「野球少年の恋」3

野球少年の恋   の続きです。最初は風早目線で。その後
高瀬目線になります。(回想部分)分かりにくくてすみません。
それではどうぞ↓




















月日はめぐり、季節は夏に近づいていた。北海道の夏は過ごしやすくて、
心地よい季節だ。大学ももうすぐ夏休みに入る。夏休みになると、爽子と
沢山会える!今年は俺らもハタチ。そろそろ、旅行なんてしてみたいけど、
おじさんがなぁ・・・。
そんなある日のことだった。



今日は珍しく、俺は大学外の居酒屋に呼び出された。

ガラッ



「おっ翔太、こっち!」 奥の席で高瀬さんが手を振っていた。

「珍しいね。大学外でなんて」

「お前が乗ってこないだけじゃん。いつも彼女に夢中でさ」

「だって、高瀬さんの誘いっていつも女の子がいるじゃん。俺、彼女に

 誤解されるようなことしたくないから」

「・・・・。」



珍しく、高瀬さんはからかわず、静かに俺の言うことを聞いていた。
そして、ポツリ、ポツリとビールを飲みながら話しだした。



「俺・・・・野球に夢中だったからさ、それ以外のことは全く見てなかったから、

 はじけてたけど、ホントはさ・・・ずっと次に夢中になれるものを探し求めて

 たんだと思う。お前を見ていると、大変だなと時に思ったりするけど、やっぱり

 幸せそうで、うらやましくて・・・。」

「・・・・。」



この日の彼は何か違った。酒を飲んでいるからかもしれないけど、酒を飲んでいないと

話せないという風に俺には映った。



「・・・お前にしかさ、こんなこと言えなくて」

「・・・うん」


意を決したように、高瀬さんはこっちを向いて言った。



「俺、マジ好きな子できた」

「えっ?!!!マジ?」



彼がいいかげんじゃないのは分かってたから、すごく嬉しかった。

いつかそんな日が来ると願っていたから。

俺は心から彼を応援しようと思った。俺と同じで不器用な彼を。

そう、あの日までは・・・。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ある雨の日、俺は君に会った。

大学の帰り、俺はいつもと違う道を通った。買い物があって、

違う駅に向かっていたからだ。

すると、突然雨がザーっと降ってきた。



「やばっ傘もってねーし。困ったなぁ・・・」



俺はとりあえず、側の花屋の隅に避難させてもらった。

しばらく様子を見ていたが、雨はますます強く振るばかり・・・。



「これ以上いたら、店の人に文句言われるな・・・よしっ」



意を決して飛び出そうとしたその時、



「あ、あのぉ〜〜」

「うわぁ!!」

「ご、ごめんなさい!驚かせてしまって!」



花屋から出てきた彼女は申し訳なさそうに頭をぺこぺこ下げていた。

いきなり人が出てきてびっくりしただけなのに?



「こ、これ、よかったら使って下さい。本当によかったらなのだけど・・・。」



と言って、赤い傘を差し出してくれた。


「えっいいの?ココの人?」

「あ、ハイ」

「・・・ありがとう。すごく助かる。ここに返しにくればいいのかな?」

「ハ、ハイ。いつでもいいです。」

「マジ助かる。ありがとう!」





そう言うと、彼女の顔がぱっと明るくなり、嬉しそうにほほ笑んだ。

あ・・・かわいい。ってその時は思っただけだったんだ。

でもそれから傘を返しに行って、一言二言会話をしたけど、なんかいつもの

調子が出てこない。何でだろう?傘のお礼にお茶でも・・・・お茶でも。

上手く言葉が出てこなくて、思わず、前にあった花を指さして、



「あ・・・この花の名前って?」

「これは、ストロベリーキャンドルっていいます。」

「へーっかわいいね。」

「ちなみに、花言葉は『人知れぬ恋』です。」



その時、ある日の翔太との会話を思い出した。



”「たぶん、高瀬さんは落ちてないだけだと思うよ」

「へ?落ちてない」

「うん、恋ってするもんじゃなくて落ちるもんだからさ」

「突然、雷が落ちるみたいにさ」”




そう、その時、彼女の大きな目で俺を見られると、ずきゅーんって心臓を

打ち抜かれたような気がした。

そっか・・・これが落ちると言うことか。

清純そうで、女の子って感じで・・・。俺ってこんな子タイプじゃないはず。

でも、今まで会ったことない。









あとがき↓
ここでは、高瀬さんというオリキャラが恋におちるという回でした。誰に恋したか?
それはもう分りますよね?それではよければ続き見に来てください。

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「野球少年の恋」