「寝顔」初めての日シリーズ1
風早と爽子のいろいろな初めてをシリーズ化して書いていこうかと
思います。と言っても気が向いたらですが。今回はこれだけ。
ショートです。以下からどうぞ↓
「寝顔」
「ただいまっ!」
俺は勢いよくドアを開け、自分の部屋に入った。
「あ・・・・・!」
目の前の光景に言葉を失う。
大学が決まって、一人暮らしを始めたばかり。やっと一人の空間が
できたと俺は嬉しくてたまらない。やっと俺の彼女、黒沼と二人の
時間が持てる。この時をずっと待っていた・・・・のに、折角来て
くれた黒沼をちょっとした所用で待たせることになった。
「く・・黒沼?」
自分の部屋?と疑うぐらい、部屋はきれいになっていて、台所
には色とりどりのおかずが入った、弁当箱が置かれていた。
それから、俺の食事の作り置きまで・・・・。
(すごいよ・・・黒沼!)
思わず感動する。でも早起きで疲れたのか、ベッドの横にもたれかかって、
すやすやと眠っていた。
黒沼がいるだけでこの部屋に花が咲いたようにふんわりした空気に
包まれている気がする。
思わず、じっと眠っている彼女を見る。一緒に朝を迎えることは
まだない。俺の前に立ちはだかる存在が大きすぎて・・・・。
なので、こんな眠った彼女を見ることは初めてだった。
(うわ・・・・まつ毛長い・・・。か、かわいい)
思わず、長い髪を触って耳に掛けたりする。するとさらさらと落ち
ていくきれいな髪。不思議なほど見ているだけで飽きない。
でも、見ているともっと貪欲になってきて・・・。彼女を横に眠り
たくなった。
(起きませんように・・・・・!)
風早は祈るような気持ちで、彼女をそっとベッドの中心まで抱き上げた。
一瞬、口から声が漏れたが、すぐにまたすーす―と規則正しい寝息が聞こえた。
(ほっ!)
そして、念願の彼女を横に寝てみる。
(うわぁ〜〜〜〜〜幸せ♪)
そしてまた、彼女の黒い長い髪に触れる。さらさら〜さらさら〜
きれいだ。そして、白い肌を触ってみる。すべすべ。どうしよう・・・・
側に居ればやっぱり触れたくなる。でも寝ている彼女に手を出すのは
反則だ。収まれ!俺の心臓。どきどき どきどき
そんなことを繰り返しているうちに、気がついたら自分も眠っていた。
はっと気がついた時には彼女の大きな瞳が俺を見ていた。
「ん・・・!うわっ!!」
俺は焦って思わず、身体を起こした。
「あ・・・」
すると、彼女は寂しそうな顔をしたような気がした。
「ごめん・・・黒沼を横にして眠りたくて、こっちに連れて来ちゃった/////」
そう言って、風早は恥ずかしそうにガシガシと頭を掻いた。
「私・・・嬉しかったよ。風早くんの寝顔・・・初めて見れた!」
彼女はとびきりの笑顔でふんわりと笑った。
「俺も・・・・黒沼の寝顔見ちゃった!」
そう言うと、彼女は一瞬固まって、両手で顔を覆った。
「お、お恥ずかしいところを/////」
そんな彼女にいつも俺はノックアウトだ。本当は毎日、君を横に眠りたい。
いつかそんな日が来るだろうか。
(大きな敵と戦わないと・・・・だな)
苦笑いしている自分をきょとんと見ている彼女。どれだけ惚れさせたら
気が済むの?俺はそっと彼女を抱きしめた。
彼女の寝顔が見れた。
また一つ・・・"初めて”を見た日。
<END>
あとがき↓
シリーズ化とか言いながらほんと次がないかも?あるかも。ちょっと
今、連載準備中〜〜〜!いつも拍手をありがとうございます。