「Oh My Angel」(7)

二人でいる時間が何よりのとっておきな時間だった翔太。しかし、
患者と看護師の関係以上にはなれず・・・。
これは「Oh My Angel」       の続きです。
以下からどうぞ↓























「風早さん・・・足の様子見ますね」


俺の楽しみに待っていた時間がやってきた。そう、黒沼さん、俺の担当が

巡回の時間。ずっと会いたいけど、看護師とただの入院患者。その関係

が変わることはない。だからせめて・・・と翔太は恥ずかしそうに言った。



「ねぇ、黒沼さん。もう1ヶ月経つので、その・・・」

「え?」

「名前で呼んでもらえないかな?」

「え?えええええ!」

「うわっ!そんなに嫌なこと?傷つくんだけど・・・」

「ご、ごめんなさい!きず・・・!」


(やっべ〜真っ赤になってかわいすぎるわ!)


「し、しょうたくん」

「/////////」

「あ、ありがとう」

「い、いえ、どういたしまして。」


そして、ぎこちない様子の2人をずっと観察していた山中であった。


**************


それからも翔太にとって、爽子と一緒にいる時間が何よりも特別な

時間だった。一緒にいるだけでこんなに幸せで穏やかな気持ちに

なる。ずっと一緒に居たい・・・。


「今日はどの薬草を飲ませてくれるの?」


爽子ガーデンに水を遣っていると翔太が降りてきた。


「あ、し、ししし翔太くん。」


名前を呼びだけで真っ赤になる爽子に翔太はふっと笑った。

そんな翔太の様子を見て、恥ずかしそうに爽子は言った。



「患者さんを名前で呼ぶの・・・初めてなの」

「え・・・そうなんだ」


翔太はぱっと顔を明るくした。

思いのほか、嬉しい。俺も・・・・名前で呼びたい。


「さ・・・/////」


呼べるわけない。恋人でもないのに。


「ねぇ・・・もう一回呼んで?俺の名前」

「えっ?」


そう言って、翔太は優しい目で爽子を見つめた。

爽子は胸のどきどきが止まらなかった。



「し、翔太くん・・・」

「あはは〜やっぱりどもるんだ。」

「あっ///////」


アハハハ〜  二人で笑い合う。


爽子は翔太といると、自然に笑顔になっている自分に気付いた。


(不思議・・・なかなか笑えないのに。すごいな翔太くん)


「あの・・・俺さ」

「?」

「黒・・・「−ぜはや!」」


二人とも一斉に振り向く。


「胡桃沢!」

「なんだ、ここに居たんだ。病室にいないから〜」

「あっ・・・」


「お客さんですね!それじゃ失礼します。あの、そろそろ病室に

 戻った方が・・・」

「私が一緒に戻ります」


くるみはすかさず風早の腕を取り、歩くのを手伝おうとした。


「あ・・・お願いします」


ペコっと頭を下げて方向を変えて歩いていく爽子を、くるみは

ずっと鋭い目で見つめていた。

「さっ行こ!風早。身体に悪いから」

「あ・・ああ」


爽子は立ち止り、ふっと後ろを振り向いた。お似合いの二人の後ろ姿

をただ茫然と見つめる。

ちくんっ・・・。

(なんだろ?この胸の痛み・・・。)


今まで感じたことのない感情に戸惑っていた。爽子は22年間生きてきて

「恋」というものを経験したことがなかったのだ。


***************



夕食も終わり、辺りも暗くなった頃、

隣の山中のカーテンが開いた。


「翔太くん?ちょっといい?」

「はい?」

「あのさ〜〜単刀直入に聞いていい?」

「?」

「翔太くんさ、・・・黒沼さんのこと好きなの?」


ぶ――――っ


翔太は口に含んでいた、お茶を吹き出した。


「汚いな〜〜〜〜!」

「うわっすみません!突然、何ですか?」


あせってその辺を拭きまくる翔太。


「やっぱそうなんだ。そうか〜」

「//////////」

「でもさ〜看護師さん好きなるのはちょっとな〜」

「なんで?」


翔太は思わずむっとして言い返した。


「アッハッハ〜分かりやすいね!君。顔真っ赤だよ?」

「////////」


「いいねぇ〜純情だね。患者と看護師って二次の世界ではありありだよ〜!!

 何と言っても白衣の天使!でもさぁ三次の世界ではどうなんだろう??」

 

山中さんが何が言いたいのか分かる。大人ならそう考えるだろう。

無謀な恋だって。だけど、この気持ちを止められるぐらいなら最初

から止めている。それに年なんか意識したことない。彼女はどうか

分からないけど、彼女だから好きなんだ・・・。


「というかね、そんな事より・・・言った方がいいのかな」

「え?なに?」

「いや〜やっぱりやめるわ」

「ちょっとそんな中途半端じゃ逆に気になるって!」


言い渋っている山中になぜか不安を覚えた翔太は次の言葉を促した。

しかし、その後の言葉に絶句する。

頭が真っ白になるというのはこういうことだ。その時はただ思考が停止し、何も

考えられなくなった翔太だった。




”黒沼さんと市東先生、付き合ってるって噂だよ”









あとがき↓

きっと予想通りの展開だと思います(笑)次回は失恋翔太の落ち込み編?
しかしあっという間に1ヶ月!明日は別マ発売じゃないですか!?
それではまたお暇でしたら見に来てください〜♪

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