「Oh My Angel」(14)

翔太、爽子、市東の関係が少しずつ変わっていく中、爽子はついに・・・?
これは「Oh My Angel」          10 11  12 13 の続きです。
以下からどうぞ↓
















「−黒沼さん!」


花壇にいる爽子は後ろの声に振り返る。


「あ・・・・・」


そこには久々に花壇に来てくれた、愛しい人、翔太の姿があった。


「・・・ごめん」

「・・・え?」

「だって、ずっと笑った顔見てない。ごめん。俺困らせてたんだよね」

「・・・!」


違う・・・翔太くんのせいじゃない。でも今は何も言えない。


「困らせてなんか・・・ないよ」

「え?」


そう言ったまま、次の言葉が出てこない爽子の顔を近くに行って覗き込む。


「あ・・・///////////」


すると、真っ赤になってさらに俯く爽子。


(なんだよ・・・・そんな顔されたら誤解しちゃうよ)


そんな爽子の顔を見て、翔太自身も顔を赤らめた。


「と・・・とにかく!俺・・・黒沼さんには笑顔でいてもらいたい。それ

 だけ言いたかった」


爽子はそんな翔太の姿を見つめながら思った。きっとここに来るのに勇気が

いったはずだ。それなのに明るく声をかけてくれる。私は、何も出来ずに、

何も答えられていないのに・・・・。


それじゃ、と去ろうとする翔太に「待って!」と爽子が声を掛けた。


「わ、私・・・・何も言えなくて・・・ごめんなさい。でも必ずちゃんと

 話をするから・・・・」


一生懸命言葉をつなぐ爽子に翔太はふっと笑った。


「ん!待ってる」


そう言った翔太の顔はいつものお日様のような笑顔だった。


ああ・・・・この笑顔に何回救われたのだろう・・・・。爽子は翔太の

笑顔を見ているうちに自分自身も自然に笑顔になっていることに気付いた。



やっぱり・・・・この人が好き。



この気持ちを偽ることはできない。爽子は改めて、強い決心をして拳を

握りしめた。そして、そんな爽子の後ろ姿をこの時も見つめる黒い影があった。



******************



いつものレストランで重い空気の中二人は向き合っていた。


「それで?」


市東は、肉をほおばりながら、話の続きを促した。


この日、爽子は意を決して、市東を呼び出した。自分の気持ちを

正直に言うために。


「あの・・・・だから・・・聖さんと結婚出来ません!」

「・・・・・・。」

「本当に・・・・本当に・・・ごめんなさい!!」


爽子は深々と頭を下げた。


どう謝ったら、どう償なったらいいのか分からない。でも、私には

これ以外はできない。


「ふぅ〜ん。それで高校生と一時的に溺れんの?」

「!」


爽子は頭を上げられないまま、その言葉を聞いた。知ってたんだ・・・・。

それから次々と市東らしくない言葉が続いた。


「何も持ってない子どもの高校生なんかがいいんだ。何?そんなに

 あっちが良かったとか?若いもんね〜〜〜!」


市東は薄ら笑いを浮かべて、平気で卑劣な言葉を並べる。

ここにいるのは本当に聖さん?爽子は初めて見る聖の姿に言葉を失った。


「まさか、師長もびっくりだろうね!まさか君が高校生をたぶらかす

 なんて思ってなかっただろうからさ〜〜〜!」


そして、彼をそんな風に変えたのは自分だと思うとたまらなかった。

爽子は拳を固めて聞いていたが、卑劣な言葉を聞けば聞くほど、それが

彼の苦しみや悲しみに聞こえて、胸がひどく傷んだ。


「・・・・・・。」


「別れるつもり・・・ないから」


そう言って、鋭い目を爽子に送り、市東は席を立った。

後に残された爽子は下を向いたまま、必死で涙を堪えていた。



******************



どんなに辛い日があろうと、人間は生きて行かなければならない。

正直な気持ちを話した次の日も、職場で顔を合わす。爽子は今ほど

市東の顔を見るのがつらい時はなかった。

一方、市東は何もなかったようにいつもと同じように振舞っていた。


(聖さん・・・・何考えてるんだろう・・・)


爽子は戸惑いながらも雑念を払って、仕事に精を出した。



アハハハ〜〜〜



翔太の病室に巡回で入ろうと思った爽子だったが、ドアの隙間からくるみの

姿が見えて、思わず入るのを躊躇する。



(あ・・・・くるみさん)



そう言えば、くるみは以前、翔太と付き合っていることを言っていた。

翔太にそのことを聞きたくても聞けない爽子は、ただ胸の痛みを感じる

だけだった。


「あれ?どうしたんすか?入らないんですか?黒沼さん」


その時、ジュースを買いに行ったと思われる山中が廊下の方から現れた。


「あっ・・・その」


山中は爽子の様子を変に思い、中をそっと覗いた。


(くるみちゃんだ・・・・アレ?)


再び、爽子に視線を移すと、俯いて涙目になっている。


(え??)


「す、すみません。お客さんみたいなのでまた巡回に来ますと

 翔太くんにお伝えください」


そう言うと、バタバタ走って去って行った。


(おいおい、看護師さんが廊下走っていいのかぁ〜〜)


山中は思わず首をかしげた。











あとがき↓
どの物語も基本は、翔太が爽子の色々な意味で”初めての人”という風に
作っちゃいます。そして様々な感情を知ると。自分が努力していても変わ
らないのに、ちょっとした人のきっかけで変わるってこと多いですよね。
それが人生において価値のある出会いなんでしょうね〜。
まぁ、そんなでまだ続きます。でも、もしかしたら24日まで更新できないかもしれません。(汗)またよろしくお願いします。

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