「彼女の王子様」3

主人公は高校一年の男子。風早はその子の担任の先生。爽風を取り巻く客観的な目で

繰り広げられる妄想です。オリキャラ中心になりますので、興味のない方はスルーで

お願いします。キミトドメンバー出ます。


風早のことを知れば知るほど、琴音に可能性がないと勝手に落ち込む賢。そんな時、

バイト帰りに意外な人物に会い・・・。


この話は「私の王子様」1 2 の続きです。

以下からどうぞ↓


























意外な人物、それは・・・・


「わっっ爽子さん??」

「す、すみません!驚かせてしまって・・」


振り向くと、暗闇に爽子さんがいた。そしてなぜか異様に焦っている。驚かせたと

思ったらしい。


「え?いや・・・べつに。爽子さん、デートの帰り?」

「えっ、いやいやっ・・・今日は休日出勤で・・」

「あ、仕事だったんだ」

「うん。賢くんはバイト帰りかな?」

「あ、はい」


爽子さんとはバイト先で会うだけで、二人で話すことなんかないから少し緊張する。

あまり喋らない爽子さんは、ちょっと近づきにくい雰囲気があるけど風早や千鶴さん

とかといるとすごくかわいい笑顔で笑うのを知ってる。そしてすごく優しいのも。


「こんな夜道に女一人危ないんじゃない?風早心配するよ」

「あ・・・怖がらせないように歩いてますのでっ」

「へ?」


そしてたまにズレたことを言うので思わず頭の中で”?”となることがある。


「いや、怖がるのは爽子さんの方でしょ」

「えっでも・・・みなさんを驚かせてはと思って。さっきみたいに」

「驚かす?」


賢が不思議そうな顔をすると、爽子は目を泳がせて少し寂しそうな顔をした。その後

爽子さんは高校時代の話をしてくれた。


それはとても意外な過去だった。


「私、高校生の時怖がられることが多くて・・・何かをしようとすると”ごめんなさい”

 と謝られていたの」

「・・・・」


要するに爽子さんは浮いてたってこと?どうも悪目立ちしていたらしい。今は全然そん

な感じしないので驚いた。でも確かに初対面とかはかなりぎこちなさは感じる。人に迷

惑を掛けてないか気にしているようだ。だからかな?人が普通にする行為に意味もなく

感動したりする。


「風早は・・・あっ先生は?どんなだったんですか?」


爽子さんはふっと笑って、今度は嬉しそうに話す。


「クラスの中心でいつも人に囲まれていて・・・人気者だったなぁ」

「やっぱり」

「今も・・・そんな先生?」

「うん。まったく変わらないかも。王子的存在?男女問わず大人気」

「わぁぁ・・・王子様っ」


爽子さんはそう言うと、胸の前で手を合わせ目をキラキラさせている。


風早の話をしている爽子さんは誰よりもかわいく感じた。本当にお互いが好きなんだ

と感じる。でも、俺はふと疑問に思った。


「でもさ、どうしてそんな人気者が”怖がられた”爽子さんを好きになったんだろ」


言ってから”あ・・・っ”と口を押えた。


(・・・何言ってんだっ俺)


爽子さんはどんな質問もいつもちゃんと受け止めてくれるから、思わず心のままに

ってしまう。するとやっぱり爽子さんはひどい言葉を気にする様子もなく続けた。


「わ、わたしも不思議なのっ。何が良かったんだろうって・・・////」

「え?爽子さんかわいいよ」

「えっ!?////」


バッッ


「まさか、お前くどいてるのか?」

「!イテッ」


気づくと背後から腕が回されて首に強い痛みを感じた。そしてぎりぎりと締め付けて

くる。必死で後ろを向くと・・・。


「か・・・風早ァァ??っうくぐっ」

「いい度胸じゃん?」


不屈の笑みを浮かべながら完全に怒ってるだろう風早がいた。


(こ・・・こえぇぇ嫉妬しすぎだろっ!!)


「し・・翔太くん?あれ、どうしたの?」

「爽子今日、遅くなるって言ってたから心配で来ちゃった♪」


(くっ・・何が”来ちゃった♪”だよっ・・Sめっ)


「ちょっくるじぃっ・・・・っ」

「えぇぇっ〜〜〜ちゃんと驚かさずに帰るから大丈夫だよっ」

「「・・・・・」」


多分、今風早と同じ気持ちで沈黙した俺。風早の腕が少し緩んで俺の身体からやっと

離れた。俺はひぃひぃ言って首を撫でながら隣の風早を睨むと、はぁ〜とため息をつ

いて脱力している風早の姿があった。


「爽子は何も変わらないんだよな・・・だから心配だってば」

「え??」

「だって痴漢に遭ってからじゃ遅いんだかんねっ」

「大丈夫だよ・・・痴漢さんも相手を選ぶというかっ・・・「−だからだよ」」


すると風早は声を荒らげた。お互い真剣な顔で見つめ合う。


「だから・・・心配なのっ。爽子・・・かわいいからっ///」

「し・・・翔太くん////」


(俺の存在忘れてる・・・?何なのこの二人)


「ちょっと・・・俺居るんだけど?」

「わっっ////」


俺が二人の間に割って入ると、お互いかぁぁと真っ赤になった。一体いくつだよ?

んで何年の付き合いだよ・・・なんて思いながらも妙に心がぽかぽかした。


(ったく・・・千鶴さんといい、この人たちといい・・・)


そして、結局3人で帰ることになった。だけどさっきから風早の視線が痛い。


「ところで、お前何で爽子といるんだよ?」


嫉妬の塊のような風早が爽子さんに聞こえないようにこそっと言う。思わず笑うと、

風早は焦った様子でまた首を絞めようとする。


(ーったくこの人は。ベタボレなんだから・・・)


また新たな風早の一面を知ってしまった。俺はにやっと笑って言った。


「せんせ〜王子様台無しだよ」

「ほっとけ。何だそりゃ」


わはは〜〜っ


琴音はいつも風早のことを”私の王子様”と言って写真をうっとり見つめる。

でもさ、琴音。この人は爽子さんの王子様なんだよ。決して琴音の王子様には

ならない・・・。


千鶴さん達や爽子さん達を見ていると、変わらないものってこの世にあるんだと思う。

だって高校の時から変わらないんだから。


「高倉、明日は寝るなよ。俺の授業で寝たら・・・分かってんな?」

「〜〜〜〜っ!!爽子さん、この人絶対Sだよっ。王子なんかじゃね〜〜鬼だよ」

「え・・・?」

「お前っ爽子に余計なこと言うな〜〜〜っ!」

「こわっ〜〜逃げよ」


わはは〜〜〜っ


「・・・・」


その夜、笑い合って賑やかな3人の姿を一人の女子高生が見ていたことを賢は知らなかった。



<つづく>



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あとがき↓

風早を少しばかりS設定にしてみました。S風早・・・・ふふっ萌えます。こういう話
私的には書いていてめっちゃ楽しいんですが(* ̄ー ̄*)もう3月。早いですねぇ。ある
番組で見たんですが、子供の頃は記憶を細かく脳に刻んでいくので時間がゆっくり感じ
るらしい。写真で例えると撮った枚数が違うんですね。いや〜〜いかん。もう薄っぺら。
そんな中でも一日一日脳に刻んで大事に生きたいもんですね。