「風早家の人々」<後編>
最終話です。風早の出張時に爽子を旅行に連れ出していた風早家に
怒り沸騰の翔太くん。しかし、その旅行先とは・・・・?
この話は「風早家の人々」前編 中編 の続きです。
以下からどうぞ↓
「・・・・・・・」
宿泊先の温泉宿に風早家全員が座って顔を見合わせている。
翔太と爽子の前に風早家3人が向き合っているという構図である。そして、
3人は俯いて翔太の鋭い視線を受けていた。
なんと、翔太の出張先は爽子達の旅行先と同じだったのだ。
「・・・悪かったよ。翔太。はい!もうしません」
家族は皆、右手を胸の前に上げて、誓いのポーズをしていた。
(翔太くん・・・・怒ってる?)
「あのさ・・・はっきり言うけど、爽子は俺の奥さんだから!」
「分かってるけどねぇ・・・いいじゃない。私達だって爽子ちゃんと
遊びたいんだもん」
お母さんはそんな嬉しいことをいつも言ってくれる。
私はわぁ〜〜〜〜!と嬉しくて顔が熱くなった。
その様子をじっと見ていた翔太くんは私をぐいっと引き寄せて手を握る。
(うわっ恥ずかしいよぉ〜〜〜〜翔太くん//////)
さらに真っ赤になった私に、翔太くんはにっと笑った。
「とにかく、もうこんなことはやめて。爽子はこんな人だから、何でも
嬉しいと思っちゃうんだから。」
「ち、ちがうよ!翔太くん。本当に嬉しいの。皆さんに仲良くしてもらって」
「「爽子ちゃん・・・!」」「爽子!!」
家族全員がじ〜〜〜んとしている姿に思わずため息をつく翔太。
「はぁ・・・どうしてこんなに爽子が好きなんだ。うちの家族は!
でも、俺のだから!!」
そう言って、ぎゅっと横の爽子を抱きしめた。
「し、翔太くん////恥ずかしいよっ!」
「だって爽子を一人占めできるのは俺だけだも〜ん」
その様子に”ちっ”と舌打ちが聞こえそうな雰囲気だった風早家だった
が、仕方がないと、これからは勝手に爽子を連れださない。必ず、翔太
が一緒に実家に行くことを約束した。
明らかに落胆する家族に、ちょっと同情した翔太であったが・・・・。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
その夜、翔太の出張先のホテルに爽子を連れていく。まさか、出張先
で爽子を横に眠れるなんて思ってなくて、思わぬプレゼントにちょっと
家族に感謝したりして・・・・。俺って単純。
布団の中で、もちろん爽子を感じたい俺に「明日も仕事だから・・・」
と弱弱しく拒否しようとする爽子にちょっと意地悪をする。
「さっき、透太と何話してたの?」
「さっき?」
「夜店を歩いてる時!」
「え・・・何だったかな?」
「なんか、二人とも浴衣でさ・・・・カップルかと思っちゃった」
「えっえっ!!そんなに近かった?そんなじゃないよっ!!」
あせって、否定しようとする爽子がやっぱりかわいくって。ほっぺに
ちゅっと口づけ一つ。
「///////」
そこを手で覆って照れる爽子に触れたい欲求が止まらない。
「き、今日は・・・・ごめんなさい。翔太くんが一生懸命仕事をしてる
って言うのに・・・・。」
「それはもういいよ。爽子が楽しんでくれるのは嬉しいんだから。でも
それがあの連中ってのがね・・・」
「翔太くんは私がご実家に行くのは嫌?」
「嫌っつーか・・・・・」
翔太は顔を赤らめて爽子をじっと見て言った。
「俺が一人占めしたいだけ」
「え?」
やっぱりきょとんとしている爽子。家族にもヤキモチを焼く俺に気付きも
しない。いったい何年の付き合いなんだろう・・・。でもそんな爽子だから
こそ、ずっと愛しい気持ちが増していくんだろう。
「まっ・・・いっか」
そう言って、翔太はにっこり笑った。そして、
「明日の仕事がんばりたいからさ・・・・今夜一人占めしていい?」
さすがに分かってくれたのか、爽子は真っ赤になって、
「うん・・・」 とかわいく俺の腕の中でうなづいた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
そして、翔太に平穏な毎日がやってくると思われた。・・・が!
Pulululu〜♪
Pulululu〜♪
「え・・・!」
出張先からの電話にやはり留守番電話。
「まさか??」
慌てて、実家に電話を入れる。
「あらぁ〜〜〜ごめんなさいね!爽子ちゃんに電話すると寂しそう
だったからね〜〜!それにお夕飯を作りすぎちゃって!!」
がははは〜〜〜〜っ
後ろで賑やかな声。
がくっとうなだれる翔太。そう、やはり風早家の日常は今日も変わって
いなかったのであった。
<END>
あとがき↓
どうしよう!これ楽しい♪こういうのまた書きたいです。さて次回は
また長いのを行ってみようと思います。
よければまた見に来て下さい。それではこのお話がお気に召しましたら↓