「St. Valentine's Day」


今日はバレンタインデーでしたね。別に興味はないんですが、ずっと前に書いたお話が

あったので、折角だからUPしときます。父・喜多夫の小ネタでかなりしょーもないです。

そして短かいですがよければ以下からどうぞ↓



















今年のバレンタインデー。


以前より気合が入っている気がする。いや、いつも爽子は一生懸命なのだ。

分かってはいるけど、そんな気がするのは俺の色眼鏡のせいだろうか?

父、喜多夫はさきほどから台所に立っている娘の後姿をガン見していた。


「あ・・・お父さん?」

「・・・爽子、お菓子作りかい?」


(ぽっ/////)


「う、うん・・・」


今、「ぽっ////」ってなった。その「ぽっ」は何に対する?やっぱりそういうこと?

分かってはいるけど・・・頭では分かっているけど、まだついていけない。

ちゃんと紹介してくれたじゃないか。立派な青年だった。文句の付けどころがなかった。

爽子の選んだ人なんだから間違いはない。でも・・・・。


「お父さん、何ため息ばかりついてるの?」


母、陽子は最近の夫の様子を笑うように言った。その理由は十分分かっているつもりだ。

喜多夫はお茶を啜りながら寂しそうに視線を下に向けた。


「いや・・・早いもんだなって思って」

「え?」

「17年か・・・。」

「ああ、爽子の話?ふふっそうですね・・・。そのうちお嫁に行くわね〜〜」

「えっ!?」


喜多夫はいきなりの陽子の言葉にお茶を噴出す。陽子はアラ〜と机を拭きながら、夫を

哀れそうに見上げる。


(いつ卒業できるのかしらね・・・。まだまだ失恋状態ね・・・)



〜そして、バレンタイン当日〜〜



「お父さん・・・あのこれチョコです」

「おお、爽子!今年もありがとう。」


喜多夫はきれいにラッピングされた美味しそうなチョコを見て、嬉しそうに微笑みながらも

背中は泣いていた。そして、気になることを聞いてみる。


「ところで、今日は風早くんに渡しに行くんだよね?」

「あ・・・////ううん。」

「え?」


(今日は2月14日のはず?)


・・・・?


喜多夫はハテナを頭に浮かべながらしばらくの間考えてみた。そして、疑問を口にして

みる。



「今日はバレンタインデーじゃないのかい?」

「そうなんだけど・・・その、風早くんは家族旅行に出かけているそうで・・・」

「あ・・そうなの」


父は思った。何より一番にあげたい人にあげられないということは次点が繰り上がり、

一番にもらったということになるのではないか??


「じゃ・・・まっ今日はお父さんだけなのかな?」

「うん、お父さんだけだよ」

「・・・・・」


父は満面の笑みになった。そしてうきうきと庭掃除などを始めた。その様子を陽子は

呆れ気味に見ながら爽子に聞いた。


「爽子、風早くんにはいつ渡すの?」

「あ・・・実はもう渡してあるの。昨日、一日早かったのだけれど」

「あっそうよね」


恥ずかしそうに言う爽子を見て、陽子は当たり前だと思ったことを夫に絶対言うまいと

思ったのでした。


もうしばらくの間・・・・気持ちは、父だけの娘でいさせてあげようと。


「ふふっ・・・だって、あっという間なんだからねぇ」


陽子はそう呟くと、窓の向こうで嬉しそうにしている夫と、恋をして幸せそうな娘の顔を

交互に見て、少し寂しそうに微笑んだ。







<END>





あとがき↓

ほんと小ネタでした。今年は(月)でしたね。この時は当日が休みの日という設定でした。

早速横道にそれてました(汗)しかし、本誌の萌えモードが止まらん!!やばいっすね。

それではまた続きを見に来てください〜〜〜♪

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