「Once in a blue moon」(11)


※ こちらは「Half moon」という話のオリキャラ(蓮)が中心となった話で未来話です。
  爽風も出ますが、主人公ではないので受け入れられる方以外はゴーバックで。

★「Half moon」は 目次 から。
こちらは「Once in a blue moon」          10 の続きです。 


☆ 爽子のことを知りたかった麻美は家に誘われて喜ぶ。そして居心地の良い空間に
  浸っていた。


















・‥…━━━☆ Once in a blue moon 11 ‥…━━━☆







* * *


爽子が食事を作っている間、麻美は落語のDVDや本などを結月と一緒に見ていた。

ある程度見終わった麻美はアルバムを見たいとお願いした。


「うわ〜〜〜〜きれいっ!」

「お恥ずかしいです・・・っ」


麻美は結婚式の写真を見てほわっ〜〜という顔をした。女なら誰でも憧れる。ウェディ

ングドレス姿。結月もやはり女の子だ。目をきらきらと輝かせている。


「まじきれいね〜〜〜お母さん。お父さんもかっこいいし、ゆづっちいいねぇ」


すると結月はうんうんっと興奮気味に頷いている。


「ふぅ〜〜ん、25歳か。今と全然変わんないね。しかし25歳で結婚とは早いな」


独り言を言いながらペラペラとページをめくっていた。すると、台所の方から爽子が

ばたばたとやって来た。


「あ、あの麻美ちゃんっ」

「ん?」

「あのね、彼からメールがあってもうすぐ帰って来るみたいなんだけど、気を遣わな

 いかな?一緒に食事大丈夫?」

「もちろんっ嬉しい〜」


爽子は麻美の返事を聞いてぱぁぁ・・っと顔を輝かせた。麻美はもちろん爽子の相手

を見たかったので嬉しかった。


「もうすぐできるから、ゆづちゃんもそろそろお片付けしてね」

「私も手伝うね。アルバムありがと・・・っ!」


麻美はアルバムを閉じて片付けようとした時、最後のページの端っこの写真に何か

引っ掛かりを感じて再び開ける。


「え・・・」


どくんっ


胸に大きな衝撃が走った。一瞬この場にいるのも忘れた。


(え・・・・っ??)


「えぇぇ〜〜〜〜〜〜〜っ!!」

「えっ??」


リビングから聞こえてくる声に爽子は驚いたようにおたまを持ったまま台所から走っ

てきた。


「わわっ、麻美ちゃんっどうかした??」

「いや・・ちがっ・・・ごめん。大きな声出して・・・」


思い出した。彼女の旦那さん。初めて写真を見たとき引っ掛かったのは・・・!


「こ・・・この人!?」

「え・・・・?蓮さん?」


爽子は麻美が指で示している写真の人物を見ると、不思議そうに名前を言った。

結婚式で何人かの男女で映っている写真だった。


「知ってるの?」

「う、うんっ・・・・それにっ爽子さんの旦那さんっ・・・・」


二人が唖然としている時、玄関でガチャっと開く音がした。


「−ただいまっ」


二人は一斉に玄関の方に目を向ける。結月がちょこちょこ〜〜〜〜っと玄関向かって

走り出した。


「ゆづ、爽子っ〜〜〜〜ただいまっ」


そして、爽子の後から麻美も玄関に向かった。


「あ!」

「あ!」


玄関に居たのは翔太。そして・・・・蓮だった。


麻美と蓮はお互い目を合わせて”あっ・・・”と声を出した。翔太と爽子はきょとんとした

まま二人を見つめていた。



*********



わはは〜〜〜っ


「いや〜びっくりしたっ!!」

「私も・・・」

経理の人だったなんて・・・」


この日は明日が休みと言うこともあり、翔太は蓮を連れて帰ってきた。5人で食卓を

囲む賑やかな夕食が始まった。翔太は以前から爽子が言っていた落語仲間の麻美が同

じ会社だと分かり驚いた。爽子もあまりの偶然にただただ驚いていた。


ドクン、ドクンッッ


なぜかこの輪の中に入っている自分が不思議でならない。麻美はこの状況をまだ飲み

込めずにいた。そして明らかに川嶋蓮が自分のことを知っていることが分かって心の

どこかが踊り出しているように感じた。柄にもなく心臓が異様にうるさい。


そうか・・・社員食堂で川嶋蓮と食べていたのは爽子さんの旦那さんだったんだ。こ

んなすごい偶然があるだろうか?それもこんなに嬉しい・・・。

麻美と蓮の目が合った。


「俺の隣の部署だよな」

「は・・・はい。知ってくれてたんですね」

「一応、顔だけ」


川嶋蓮と爽子さんの旦那さんは仙台支社で3年間一緒だということが分かった。それも

深い友達だ。こんなに和やかな川嶋蓮を見たのは、あの社員食堂で見た時以来だった。


「やっと蓮連れて来たよ。ほんとつれないよな〜〜なかなか遊びに来ないし。なっゆづ!」


翔太が嫌味っぽく言うと、結月はコクンッと頷いて答える。


「ごめんなっゆづ・・・元気だったか」


蓮に頭をくしゃくしゃっとされ、結月はにかっと嬉しそうに笑う。その光景を麻美はただ、

ぼ〜っと頬を赤くしながら見ていた。やはり信じられなかった。自分の知っている爽子

や結月と親しげに話している川嶋蓮の姿。


「おいしい・・・っ」


麻美は次々出される料理に驚きを隠せなかった。あまりのおいしさに。蓮も頷いて言った。


「まじ、うめっ」

「良かった・・・沢山食べてね」

「幸せですね・・・旦那さん」

「え・・・」


翔太はいきなり言われた言葉に少し頬を染めて、にかっと嬉しそうに笑う。


「うんっ!幸せ」

「うわ・・・ごちそ〜さま」

「こいつらほっとくと、どんどん二人の世界になるからな」

「わわっ/////」


あはは〜〜〜〜っ


気が合わなかったら友達の旦那さんとかでも2回目はない私。でも爽子さんの旦那さん

は違う。いつまでも一緒にいたくなるほど、話しやすい人だった。そしてこの二人の

雰囲気がたまらなく周りを和ませる。何だろう・・・この空気。麻美はちらっと隣に

いる結月を見る。にこにこっと嬉しそうにご飯を食べている。


(天使だ・・・っ)


きっとこの子も居心地がいいんだ。この家に入った時から感じる居心地の良さ。それ

は爽子さんと旦那さんが作り出したものなんだ。やっと分かった。ゆづちゃんを見守

る爽子さんと旦那さん、そして優しい目でゆづちゃんを見ている川嶋蓮。


どくん・・・どくんっ


私は初めて見る川嶋蓮の姿に夢中だった。そして正直に高鳴る心臓と共に気持ち

がどんどん高まっていくのを感じた。





「Once in a blue moon」 12 へつづく














あとがき↓

コメントを頂いた方、長らくお待たせしました。蓮モードがやってきました。書ける
ところまで更新していきたいと思います。12月に入り、忙しいシーズン来ましたか
ら更新には波がありますのでご了承ください。ところで、昨夜に100万アクセスに
到達しました。皆様ご訪問ありがとうございます。これからも皆様に楽しんでもらえ
るようなサイトにしたいです。今後ともよろしくお願いします。