「Once in a blue moon」(46)


※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
  爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。

★「Half moon」は 目次 から。
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続きです。
 

☆食事会に来なかった麻美、何かが変わってきている二人の関係。蓮の心情から始まります。



















・‥…━━━☆ Once in a blue moon 46 ‥…━━━☆

























”『本気で・・・・彼女のこと好きなのか?』

『俺には本気に見えないんだけど』”


以前、翔太にそう聞かれたことがあった。”本気”って何を持って本気というのだろう?

今もずっと模索してる。本気と誠意は違う。恋愛に誠意を持つことは相手を大切にす

るということだ。もちろん本気の恋だからこそ相手を大切にするだろう。でも、魂を

揺さぶられるような本気の恋はそんなことは考えない。とにかく好きで失くしたくな

くて、その人の存在すべてが愛しい。それを近くで見てきた。

アイツを見ていると前向きになれると同時に今までの自分の人生を疑問に思ってしま

うのは確かだ。魂を揺さぶられるような恋に出会えた方が幸せなのか否か・・・今も

模索し続けている。


麻美を初めて見た時、感覚的に関係が近くなるような気がした。久々に感じた恋愛感情。

だから付き合った。人を好きになるのに理由はない。素直に俺の中に入って来たんだ。

知り合って間もないのに彼女からの告白にOKしていた。大切にしたいと思った。それ

は”誠意”だったと思う。俺は美穂に対しても誠意を持って接したかった。自分で選んだ

人なのだから。


”『蓮には・・・幸せになってほしんだよ』”


翔太、俺だって幸せになりたいと思う。でも相手を巻き込んでまで幸せになりたいと

思えなかった。それなのに麻美と近づきたいと思った。巻き込んでまで素直に付き合

いたいと思ったんだ。

だけど、彼女は自分が思っていたより俺に本気で、思っていたより・・・繊細だった。

愛しい感情に嘘はない。だけど俺は会いに行けない。今から考えたら感情をぶつけて

くれる麻美に救われていたんだと思う。


あれから麻美に連絡を取ったが、当分距離を置きたいと言われた。

次の日から麻美は一週間会社を休んだ。いきなりあいつに何があったのか分からない。

いや、分からないようにしているのか・・・?

”会いに行かない方があいつのためかもしれない、でもそれは無責任だ” 

頭の中で葛藤しながらも時だけが過ぎていった。そんなある日・・・



* * *


「ぶっ・・え・・!?」


ラーメンを啜る手が止まる。思わず喉に麺が詰まりそうになった。後輩同僚と昼メシ

を食っている時いきなりの後輩が恋愛相談をし始めた。


「恥ずかしんですけど・・マジに好きになっちゃって。川嶋さんなら恋愛経験豊富

 そうだし」


そう言って後輩同僚は照れたように水を飲み干した。


「瀬戸・・・麻美?」

「はい、隣の部署なんですけど、知ってますよね?」

「まぁ・・・」

「見てるだけで瀬戸さんは俺の存在知らないかもなんですけど・・・何か毅然とした

 感じがいいなぁって」

「・・・・」

「ど〜〜すればいいんっすかねぇ!」


(どーすればいいって言われても・・・俺がどうすればいーんだよ!)


思わず心の中で吐き出す蓮だった。しかし、感情が表に出にくい蓮は動揺を見せずに

ラーメンを啜りながらぼそっと返した。


「恋愛経験豊富じゃねーし」

「だって川嶋さんモテモテじゃないすかぁ〜〜あぁ俺も川嶋さんみたいにカッコ良か

 ったらなぁ〜」

「!」


後輩同僚は踏ん反りかえって想いを吐き出すように言った。

その時思った。一体、麻美は俺の何が好きなのだろう?と・・。顔?


(ってもうフラれてるかもしんねーけど)


蓮が頭の中でぐるぐる考えていた時、再びラーメンを吹き出しそうになる。


「瀬戸さん、でも彼氏いるかもしれないんっすよね」

「!」


(やばい・・・終わらせよう)


これ以上話していると面倒だと話を切ろうとした時・・・


「もう時間・・・「−仙台に」」

「・・・へ?」


俺は後輩の言葉に目を疑った。眉を顰めた俺を気にすることなく後輩は続けた。


「瀬戸さんこの間も一週間ぐらい休んでたんですけど、どうも仙台行ってたみたいな

 んですよね。たまたま食堂で仙台のチケット持ってたの見ちゃって」

「・・・・」

「いや、それだけで彼氏かなんて分からないけど、この休みももしかして仙台にいる

 んじゃないかって思っちゃって・・・」


どくっと心臓が動いた。人には感情が薄いと言われるが、人並みに俺の中では感情が

蠢いている。もう、会わなければならない。もう、スルーはできない。


仕事を終えた後、俺は以前麻美が書いた家の住所のメモ書きを探していた。それが家

に来てほしいサインだと分かってた。そして俺の家に来たいことも。


自分を全部さらけ出したい麻美と、さらけ出せない俺。


関係が深くなることを心のどこかで恐れていた。

そう、アイツと向き合うことを本能的に避けていたんだ。


俺の内なるものを見ないためにも・・・。





「Once in a blue moon」47 へ
















あとがき↓

次は麻美と蓮です。ところでこのサイトには関係ないのですが、私”るろ剣”にハマっ
てしまいました!!(*´д`*)ハァハァ ある訪問者さまからも”二次書きたくなるかも”と
言われてましたが確かに分かるような気が・・・(今はまだ書けませんけどね)映画
で火がついて一気です。なんて遅れてるの私!ですが、う〜〜ん分かる。今も人気が
あるのが。再燃している方も多いのでは?かぁ・・・っこ良すぎる。漫画も健くんも。
関係ないあとがきすんません・・・。