「Half moon」(24)

社会人の二人の物語。オリキャラ祭り。オリキャラ紹介⇒(1)をご覧ください。
仙台で爽子に会ってから、気持ちを切り替えた光平は?
こちらはHalf moon         10 11 12 13 14 15 16 17  18  19 20 21 22 23 の続きです。
それではどうぞ↓















あれから光平と爽子は何気ない日常を送っていた。光平はすっかり気持ちを切り替えて、

精力的に仕事に打ち込んでいるように見えた。そんなある夏の日のことだった。



「こーへー!」

「はい!」


そろそろ、仕事も板についてきたそんな頃、光平はいつものごとく上司にコキ使われ、

働きまくっていた。


「ちょっとこい」

「?」


直属の上司に呼ばれて、いつもとは違う場所である商品開発部の部長室に来るように

言われる。


(え・・・何突然??)


「はい。何か?」


そこには直属の上司と部長がいた。


そして、そこで上司に言われた言葉に光平はひっくり返りそうになった。


”「仙台に行ってくれ!」”


えええええええぇええええ〜〜〜〜〜〜!


**************



「爽ちゃん聞いた??たぐちゃん、仙台に行くんだって!」

「え?もう転勤??」


光平の移動は、すでに社内の噂になっていた。


「まさか、それはないけど、なんか仙台の社員が何人か一気に辞めて、困ってるん

 だって。それでとりあえず同じ仕事を担ってる、たぐちゃんがしばらく行くことに

 なったそうだよ。って、たぐちゃん!?」


爽子と友香が社員食堂でランチをしていると、光平が暗い表情で背後に立っていた。


「うわぁ!びっくりするじゃん!!」


いつになく光平の暗い雰囲気を感じた爽子は友香の後ろからそっと顔を覗かせて言った。


「あの・・・大丈夫?」


光平は爽子にそう聞かれて、せつなそうな目をした。


「なんで?たぐちゃん良かったじゃん!だって仙台でしょ」

「そーだよ!!だからお前が選ばれたんじゃねーの?」


他の同期も一緒にランチに加わる。


「うん・・・上司にそう言われた」

「まぁ〜まぁ〜とりあえず座りなよ」


光平は同期たちに椅子を勧められ、持っていたトレーを置いて友香の隣に座った。

いつものランチ仲間5,6人が集まって一つのテーブルを囲む。それがいつもの

風景だった。


「なんで嫌なの?」


友香に言われて、光平は少し苦笑いをして言った。


「嫌っつーか、一大決心でこちらに来たわけだし、なんか負けた気分に

 なるっていうかね・・・」

「でも夏だけなんでしょ?ちょーど夏休みもあるし、帰省代浮いたじゃん」


がははは〜〜と能天気に笑っている友香を見て光平は小さなため息をついた。

そんな光平の様子を見て、爽子が呟くように言った。


「でも・・・寂しくなるね。」


光平は爽子の小さな声に耳を傾けた。そして目を見開いた。


「寂しい・・・って思ってくれるんだ」

「も、もちろんだよ。折角仲良くなれたのに・・・・」

「・・・・」


きっと本当の気持ちだ。最近気付いたことがある。彼女は自分には鈍感だ。特に

自身に対する好意には。だから天然で傷つけてくれる。彼女は悪くないのに、あり

えない期待とかしてしまう。そしてまだ期待とかしてる自分に笑ってしまう。

これできっとすっきりする。こんな期待はもうせずに済むんだから。そう考えたら

良かったじゃないか。いい転機だ。


「なんか、悪いね。黒沼さんだったらよかったのにね」


そう言って、光平はぺろっと舌を出した。


「あっ///////」


「あ〜そうなんだよなぁっ黒ちゃん、彼氏いるんだって?仙台に」

「あの・・・その////」


ワイワイがやがや


光平が仙台に行くのは今から2週間後の7月末に決まっていた。

光平は複雑な気持ちを抱えながら、そっと真っ赤になった爽子の横顔を見つめた。








あとがき↓

8月は仙台七夕祭りがあるんですよね〜それに合わせて光平が異動。会社的にはありえない
のかもしれないけど、二次なのでなんでもありです。七夕祭りに何かが起こる!?なんて
感じで話進みます。風早くんが沸々と暴れ出すのが好きなんです。ふっふっふっ。ここから
しばらく光平目線続きます。一応主人公!?ほんと?なので。
それではまた遊びに来て下さい。

Half moon 25