「OVER the TEARS」(13)

すべてを預けよう思った爽子は風早に会いに行きます。かなり短いです。
これは OVER the TEARS           10 11 12 の続きです。
それでは以下からどうぞ♪
















待ち合わせ場所に行くと、いつものお日様みたいな笑顔があった。

涙で視界が見えない。だって、ずっと求めていたの。

あなたの笑顔を・・・・。


「うっうっ・・・っ」


上手く喋れない。


立ちすくんで動けない私の視界がいきなり暗くなった。

私は、風早くんの胸に抱かれていることに気付いた。

優しく、優しく・・・風早くんの胸から温かさが伝わる。


「何も・・・言わなくていいよ」

「ううっ・・・っ」


涙が止まらない。どうしよう。風早くんの服を濡らしちゃう。


「ご、ごめんなさっ・・・!」


すると、今度はぎゅっと強く抱きしめてくれる風早くん。


「離れちゃだめっ!ずっと我慢してたんだから!」

「・・・!」


そして、どれだけの時間が経ったのだろう。

自然に顔を上げてお互いの目が合った。そして、笑った。


”いっしょ”だ・・・。




私は、思っていることを全部話した。真剣に聞いてくれる風早くん。

そして、風早くんは言った。


”「思い出してくれてありがとう」”と。


その一言で全て風早くんの気持ちが伝わったような気がした。

ずっと待っててくれてたんだって。

風早くんを思い出さない日はなかったよ。ずっと聞いて欲しかったの。

分かって欲しかったの。そして・・・助けて欲しかったの。


「後は、俺にまかせて」


そう言って、優しい笑顔で去って行った。


頼っていいんだ。そう思った。いつも私が何かした後、風早くんは

”「俺は爽子の彼氏じゃないの?」”って怒った顔をした。

ああ・・・そうか。ずっと待っていてくれたんだな。


「ありがとう・・・・」


風早くんの後ろ姿を私はいつまでも見送った。



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「―ちょっと!あなた何?」

「風早翔太と言います。黒沼爽子の知り合いと言えば分かります」


風早は道哉の母の会社にいた。会社は街の中心にある高層ビルにあり、

その最上階に母がいる社長室はあった。やはり、受付ホールで止めら

れた風早だったが、それを振り切って、社長室に入って行った。


「すみません!!社長!止めたのですが・・・・」


秘書が必死に頭を下げている。


「・・・・。まぁいいわ。あなた下がって」


そう言って、秘書を部屋の外に促した。


「あのね、あなた大学生ね。色々覚えておいた方がいいわよ。

 社会人はアポなしには動いちゃだめなのよ」


明らかに面倒くさそうに道哉の母は仕事に目を移して、作業しながら言った。


「強引に、すみませんでした」

「・・・・・。」

「あなた黒沼さんの?・・・なにか御用?あのことは弁護士を通して、

 黒沼さんと話し合ってるはずですけど」


深々と頭を下げる風早に好感がもてたのか、母は普通に対応し始めた。


「道哉くんのことで来ました」


風早は真っ直ぐ母を見て目を逸らさず言った。








あとがき↓

次回で終わりです。(多分)そして明日は発売日〜♪結局原作の続きを
待てなくて、二次小説で我慢しようと始めたブログですので、妄想
でごまかしているんですね〜♪ハマると怖い性格です(笑)
続きをよければ見に来て下さい。
OVER the TEARS 14