「Once in a blue moon」(14)


※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
  爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。

★「Half moon」は 目次 から。
こちらは「Once in a blue moon」1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 の続きです。 


☆ 蓮と麻美は付き合うようになった。それを聞いた翔太は・・・?


















・‥…━━━☆ Once in a blue moon 14 ‥…━━━☆



















「え??マジでっ!」

「わわ〜〜っし、翔太くんっ」

「ごめっ」


翔太は手で口を塞ぐと、周りをきょろきょろっと見渡した。今夜は結月がいない夜なので、

外食しようと翔太が提案した。翔太は爽子の料理をいつでも食べていたいが、爽子に家事

を休ませてあげたいのと、デート気分を味わえる外食も大好きだった。この夜は大分前か

ら予約していた雰囲気のあるイタリアンレストランで二人は食事していた。


「蓮と瀬戸さんが??」

「そ、そうなのっ。麻美ちゃんが翔太くんにも言っていいと言ったので・・・」

「そっかぁ〜〜〜」


翔太は驚いた顔から段々と嬉しそうな顔になる。爽子はそんな翔太を覗き込むように

見ていた。


「わわっ何?////」

「ご、ごめんなさい・・・何か翔太くんの嬉しそうな顔を見ていたくて」

「〜〜〜////〜もぉっ・・・・俺だって見ていたいしっ」

「え?」

「爽子のことずっと。今日・・・とってもかわいいよ。似合ってる」

「えぇ〜〜っ/////」


爽子は熱くなった両頬を押さえて、恥ずかしそうに俯いた。この日は翔太と先日買い

物に行った時買った、ワンピースを着ていた。翔太は一緒に買い物に行くと、爽子に

似合いそうな服をすぐに見つけてしまう。実は普段からそうだった。


「あ・・・ありがとう////」

「う、うんっ////」


二人は真っ赤になってお互い俯いた。外に出るとさらに恋人気分になり、やたらと照

れてしまう。そして翔太は必ず早く家に帰りたくなってしまう。なぜなら・・・早く

二人きりになりたくなるのだ。


(やばいっ・・・また押し倒したくなってきたっ////なんで俺って・・・)


「こんな姿見たら、また蓮にからかわれんな。ははっ」

「/////」


翔太は照れ隠しにワインをぐいっと飲み干した。爽子もピンクの頬を隠すようにワイン

をちょこっとたしなむ。そして何気ない日常の幸せを噛みしめるようにお互い微笑み合

う。二人にとって一緒に居る時間が何よりの幸せだった。


「でも・・・ほんとびっくり、こんなに早く付き合うなんて。会社であの子に会った時、

 ちょっと蓮が違うなって思ったんだけど」

「翔太くん、麻美ちゃんのこと知ってたの?」

「いや、後から気づいた。あの子だって・・・」

「すっごく・・・いい子なんだよ。麻美ちゃん。お似合いだと思ってたの。良かった・・・」


爽子は頬を赤らめて興奮したように目を輝かした。そんな爽子をじっと見ていた翔太は

こくんと静かに頷いて言った。


「・・・上手くいくといいな」

「もう、お付き合いしてるのだから・・・」

「うん・・・だよな」

「・・・・・」


爽子は翔太の言葉の意味を理解していたが、あえてそれ以上口にしなかった。

お互い思っていることは一緒だ。手放しで喜ぶことができない。


”蓮は過去を乗り越えられるのか・・・?”


翔太と爽子はお互い不安そうに見つめ合った。



* * *



あれから私は恋人としての川嶋蓮を少しずつ知る。連絡はマメじゃないし、会社では

仕事モードなので全く変わらない。(もちろん私もそのつもり)だけど、会っている

時はやはりいつもの川嶋蓮とは違ってちゃんと ” 彼女 ”扱いをしてくれる。町を

歩いていると、自然に肩を抱いて人をかわしてくれたり、荷物をさり気なく持ってく

れたりと・・なんか特別みたいで胸がきゅんっとする。きっと他の子にはしないこと

のような気がするから、嬉しい。そして嬉しさが前面に出ているようで、よく彼には

” 素直だな ”なんて言われる。私ってこんなだっけ?と恥ずかしくなるけど、それ

ほど私は川嶋蓮にベタボレってことだ。そして絶対彼女以外は見れない川嶋蓮の姿も

知ってしまった。それはあの時・・・。


(ってきゃっ////私ってやらし〜〜〜っ)


麻美はにやけが止まらない顔に気づくと、焦ったように手で熱い顔を覆った。

やっぱり川嶋蓮は大人で、付き合って一ヶ月は忙しくて会えなかったけど、その後の

デートでそういう関係になった。抱き合っている時、何度も私の髪を優しく触って後

ろから抱きしめてくれるの。その大きな手や男らしい身体に私はもう夢中だ。私の中

はどんどんと川嶋蓮一色になってしまって・・・。


(さっ仕事仕事っ!)


「瀬戸さんっ!」

「え?」


麻美がデスクに戻った時、同じ部署の女子社員が声を掛けてきた。


「今度、同期会があるんだけど、どうかな?来週の金曜だけど」

「あ・・・・うん、行こうかな」

「え??」

「いつも幹事ありがとね」

「・・・・・」


同僚たちは顔を見合わせた。そして麻美の背中を見送るとこそこそ話し出した。


「なんか、変わったよね?瀬戸さん。付き合いやすくなった」

「うん、思う。そんなにツンツンしてないじゃんね」

「どうも、建築部の川嶋さんと付き合ってるって噂なんだけど・・・」

「ええ??マジで?うそでしょ〜〜〜っ」

「なんか、一緒に帰るところ見たって」


麻美は背中で聞こえる声に少しびくついた。周りなんか気にしないのだが、蓮のことに

なると、異様に弱気になる自分を感じている。でも、そんな時必ず蓮は”言わせておけば

いい”と言う。本来自分が言いたいセリフを即答で言ってくれる蓮に嬉しくなるのだ。


しかし周りの人たちをないがしろにできないと思ったのは蓮と付き合った影響だけでは

ない。麻美は分かっていた。麻美の中で爽子の存在がどんどん大きくなっていること。

あれから蓮との付き合いが長くなるにつれて、風早家を訪れる機会も増えた。そして毎

月一回の落語鑑賞会。”風早爽子”という女性を知っていくたびに魅せられていく。

麻美は爽子と蓮に出会って、自分の人生に初めて期待を持つようになった。


気が付いたら川嶋蓮との幸せな未来を夢見ている自分がいる。

最近思う。こんな自分も悪くないと・・・・。


そして私は”気になること”を見ないようにした。それを見てしまったら、今の幸せが消

えてしまうような気がしたから。


でもその想いに反比例するように、知りたくなる気持ちはどんどん膨れ上がっていった。







「Once in a blue moon」 15 へつづく

















あとがき↓

デザインをコロコロ変えてすみません。秋仕様はさすがにやめようと(でも基本飽き

性)だんだん寒くなってきましたね。風邪引かれませんように〜〜〜〜(* ̄ー ̄*)