になり、しばらく飲んだ後、ちょっと

トイレに行くと席を外した。

トイレに向かいながら思わずきょろきょろと辺りを見回す。俺は無意識で彼女の姿を

探していた。会社以外の彼女はどんなだろう・・・。

そして、かなり自分のテーブルから離れた所に彼女はいた。


近くを通りかかった時、思わず耳を傾ける。彼女の周りには男が何人かいた。


「あの・・・上手くはつげないのですが・・・」

「ありがとう!いや〜〜〜正直、黒沼さんと話したかったんだよね」

「えっ〜〜〜そうなんですか!!?」


チャンスさえあれば黒沼さんと話したい男はいっぱいいたことに気付いた。

確かにミステリアスっていうか、結構美人だし、恋愛対象になるのか。


(なんか・・・むしゃくしゃする)


「たぐっちゃ〜〜〜ん!!飲んでる??」


横を通り過ぎようとした時、爽子の隣だった友香が光平に声を掛けた。


「ここで飲みなよ!!」

「えっ・・・」


無理やり、彼女の隣に引っ張られた。


「あ・・・あの」


思わず、至近距離の彼女に胸の動悸が激しくなる。


「ほらっあんた達、同じ部署なのに喋ったこともないでしょ?」

「あ〜〜〜〜すみません!!失礼しました。く、黒沼爽子と申します。

 どうぞよろしくお願いします」

「あっ!!こ、こちらこそ。田口光平です」

「あんたら〜〜〜お見合いじゃないんだから!あははは〜〜」

「「///////////」」


友香は二人の様子に大爆笑し、二人は友香の言葉に照れてしまった。

その時光平は、彼女の隣に座りたかったのだとやっと自覚した。

ずっと、こうして話したかったのだと・・・。


「・・・そうなんだ。地元なんだね。家から通ってるの?」

「あ・・・うん。1時間半かかるのだけれど、通勤時間は苦にならないので」

「へぇ〜〜〜何してるの?本読んだり?」

「え・・・っと・・・・想像したり・・・」

「へ?想像?」


彼女は顔を赤らめて言った。見ていた感じよりずっとなんというか・・・ずっと


「どうやったら、上手く仕事をやっているけるかとシミューションしたり、

 人様に不快に思われない話し方を想像したり・・・・」

「はぁ・・・・。くっ」

「え?」


横で笑っている田口を不思議そうに見て、変な事を言ったか?と爽子はあわあわしていた。


「いやっ、見かけ通り真面目だなって」

「そ、そんな、こんな私なので、頑張らないと皆さんにご迷惑を・・・!」


表情がくるくる変わり、人間らしかった。そして、何にでも一生懸命なんだと思った。


「あの花・・・・。黒沼さんでしょ?」

「え?」


給湯室の植木鉢のことを聞いてみる。すると恥ずかしそうに彼女は言った。


「拾うなんて、すみません、なんか・・・でもだめかも・・・・って思ったんだけど、

 復活したの。嬉しかったなぁ・・・」


本当に嬉しそうに笑った。あの給湯室の時の笑顔だ。やっぱり彼女だった。

嬉しい時にはこんな表情で笑うんだ・・・。


「あ・・・の??」

「あっごめんっ!」


気がついたらずっと彼女を見つめていたことに気付いた。やばっ変に思われる。


「悲しい・・・・泣ける!!爽ちゃん〜〜〜慰めて!!」


その時、横から沢渡の悲痛な声。どうも酔っ払っているらしい。


「ああ・・・黒ちゃん、沢渡さんどうも泣き上戸らしいね。・・・よろしく!」


先ほどまで友香と話していた、隣の同期が相手に疲れたのか、席を移動した。


「たぐっちゃん〜〜〜飲んでる〜〜〜〜??」


明らかに酔っぱらっている友香は、今度は光平に絡み始めた。


「沢渡・・・おまえ結構やばい奴だな!今度は俺が生贄かよ!」

「何よぉ〜〜〜生贄って!!」


そんな友香の様子を心配した爽子は、水や濡れタオルを用意し、バタバタと動き出した。


(もっと、話したいのに・・・・)


その時、ピロロンッと携帯の音が鳴った。


「誰ぇぇ〜〜〜爽ちゃんじゃない??」

「あ・・・・」


爽子は慌てて携帯をかばんから取り出すと、表示されていた文字に頬を赤らめた。


「ちょっと、トイレ・・・」


そう言って、嬉しそうにバタバタとトイレに行く爽子を光平は見つめていた。


「まさか・・・・彼氏?」

「あ〜〜〜〜〜ぁ。やだぁ〜〜〜私というものがありながぁ〜〜〜」


友香はぐったりとなりついには机にうつ伏せて眠ってしまった。


「・・・・・・」


俺は彼女の後姿を目で追った。そしてぼーっと酔った頭で考えていた。どうして、

秘書課の女性が花を捨てた時に彼女のことが頭に浮かんだんだろうって??

直感的に思ったんだ。彼女なら捨てないんじゃないかって。


その時はまだ分からなかった。これが”本気の恋”の始まりだったなんて・・・。










あとがき↓

たいして萌えない。早く萌えたい・・・・。
それではまた遊びに来て下さい。

Half moon