「Half moon」(3)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
北海道と仙台で遠恋が始まった二人は?風早目線です。
こちらはHalf moon  の続きです。
それではどうぞ↓























高校で出会った風早と爽子は違う大学に進んだ。同じ道内だった二人は、高校の時の

ようにはいかないが、時間を見つけては会えていた。しかし、就職となるとどうにも

ならないことがある。お互い道内の会社に就職したのだが、世界中にブランチがある

大企業に就職した風早は、仙台支社に配属となってしまったのだ。


風早は爽子と離れるつらさから、結婚まで考えた。しかし今の自分では爽子を幸せに

できないのは風早自身が一番よく分かっていた。

”彼女を守りたい”

付き合う期間が長くなるにつれて強くなるこの気持ち。

彼女を守るためにも今はしっかり自分で歩けるようになること。風早は自分の心にそ

う誓っていた。確実に二人は恋から愛へと歩み始めている。

そして、遠恋になった二人・・・・。



「毎日、電話する。メールもする」

「風早くん・・・私も・・・」

「会いたくなったらすぐ飛んでいく」

「・・・っうん」


二人は抱き合いながら、別れを惜しんだ。騒がしい空港の中で周囲の音は全く二人の

耳には入らなかった。永遠の別れではないのに、この手を離したら自分の知らない世

界に行ってしまいそうで・・・・。

風早は、自分の腕の中で力を込めたら壊してしまいそうな華奢な身体を、いつまでも

いつまでも抱きしめて離さなかった。


あれから3ヶ月――


風早は無我夢中で仕事をしていた。北海道を離れ、仙台での一人暮らしが始まった。

新しい土地での新しいスタート。幸い友達も出来、会社の人間関係にも恵まれている。

仙台という場所は住みやすくて、食べ物もおいしい。ただ慣れないのは、大切な存在

が近くにいないということ。それは自分の心に大きな影を落としていた。

俺の心はいつだって、Half moon



「おっなんだ?彼女からメール?」

「ちょっと席外すわ」


がやがや


風早は週末、蓮を含め何人かの同期との飲み会に参加していた。携帯を握りしめて店

の外に出た。


「え〜〜〜?風くん彼女いるの?」


風早が去った後、同期の女子達が黄色い声で騒いでいる様子を冷やかに見ながら蓮は

煙草を吸いに外に出た。

外に出ると、嬉しそうにメールを打っている風早の姿があった。


「おっ!蓮!!」

「ふん、やっと気付いたのか」


メールを打ち終えた風早は蓮の存在に気付くと、照れたように髪をぐしゃっとして、

蓮の横に座った。



「はぁ〜〜〜〜!酔えね〜〜〜」


風早はそう言うと、思いっきり伸びをした。


「彼女?」

「!」


普段はそんなことを全く聞かない蓮に聞かれ、風早はちょっと動揺した。入社式で隣

同士だった二人は、打ち解けるのに時間はかからなかった。毎日会社で顔を合わせる

が、まだまだお互い知らないことは多い。でも、なんか心を許せる。風早は会った時

から、蓮にはそう感じていた。それは蓮も同じだった。


「・・ん・・・まぁ」

「何?あんま言いたくね〜の?」

「いや・・・蓮にならいいよ。」

「?」

「大事だからさ・・・皆に簡単に言われたくないっつーか」


ははっと照れたように風早は俯きながら言った。


「蓮ってさ・・・・俺の高校時代の友達に似てるんだ。雰囲気が似てるのかな。

 だからかな・・・安心できる。見かけはまるで違うけどね。あいつボーズだし」


あははは〜〜〜


「俺も何でだろ・・・・翔太とは昔からの付き合いのように思える。」


そう、不思議だった。男同士、長い付き合いでなければ名前で呼び合うこともない

のに、蓮とはすぐに呼び合うようになった。それが自然だった。


二人は少年のような顔で笑い合った。


「いつか・・・その大事な人、会わせてよ。」

「うん・・・・。でも俺も会えてないから」

「そっか・・・遠恋か・・・・つらいな」

「うん、思った以上に欲求不満になって、思った以上につらい」


二人は戸口にもたれながら明るく照らす半月を見ていた。風早は思った。月は毎日形

を変える。だけどたとえ半月になってもまた満月になれる。でも自分の心は彼女がい

ないと満月にはなれない。今は半分欠けたまま・・・・・。Half moon









あとがき↓

最近、更新できなくてすみません(汗)TUBE熱で一杯なもんで・・・・。
このお話、すごく長くなりそうです。退屈しのぎに見てもらえたらと思います。
「遠恋」が一応一つのテーマでもあります。風早先生とは違う風早になるのは
なんでかな〜〜と思ったら、こちらは両想いだからですね。風早先生は片思い
だから暴走するのだと思いました(笑)なんて妄想なのに語ってすみません。
それではまた見に来てもらえたら嬉しいです。

Half moon  4