「OVER the TEARS」(7)

今回は、爽子の日常で。意外な人物も登場します。
これは OVER the TEARS        の続きです。
それでは以下からどうぞ♪












最近、少しずつ勉強を教えられるようになってやっと

家庭教師らしくなってきた。道哉くんと少しは仲良く

なれたかな・・・と嬉しくなるの。



その日、バイトが終わって瀬戸家から出てきたら、明らかに

動いた影があった。



「あ・・・あの?」



さすがに見つかったと思ったようで、木の陰から女の子が

出てきた。


その子は制服を着ていて、中学生ぐらい?だった。


「誰?」

「えっ?」


逆に聞かれてしまった。



「あなた誰?瀬戸家の人じゃないっしょ?」

「あ・・・・ハイ。道哉くんの家庭教師です。」

「え〜〜〜!みっちーの?うそーなんでそんなのしてんのアイツ」

「あの〜〜?」

「あっ私、アイツの幼馴染なんだけどさ。どーしてんのかなって

 思ってさ。アイツ・・・。」


女の子は、さっきの攻撃的な態度とは違って、モジモジして言った。

彼のことを気にして来てくれたんだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


私は、勇気を出して彼女を誘った。

彼がどうして登校拒否になったのか・・・ずっと知りたかったから。


”「ある時、転校する子がいるからって、クラスでお金を集めて

 プレゼントを買うことになったんだ。それでクラス委員が徴収

 したお金を持ってたんだけど、それがなくなってさ・・・・

 大騒ぎになったんだ。それで・・・・」”


結局、派手で、日頃から素行の悪い道哉くんが犯人に仕立てられたと。


”「あいつなわけないじゃん。私、あいつのこと昔から知ってるけど

 そんな真似するわけない。だって家もお金持ちだしさ〜」”


恋愛に鈍い私も分かったよ。彼女は道哉くんのこと好きなんだって。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「この間ね、道哉くんの家の前に女の子がいたよ」

「えっ?またアイツッ・・・・!」

「あれ?誰だか分かるの?_」

「アイツ、ひつこいんだよ」


あれ?おかしいな。もっと嬉しそうにすると思ったのに。


「で、でも心配して来てくれたみたい。もしかして・・・・」


(下心あるんだよ!きっと。)


私は、手を合わせ拝むように眼力で伝えた。



「何回も告られてるし。何回断ってもひつこいんだよ。アイツ」



(え―――――っアレ?)



「あ、あれ?道哉くんは好きじゃないの?」

「なんで!ありえないっつーの。あんな男みたいな奴」

「そ、そっかなぁ〜かわいかったよ」

「俺の好みじゃねーし」

「そ、そっか・・・。どんな子が好みなの?」

「どんな子って・・・・」



そう言うと、道哉くんはじっと私を見た。


「そ、それは・・・・・」


トゥルルルル〜♪


「あっごめん!電話が」

「・・・・・・。」



あれ?なんか赤い?道哉くん。どうしたんだろ?



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「あやねちゃん!!」

「ひっさしぶり〜〜!爽子」

「来てたんだ!」

「さっすがに、このアホピンでも女一人では来させないわよ。

 風早怒るしね。つーか、こんなで爽子呼ぶなつーの!」


久しぶりに荒井先生から電話があった。体調を壊したので

来て欲しいということなので、バイトが終わった後、急いで

駆けつけた。


実はあやねちゃんの彼氏は荒井先生だ。

高校時代からいい感じだと思ってたけど、実際付き合ったのは

最近。二人の空気が同じだもの。ちづちゃんと真田くんのように・・・。

うふっ。



「来たか・・・黒沼、早速よろしく(除霊)」

「あ、はい!いろいろ持ってきたので・・・」

「ったく、彼女は役に立たないのかっつー話!」


そう言うと、私が持っていた冷えピタをあやねちゃんは先生の

額に思いっきり貼った。


「〜〜〜〜!冷てっ!おまっ」


その後、薬も飲んで先生はがーがー眠り始めた。



「っとに世話焼ける奴だよ」

「ふふっ。」


本当にお似合い。そう言いながらあやねちゃんの目が優しい。


「でも、あやねちゃん、どうして皆に黙ってるの?先生と

 お付き合いしてること」


「ん・・・なんかね。微妙なんだよね。今までこんな感じ

 なかったんだけどさ・・・なんか照れるっつーか!」



そう言うと、妙に女っぽい顔になったあやねちゃん。いつも

女らしいあやねちゃんだけど、なんかいつもより・・・・。


「あやねちゃん・・・。本当に先生が好きなんだね!!」


「えっ!///////」


初めて見た・・・。こんなあやねちゃんの表情。そっか・・。

良かった。嬉しいな。


「うん、そうらしい。ちょっとヤバイ私」


そう言うと、すごく恥ずかしそうにあやねちゃんは顔を伏せた。


「私、嬉しい!!すっごく嬉しいよ」


思わず拳を握りしめてそう言うと、あやねちゃんはとても優しい顔で


「ありがとう・・・」


と言ってくれた。

早く、ちづちゃんや風早くんにも言えるといいな。先生も風早くんに

言ってないということは、あやねちゃんと同じ気持ちなんだって思う。


(素敵だなぁ・・・。)


しばらくして先生は目を覚ました。



「ん?おっ体が軽い!」

「おーサンキュな黒沼」

「いえ、あやねちゃんがお世話したんで、私は何も」

「いや、お前を呼んだのは他でもない。ちょっとナイスアドバイス

 かましてやろうかと思ってな。」


「ピン!あんたのアドバイスは余計なこと多いんだから」

「おまっそんなこと言っていいのか!」「べっつに」「なに〜〜!」


「あっあの〜」 おろおろ〜〜


二人は仲が良すぎて、いつもケンカしてる。


「とにかくよ!翔太やばいぞ!このままじゃ二次の世界にいっちまうぞ!」

「えっ?」

「アホ〜ピン!」バシッ

「なんだよっ!お前。俺が今までどんだけナイスアドバイスかましてるか!」

「あのさっ爽子のことは少なくともアンタより私の方が分かるの。変な

 アドバイス必要ないから!!爽子、気にしないでいいから。んじゃまたね」


「う、うん・・・また。先生お大事に。」


かちゃっ


(二次?って何だろう・・・)


風早くん・・・どこかへ行っちゃうの?どうしよう・・・。











あとがき↓
相変わらずな爽子でした。次ぐらいから話がやっと動き出します。
よかったら続きを見に来て下さい。
OVER the TEARS