「I love you smile」クリスマス編(3)


こちらは I love you smile          10 11 の続編になります。
クリスマス編 (1) (2) からどうぞ!


あの後、1年後のクリスマスのお話。急に書きたくなりました。大分前のお話です。
興味がある方は、上から読んでみてください。


*あるクリスマスの日、爽子は以前働いたことのあるバーで働くことになった。そんな
 ことは知らない翔太がバイトにやってくる。そして、倉庫の方の戸から現れたのは!?
 最終話です。以下からどうぞ↓

















***************



「あれ・・・翔太くん??」

「・・・・・・」


爽子も翔太が今日入っていることを知らなかったので、驚いたように立ちすくんだ。

しばらく固まっている翔太。そして、やっと声を発したことは・・・・。


「さ・・・爽子?その格好・・・・」

「あっ//////」


服のことであった。


爽子ははっとしたように下を向いて服を隠すように身体を丸めた。


「風早くん、びっくりした?メリクリ〜〜ッ!」

「風早、メリクリー!」

「え・・・・・」


翔太はマスターの方を振り向いた。


(これが・・・ク、クリスマスプレゼント!?)


すると、驚いたまま固まっていた翔太はパッと顔を上げて、爽子に向かって歩き出した。

そして、爽子の前に立ちはだかると、恥ずかしそうにこそっと言った。


「な・・・なんでここにいるの?」

「あ・・・えとっ・・・」


爽子が困ったように言葉を上手くつなげないでいると、健人がにっこり笑って言った。


「だから、マスターからのプレゼントって言ったでしょ?今日、爽子ちゃんと一緒に働け

 るんだって」

「え!?」


翔太は自分でもびっくりするくらいの声を出した。すると、後ろから、おずおずと恥ずか

しそうに爽子が言った。


「きょ、今日はよろしくお願いします」

「〜〜〜〜△■×☆!!!」


翔太は爽子をまじまじと見つめた。そしてみるみる赤く染まっていく頬を隠すように

手で顔を覆った。


「あ"〜〜〜〜っ!だからか・・・今朝爽子から返信なかったの。」


翔太はがっくり肩を落とした後、こそっと爽子に言った。


「・・・それ、昨日から決まってたの?」

「ううんっ。今朝に連絡をもらって・・・。ごめんね、何も言わなくて」

「いや・・・うん。だいたい想像つくから」


そう言って、少し恨むような目でマスターを見る。マスターはそんな翔太を気にせず

仕事をしながら鼻歌なんか歌っている。


「風早さぁ〜さっきからそれとなく爽子ちゃん隠してない?」

「べ、べつに・・・っ////」


翔太は健人に図星を指されて、かっと顔を赤くした。


「だいたい、風早くんが悪いんだよ。爽ちゃんに会わせてくれないんだも〜〜んっ」

「・・・う"っ!」


マスターはいかにも拗ねたようにからかい半分言うと、翔太は小さなため息を一つ漏ら

して、諦めたように言った。


「わ・・・分かりましたよ。じゃ・・・せめて爽子の格好なんとかして下さいよっ////」


翔太の言葉に爽子は真っ赤になり、慌てたように言った。


「あっ・・・そうだよね。は、恥ずかしいよね。ごめんなさっ「ーがう」」

「爽子、違うから////」

「?」


翔太はバツが悪そうに髪をくしゃっとしてあさっての方向を向いた。


「あ〜あのね、爽子ちゃん。かなり長い付き合いなのにまだ風早のこと分かってないね〜」

「え??」

「風早はね〜「――っと!」」

「いいから。三浦」


その様子をマスターと健人はけらけら笑って見ている。


「その格好はここの決まりなんだよね〜健人」

「そーそー」

「ちょっ!そんなわけなっ「−はい!そういうわけで、爽ちゃんの教育係よろしくね」」

「〜〜〜〜△■×☆!!!」


マスターはそう言うと、翔太をじっと見た。マスターという人は一回言うと後に引かな

いのを知っていた。翔太は再びため息をつくと、照れた様子で爽子の方を向いた。


「は・・はい///んじゃ・・・」

「爽子ちゃん〜〜先輩って呼んであげて」

「「え!?」」


健人の言葉に翔太が固まっていると、後ろから小さな声が聞こえる。


「し、翔太先輩・・・今日はよろしくお願いします////」

「///////」←死亡


こうして、二人のウブコントぶりが始まった。その姿を健人は優しく見守るように眺めている。

マスターはちらっと横の健人を見て言った。


「・・・あれから一年だね」

「・・・何?まだ心配してくれてんの?ははっ」

「心配してないよ。ちゃんとあれから前を向いて歩き出した健人を見てるよ」

「マスター・・・・」


二人はにっこりと笑いあった。


「ちなみに健人これいる?」

「え?」


マスターは健人に携帯をちらっと見せた。


「!」


二人は再びにっこりと意地悪そうな笑みを浮かべた。



そして夜は更けて――


盛大なクラス会&クリスマスパーティーが始まった。

早く爽子のメイド服を着替えて欲しい風早とそのままでいて欲しい健人とのバトルが繰

り広げられていたが、さすがに彼氏には負けた健人はやれやれ〜と残念そうに着替え

た爽子を見ていた。また、何かと爽子にちょっかいを出す健人を翔太は必死でガードし

ている。


「くすくすくすっなんだかんだ言って仲い〜んだから」


マスターは二人を優しい眼差しで眺めていた。


宴もたけなわ、皆が酔いつぶれてきていると、爽子がカウンターのマスターの前にそっと

やってきた。


「マスター・・・今日はありがとうございました」

「爽ちゃん・・・。こちらこそありがとうね」

「いえ・・・。嬉かったです」

「え?」

「翔太くんと働けるなんて思ってなかったから・・・・」


マスターは嬉しそうに微笑む爽子を見つめて言った。


「風早くん・・・幸せだね」

「え?」

「いや、ずっと仲良くね。二人」

「は・・・・はいっ!」

「それから、時々は顔を見せにくること。」

「はいっ!」


爽子は心からの笑顔で笑った。まるで天使のような笑顔で・・・。


カンッ


「メリクリ!爽ちゃん」

「メリークリスマス!マスター」


グラスを重ねた二人はまたにっこりと笑いあった。


爽子にとってまた一つ特別なクリスマスの思い出ができた。そこにはもう何も疑うこと

のない、確かな友情があった。仲間がいた。そして、愛情があった。


健人は嬉しそうに微笑む爽子を目を細めて眺めていた。

あれから一年・・・巡る季節の中、いろいろな感情と戦ってきた。でも今は、二人を心

から祝福できる自分がいる。もう、君の笑顔を見ても胸が痛んだりしない。


パカッ


「ははっ・・・マスターって。笑える」


健人は携帯を開けてくすっと笑った。


「・・・メリークリスマス!」


そして、携帯にそっと優しく呟いた。


君に会えてよかった・・・。心から思えた、そんなクリスマスの夜。






<END>








あとがき↓

携帯の中にはマスターの爽ちゃんメイド姿隠し撮りってわけですね。楽しかった。この話。
健人が心から”君に会えてよかった”というのは1年前に心から思ったのとは違うという
感じで書きました。そこを分かってもらえると嬉しいです。
でも爽子みたいな子ってなかなかいないだろうから、好きになった人は諦められるのかなぁ
〜。でも健人は幸せをちゃんと願える人ですね。だから好きだなぁ〜。今、「君に届いたら」
改訂版書いています。興味ない方も多いと思いますが、ちょっと最近萌えて書いてますので、
出来上がったらUPしますね〜。それではまた遊びに来てください。

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