「OVER the TEARS」(15)

やっと最終回です♪その後の瀬戸家、そして二人の関係は!?
これは OVER the TEARS           10 11 12 13 14 の続きです。
それでは以下からどうぞ♪


















ある朝、爽子が家のポストを見ると、一通の手紙が入っていた。

”黒沼爽子様” 手紙を裏返して差出人を見ると、そこには

”瀬戸道哉”と書かれてあった。


「あ・・・・!」


爽子は急いで、自分の部屋へ行って封筒を開けた。もうすでに懐か

しくなった道哉の字。それを見ただけで爽子は涙が溢れそうになる。

そして急くように先の文に目を走らせた。

そこには正直で素直な道哉の気持ちが書かれてあった。


道哉が愛人の子供だと知った、夫と兄の達哉は動揺を隠せず、

一時はひどい状態になったらしい。もちろん、夫は受け入れられる

わけはなく、離婚沙汰になっていた瀬戸家であったが、母親は道哉の

父とは別れて、一からやり直したいと申し出たそうだ。それは自分の

ためではなく、二人の息子のためだと知った夫は離婚を思いとどまって

いるようだ。でも、まだこれから分からないと。

そんな状況の中、複雑な思いを抱えて苦しんでいるのではないかと

読みながら、危惧した爽子であったが、違った。


”今までで一番母親が近くに感じる”と書いてあった。道哉はしっかり

愛されているのだ。道哉は今まで母親の愛情を感じられなかった。

でもずっと求めていたのだから・・・・!


照れて、素直になれなかったりするのかな。ふふっ

そんな道哉の姿が頭に浮かんだ。


私は目頭が熱くなった。もう大丈夫。道哉くんはもう大丈夫だ。

きっともうすぐ学校にも通えるようになる。



あれから達哉さんはうちに謝りに来た。受験でイライラしていたそうだ。

道哉くんの無実が晴れて良かった。お父さんは本当のことを知ってから

訴えるということはしなかった。やはり私は達哉さんを見ることはでき

なかったけど、あの事件を通していろいろなことに気付かされた。道哉

くんの優しい気持ち、母親への気持ち。そして何より・・・・。



「爽子!」

「風早くん!」


風早くんが何をしたのか私は知らない。だけど、道哉くん、そして瀬戸家

を救ったことだけは確かだ。やはり風早くんはすごい人です。



大切な存在。



それから私達は会わなかった時間を埋めるかのように、沢山の

お話をした。大学の話、家の風早くんガーデンの話、

そして・・・道哉くんのお話。


「風早くん・・・。お家に行っていい?」

「えっ?う、うん」




道哉くんの手紙の最後に一言。

”ずっと続く関係・・・・あると思う。あんたと彼氏のようにな”


そして、”ありがとう。あんたに会えてよかった”と・・・・。


道哉くんに会ってから色々なことがあった。辛いこともあったけど

やっぱり嬉しいことの方が多かった。私も道哉くんに会えて

本当に幸せだった。  心からありがとう・・・!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「ちょっまさかウチ来るって思わなかったから////」

「わっ!!掃除させてください!」

「えっちょっと待って〜〜!!」


私は決心していたことがある。まだ風早くんの気持ちが変わらないのなら。



「ありがと〜爽子。部屋を片付けてもらった上に夕食までご馳走になって。

 めちゃおいしかった!」

「よかった・・・・。」

「風早くん・・・。本当にいろいろありがとう。」

「俺、何もしてないよ」

「ううん・・・風早くんがいなかったら私・・・。」

「違うよ。俺が何かしてあげたいって思ってもいつも頑張っちゃう

 から爽子は・・・・。」


この事件を通して、私の中で風早くんがどれだけ大きな存在か分かった。

そして私、気付いたの・・・。達哉さんに襲われかかった時、本当に怖かった。

でも、風早くんの家から走って逃げたあの日、風早くんに怖かったんじゃない。

私自身に怖かったんだって。私自身が変わっていくことを受け入れられなかった

んだ。風早くんのことをもっと知りたいと言う気持ちはどんどん加速していたと

言うのに・・・好きな気持ちと一緒に。


あの事件は私が変わるきっかけをくれた。


”「爽子自身がどうにかするしかないんだよ」” あやねちゃん・・・・。


私・・・変わりたい。


「風早くん・・・大好きなの。」

「え!な、な、なに突然?//////」

「か、風早くんは?」

「え?そんなの好きにきまってるじゃん!」


いつも真っ直ぐな瞳は私の心を捉えて離さない。

この大好きな気持ち・・・あなたに届け!


「あの・・・だから・・・お願いします/////」


爽子は正座し直して言った。


「へ?」

「あの時の続き・・・・/////」

「?」


それでも風早はまだ爽子の言っている意味が分からなかった。


「あ、あの・・・その・・・」


でも真っ赤な爽子を見ていると風早の心臓はどんどん早くなっていく。


「こ、今度は逃げません」

「ええええ??ちょっ//////」

「は・・・はあ????」

「////////」


「ええええええ〜〜〜〜〜〜!!!」



やっと爽子の言わんとすることを理解した風早は、

後ろに1メートルほど吹っ飛んだ。



「う、うそ・・・。い、いいの??」



爽子はコクンッと恥ずかしそうに頷いた。


その後、全く心の準備が出来ていなかった風早は慌てふためくことになる。

まあそんなこんなでドタバタの初体験だったわけだが・・・・。

やはり二人にとって忘れられない記念日となるわけで。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


風早ガーデンは今年もきれいに色とりどりの花を咲かせている。

あれから幾度かの春を迎え、また新たな春がそこまでやって来ていた。


あの事件が俺たちの関係を加速させてくれた。良くも悪くも

忘れられない思い出だ。


そしてここから始まる新しい生活―


「爽子ー!風早くんが待ってくれてるわよ!」


「は〜い!」


俺はガーデンを見ながら微笑む。そして、玄関から出てきた愛しい

人を迎えた。その後ろから寂しそうな爽子の父の姿・・・・。


”かけがえのないもの”


一生大切にしたいと心に誓い、二人で新たな人生に向かって歩き出した。



<END>








あとがき↓

終わった。なんとか〜〜(汗)上手く書けなかったけど、初体験までの
のりをこんな風に書いてみました。一応、最後は結婚するという感じ。
初体験をリアルにも書いてみたいんですが、ちょっと恥ずかしくって!
まっいつかR18話も?
シリアスな妄想に今までお付き合い頂きありがとうございました。

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