「瞳は知っている」10 

※ 前書きから読んでください。こちら⇒前書き
※ 風早×爽子カップルではありません。オリキャラ登場します。


このお話は 「瞳は知っている」         の続きです。

あらすじ*皆で海に旅行に来ている風早達。どこにいても彼女を目で追ってしまう。
そして、どんどん辛くなってくるのだった。
それでは以下からどうぞ↓











「瞳は知っている」 episode 10








海ではしゃいでいたハルが、荷物番をしているパラソルの下の風早のところに来て、

”俺も休憩”とどかっと横に座った。


二人で、楽しそうに海に入っている仲間を眺める。


「彼女・・・・楽しそうだね」

「爽子?うん・・・良かった。こんな風に皆で遊んだことないと思うから、ちょっと心配

 やってんけどな。俺らのグループの子とも打ち解けてるみたいや」

「なんで、彼女誘ったの?」


今まで皆で遊ぶとかはあんまりなかったので少し疑問だった。それもいきなりの旅行に。

すると、ハルはしばらくの沈黙の後、恥ずかしそうに答えた。


「実はさ・・・彼女の両親、結構固くって、絶対旅行とか許してくれへんねん。って

 いうか、俺ら、そーいう関係でもないしな・・・・/////だから、皆と一緒でもいい

 から旅行行ってみたかってん」

「・・・・」


俺は思わず呆気にとられた。まさかそんな理由とは思ってなくて・・・・。


「それじゃ、目的はそこ??」

「いやっそれだけやないで。もちろん皆とも行きたかってんけどさ・・・/////」


風早は思わず吹き出した。


「なっなんやねん!翔太」

「いや・・・・ハルらしいというかさ・・・今なんか行こうと思えば行ける状態なのに。」

「ううっ・・そ、そやけどさ、やっぱりなぁ〜!」


そんなハルを見て、風早は俯いてぼそっと言った。


「・・・本当に彼女のことが好きなんだね」

「///////」


ハルは思いっきり照れて俯いた。ハルは彼女を失ったらどうなるんだろう。


「あ・・・ハルくん、風早くん」


爽子が向こうで手を振った。


「爽っ!?」

がばっ!!ごんっ

「いてっ!!」

「あっ悪い翔太」


ハルは、勢いよく顔を上げたかと思うと、思いっきり俺の顎に頭を当てて、嬉しそう

に立ちあがった。


「爽子〜〜〜♪今、行くわ〜〜〜〜」


(ーったく・・・嬉しそうに・・・)


風早は顎を摩りながら、呆れたようにハルを見ていた。そして、楽しそうな二人を。


ハルの横で嬉しそうに笑う彼女。

簡単に彼女に触れられるハル。あ、今、腰に触れた。顔に、肩に・・・・・。


ズキンッ


風早はそこから視線を逸らし、傷む胸を掴んだ。


************


ザザ――ッ ザザ―ッ


その日の夜、ホテルで夕食を済ませた後、俺らはまたビーチで花火をするために海へ繰り

出すことになった。夜の海は静かな波の音がBGMのようで別空間に来た感覚に陥る。


きゃはは〜〜〜っ わはは〜〜っ


俺たちは学生だ。まだ社会にも出ていない。だからこそ思いっきりバカできる瞬間がある。

ハルも風早もふざけて皆の中で思いっきりはしゃいでいた。


そんな俺たちを楽しそうに見ている彼女。

時々、どうしようもないほど彼女に見とれてしまうことがある。ハルに気がつかれない

うちに視線を逸らさないと。そんなことばかり頭に浮かぶ。


花火の光だけが彼女を照らす。・・・きれいだな。あ・・・笑ってる。嬉しいんだな。

皆と一緒にいることが。って俺、どんだけ見てんだよって一人ツッコミしてしまうほど・・・・


周りが暗いからさすがに気付かれないよな・・・・。ずっと見ていたいんだ。


好きだから・・・・。


「―た。翔太ってば!!」

「えっ?」

「何ボーとしてんの?もうすぐ火元がなくなくなりそーやからコンビニ行ってくるわ」

「あ・・・・」


周りをちゃんと気にしているハルに恥ずかしくなった。


「ごめんっ、なくなったんだ?俺行くよ」

「ええって。翔太は皆のこと頼むわ」

「・・・わかった」


ごめん・・・・ごめん、ハル。俺・・・・・・彼女が好きだ。どうしようもないほど。


後ろ姿のハルに風早は心の中で呟いた。


「風早ぁ〜〜〜っこれなんかつかないよ〜〜」

「風早〜!!」


常に名前を呼ばれる風早を爽子はいつの間にか見つめていた。そんな爽子に気付き

風早が声を掛けた。


「ん?黒沼?花火まだあるよ」

「あ・・・うん。ありがとう・・・」

「うん・・・・ん?何?」


爽子にじっと見られていることに気付いた風早は照れながら聞いた。


「あっ、ごめんなさい。なんかすごいなって・・・。人気者だなぁ〜風早くん」


手を胸の前で組んで羨望の眼差しを送る爽子にふっと笑いが込み上げてくる。


「そんなことないよ。それを言うならハルだよ。皆に頼られてる」

「・・・うん、ハルくんもすごいなって思う」


カチッカチッと花火に火をつけながら風早は俯いたまま言った。


「・・・そんな彼氏を持って良かったね」

「・・・・・・」


彼女の返事が聞こえず、思わず顔を伺う。


「!」


「風早〜〜〜っ!このロウソクだめになった!他のある??」

「あっ・・・ああ!」


え・・・・・?


上ずった声で風早は向こうにいる女の子たちの声に答えた。


なんで・・・・?


「ちょっと・・・行ってくる」

「うん」


風早は爽子の瞳をもう一度見つめた後、くるっと背を向けてそちらに向かった。


あの時と同じ瞳・・・・。ずっと脳裏に焼き付いて離れないあの目。

見上げた彼女はあの目をしていた。

君の瞳は何を言いたいの?


「・・・・・・」


風早は足をピタッと止めた。そしてもう一度振り返った視線の先をハルが塞いだ。


「おっと翔太!買ってきたで」

「あっああ、ありがとう!」

「ん?なんや、お化けでも見るように。ビビった?がははっ」

「・・・・・」


「あっハル〜〜〜〜〜どこ行ってたの〜〜!」

「ちょいと買いもん!やっとる〜〜??」


きれいやん〜〜〜っ  これに火をつけて! きゃあ〜〜〜っ

あはは〜〜〜っ



花火ではしゃいでる皆の中で俺は立ちつくした。

そして、いつの間にか見つめ合っていた。遠く離れているのに。

どこにいても君の瞳を追ってしまう。


俺たちはお互いの気持ちに気付き始めていた。







あとがき↓

何か、風早の想いがひつこくなってきましたね(汗)好きすぎてつらい状態もう少し

続きます。そしてキレます(笑)今はどっぷりこのお話に入ってます。

それでは、またお会いしましょう〜〜〜〜!

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